奥出雲おろち号とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 製品 > 乗り物 > 列車 > 日本の列車愛称 > 奥出雲おろち号の意味・解説 

奥出雲おろち号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/12 05:01 UTC 版)

国鉄12系客車 > 奥出雲おろち号
奥出雲おろち号
木次駅停車中の「奥出雲おろち号」
(2017年9月)
概要
種類 普通列車
現況 廃止
地域 島根県広島県
運行開始 1998年4月25日[1]
運行終了 2023年11月23日[2][3]
後継 あめつち
旧運営者 西日本旅客鉄道(JR西日本)
路線
起点 木次駅
終点 備後落合駅
使用路線 木次線
車内サービス
クラス 普通車
座席 全車指定席
技術
車両 12系客車
DE10形ディーゼル機関車
後藤総合車両所
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 直流1,500 V(出雲市 - 宍道間)[注 1]
非電化(宍道 - 備後落合間)
テンプレートを表示
ヘッドマーク

奥出雲おろち号(おくいずもおろちごう)は、かつて西日本旅客鉄道(JR西日本)が木次線で運転していた臨時列車観光列車)である。

概要

木次線の利用促進を目的として、JR西日本が1998年から運転を行っていたトロッコ列車である[4]。2000年には、第7回しまね景観賞(工作物・その他部門優秀賞)を受賞した[5]

2005年度の利用者総数は19,770人(前年度比1,517人増)で1998年の運転開始以来最高であったが、2007年度は10月28日に2万人を突破し2004年7月21日に累計乗車数が10万人に達した[6]。2010年度の利用者数は16,712人(乗車率72.1%)で、島根県外からの観光客が利用する人気列車として島根県を代表する観光資源として成長していた[7]

2009年度から出雲の國・斐伊川サミット[注 2]が運行経費などを負担していた[8][7]。2011年には「奥出雲おろち号」のマスコットキャラクターが決定された[9]

車両の老朽化に伴い、2023年11月23日をもって運行を終了した[2][3][10][11]。その代替として観光列車「あめつち」が木次線へ乗り入れることがJR西日本と沿線自治体との協議で固まり[12]、2024年4月7日から運転を開始した[13]

運行概況

4月から11月までの金曜日土曜日休日およびゴールデンウィーク夏休みならびに紅葉シーズンの平日に木次駅 - 備後落合駅間で1往復運転されていた。2010年度から日曜日を中心に備後落合行きのみ出雲市駅始発で延長運転されていた[14]

ダイヤは往路が午前中に、復路が午後に設定され、以前は広島県側からのアクセスには不便だったため、夏休み期間中は土曜日限定で「奥出雲だんだんおろち号」としてさらにもう1往復運転されていた(2007年・2008年は設定なし)。

当列車の運転にあわせ、車内や長時間停車駅では弁当や出雲そばなどの沿線の特産品が発売されていた[15]

停車駅

出雲市駅直江駅荘原駅宍道駅加茂中駅出雲大東駅木次駅 - 日登駅 - 下久野駅 - 出雲八代駅 - 出雲三成駅 - 亀嵩駅 - 出雲横田駅 - 八川駅 - 出雲坂根駅 - 三井野原駅 - 油木駅 - 備後落合駅

使用車両

2012年4月1日現在の編成図[15]
奥出雲おろち号
← 備後落合
木次 →
1 2

DE10形ディーゼル機関車 (1161) もしくはDE15形ディーゼル機関車(2558)と12系客車2両(スハフ12 801、スハフ13 801)が連結された3両編成で、車体デザインは銀河鉄道をイメージした白・青・灰色地に星模様を散らした塗装としていた。

DE15 2558は木次寄りの先頭に連結されており、運転当初から専用機関車として使用されていた。客車と同じく「奥出雲おろち号」の専用塗装であった。また冬季は除雪列車にも使用されるためラッセルヘッド取り付け部はそのまま残されていた。2021年度の運行終了後に廃車回送され米子支社管内からDE15が姿を消すこととなった。

DE10 1161は木次寄りの先頭に連結されており、2010年4月から専用機関車として使用されていた。こちらも客車と同じく「奥出雲おろち号」の専用塗装であった。

スハフ12 801はスハフ12 3001(←スハフ12 40)を改造した控車で、2号車として編成の中間に連結されていた。冷暖房とトイレ・洗面台が完備された控車で、座席は簡易リクライニングシートとなっていた。1号車の指定席番号で2号車の同じ座席が使用できた。2007年から2009年は2号車にも乗客を乗せていたため年間乗客数が2万人を超えていた[17]

スハフ13 801はスハフ12 148を改造した車両で、1号車として備後落合寄りの先頭に連結されるトロッコ車両であった。従来の車掌室部分の片側に運転室が新設され、もう片側は展望スペースに改造された。前面には前照灯スカートスノープラウが設置され、床下の給電用エンジンなどは撤去された。客室部分は窓のないオープン構造で、車内には不燃化木材が使用され[18]、一部の座席は外側向きに設置されていた。照明はランプ風の照明としていた。後部の出入口は撤去されていた。

沿革

  • 1998年(平成10年)04月25日:木次駅 - 備後落合駅間に臨時快速「奥出雲おろち号」が運転開始[1]
  • 2002年(平成14年)07月06日 - 8月25日:期間中の土曜日・日曜日に松江駅 → 木次駅間で延長運転が実施[19]。松江駅 - 木次駅間は全車自由席で、この間の途中の停車駅は玉造温泉駅宍道駅 - 木次駅の各駅。
  • 2004年(平成16年)
    • 07月25日 - 08月29日:期間中の日曜日に「奥出雲だんだんおろち号」が運転[20]
    • 11月15日 - 11月17日:「奥出雲おろち号」が芸備線の三次駅まで延長運転[21]
  • 2005年(平成17年)
    • 04月03日:松江駅 - 木次駅間延長運転列車の停車駅に来待駅が追加[22]
    • 11月26日:広島駅に初めて乗り入れ。日本旅行主催旅行の、「トロッコ列車で行く木次線の紅葉と皆生温泉」によるもの。広島発木次行きの団体列車は、三次まで定期列車の時刻で運転された。その際に定期旅客に便宜を図るため、宮原総合運転所所属の12系客車1両を三次まで後ろに連結した[23]
  • 2007年(平成19年)12月02日:団体列車として広島駅に乗り入れ。芸備線内は定期列車の時刻で運転されたため、定期列車として宮原総合運転所所属の12系客車2両とDE10形ディーゼル機関車が連結された[24]
  • 2010年(平成22年)04月03日:片道延長運転の始発駅が出雲市駅になる[7][25]
  • 2023年(令和05年)11月23日:車両の老朽化により、運行終了[2][3][10][11]

脚注

注釈

  1. ^ 電気機関車は牽引を行わなかった。
  2. ^ 出雲市雲南市奥出雲町および飯南町で連携・協力し、共同事業を行う組織

出典

  1. ^ a b 鉄道ジャーナル』第32巻第7号、鉄道ジャーナル社、1998年7月、103頁。 
  2. ^ a b c トロッコ列車「奥出雲おろち号」の今後の運行計画について』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2021年6月3日。オリジナルの2021年6月3日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210603092400/https://www.westjr.co.jp/press/article/items/210603_02_orochi.pdf2021年6月3日閲覧 
  3. ^ a b c “JR西 おろち号23年終了 木次線 老朽化で方針利用促進に影響”. 山陰中央新報. (2021年5月27日). オリジナルの2021年5月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210527102744/https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/39524 2021年5月27日閲覧。 
  4. ^ “JR西「奥出雲おろち号」”. 時事通信社. https://www.jiji.com/jc/v2?id=20100714kanko_ressha_09 
  5. ^ 第7回しまね景観受賞作品(平成11年度) - 島根県
  6. ^ JR木次線のトロッコ列車が乗車10万人達成」『山陰中央新報』。2005年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  7. ^ a b c トロッコ列車「奥出雲おろち号」のJR 出雲市駅片道延長運行(臨時運行の実施)について (PDF) - 出雲市
  8. ^ 奥出雲町総合計画 (PDF) - 奥出雲町
  9. ^ トロッコ列車「奥出雲おろち号」マスコットキャラクターが「おろっち」に決定 - 出雲の國・斐伊川サミット事務局 2011年4月15日
  10. ^ a b おろち号 11月23日最終運行 乗車券 1カ月前から販売 木次線」『山陰中央新報』2023年8月25日。オリジナルの2023年8月26日時点におけるアーカイブ。2023年8月28日閲覧。
  11. ^ a b JRの観光列車「奥出雲おろち号」“ラストラン”は11月23日に(島根)」『山陰中央テレビジョン放送』2023年8月28日。2023年8月28日閲覧。
  12. ^ “木次線に「あめつち」乗り入れ 沿線自治体が受諾”. 日本経済新聞. (2022年2月9日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC093470Z00C22A2000000/ 
  13. ^ 観光列車「あめつち」2024 年 3 月~9 月の運行について~運行区間を拡大します~』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2023年12月15日https://www.jr-odekake.net/railroad/kankoutrain/area_tottori/ametuchi/pdf/20231215.pdf2023年12月16日閲覧 
  14. ^ 奥出雲おろち号(島根県雲南市・奥出雲町) - 朝日新聞 2011年11月1日
  15. ^ a b 観光列車の旅時間 奥出雲おろち号 - 西日本旅客鉄道
  16. ^ 木次線トロッコ列車 奥出雲おろち号 (PDF) - 出雲観光協会
  17. ^ “トロッコ列車"快走" JR木次線早くも2万人達成”. 山陰中央新報. (2007年10月29日) 
  18. ^ 車両案内 トロッコ列車 奥出雲おろち 12系 - 西日本旅客鉄道
  19. ^ JR西日本米子支社 - 西日本旅客鉄道
  20. ^ 平成16年 夏の臨時列車運転等のご案内 (PDF) (インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道米子支社プレスリリース 2004年5月14日
  21. ^ “おろち号、備北路デビュー”. 中国新聞. (2004年11月16日). オリジナルの2005年2月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20050210210459/http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn04111640.html 
  22. ^ 平成17年 春の臨時列車運転等のご案内 (PDF) (インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道米子支社プレスリリース 2005年1月14日
  23. ^ 『鉄道ファン』、交友社、2006年3月、169頁。 
  24. ^ “「奥出雲おろち号」と12系客車による団臨と定期の併結運転”. 鉄道ファン. railf.jp鉄道ニュース (交友社). (2007年12月4日). http://railf.jp/news/2007/12/04/143300.html 
  25. ^ 広報いずも 第123号 (PDF) - 出雲市

参考文献

外部リンク


奥出雲おろち号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 09:17 UTC 版)

木次線」の記事における「奥出雲おろち号」の解説

詳細は「奥出雲おろち号」を参照 1998年4月25日から木次線利用促進目的として、行楽シーズントロッコ列車「奥出雲おろち号」が運転されている。 2009年度から出雲の國斐伊川サミット運行経費などを負担しており、2010年度乗車数は16,712人(乗車率72.1%)で、島根県外からの観光客利用する人気列車として島根県代表する観光資源となっている。 なお「奥出雲おろち号」が運転されていない日には、木次駅 - 出雲横田駅間で臨時列車が1往復運転されている。 車両老朽化に伴い2023年度運行をもって終了する予定であり、沿線自治体代替案としてJR西日本提案する観光列車あめつち」の木次線乗り入れに正式合意している。ただし、「あめつち」は出雲横田駅 - 備後落合駅間には性能上乗り入れできない木次線トロッコ列車「奥出雲おろち号」 今後導入予定される観光列車あめつち

※この「奥出雲おろち号」の解説は、「木次線」の解説の一部です。
「奥出雲おろち号」を含む「木次線」の記事については、「木次線」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「奥出雲おろち号」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「奥出雲おろち号」の関連用語

奥出雲おろち号のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



奥出雲おろち号のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの奥出雲おろち号 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの木次線 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS