差積
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/11 23:07 UTC 版)
詳細は「差積」を参照 もっとも単純な交代多項式は差積 v n := ∏ 1 ≤ i < j ≤ n ( x j − x i ) {\displaystyle v_{n}:=\prod _{1\leq i<j\leq n}(x_{j}-x_{i})} である。差積が交代的であることは、ふたつの変数を入れ替えるとただ一つの因子だけ符号が変わり、それ以外の因子はそのままであることから明らか 任意の交代多項式 a はちょうど、差積と適当な対称多項式 s との積 a = v n ⋅ s {\textstyle a=v_{n}\cdot s} になっている。これは vn は任意の交代多項式を割り切る: 実際、任意の交代多項式 f において、xi = xj とすれば、交代性 f ( x 1 , … , x i , … , x j , … , x n ) = f ( x 1 , … , x j , … , x i , … , x n ) = − f ( x 1 , … , x i , … , x j , … , x n ) {\displaystyle f(x_{1},\dots ,x_{i},\dots ,x_{j},\dots ,x_{n})=f(x_{1},\dots ,x_{j},\dots ,x_{i},\dots ,x_{n})=-f(x_{1},\dots ,x_{i},\dots ,x_{j},\dots ,x_{n})} によって交代式の値は零となるから、因数定理により xi − xj は f を割り切る。したがって、vn は f を割り切る。 交代多項式と対称多項式との積は交代多項式である。したがって差積と任意の対称多項式との積は交代多項式である。 逆に、ふたつの交代多項式の商は対称式(一般には多項式とは限らない対称有理式)であり、交代多項式は差積で割り切れる(つまり商は多項式)。 といったようなことからの帰結である。シューア多項式は、いま見たような交代多項式を差積で割った多項式として定義される対称函数である。 環構造 対称多項式全体の成す環を Λn とすれば、対称多項式および交代多項式全体の成す環は Λn に差積 vn を添加した環 Λ n [ v n ] {\textstyle \Lambda _{n}[v_{n}]} となる。より具体的に、Λn に係数を持つ vn を変数とする多項式環の剰余環 Λ n [ v n ] / ⟨ v n 2 − Δ ⟩ {\textstyle \Lambda _{n}[v_{n}]/\langle v_{n}^{2}-\Delta \rangle } と書いてもよい(ただし、 Δ := v n 2 {\textstyle \Delta :=v_{n}^{2}} は判別式と呼ばれる対称式である)。 つまり、対称および交代多項式環は、対称多項式環に判別式の平方根を添加する二次拡大(英語版)環である。 あるいはまた R [ e 1 , … , e n , v n ] / ⟨ v n 2 − Δ ⟩ {\textstyle R[e_{1},\dots ,e_{n},v_{n}]/\langle v_{n}^{2}-\Delta \rangle } とも書ける。 注 2 が可逆元でない(標数 2 の)場合、状況がやや異なり、差積とは異なる多項式 Wn を用いた異なる関係式として書ける (Romagny 2005)。
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