極限定理 (ゲームのコアの)
極限定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/18 07:09 UTC 版)
極限定理(きょくげんていり,英: limit theorems)とは塑性変形における極限解析の基礎となる定理で、上界定理(じょうかいていり、Upper bound theorem)と下界定理(かかいていり、Lower bound theorem)がある。また、確率・統計学では、中央極限定理がある。中央極限定理の特別な場合が、Laplaceの極限定理(ラプラスの定理)である[1]。
上界定理と下界定理により定式化された極限解析から、極限荷重の上界値と下界値をそれぞれ求めることができる。もし、極限荷重の上界値と下界値が一致すれば、それが真の極限荷重となる。構造が複雑になり、極限荷重の上界値と下界値が一致しなくても、真の極限荷重はそれらの間にあることが分かるので、およその値は推測できる。
上界定理
物体力をfi 、応力境界面の表面力をTi 、変位速度を、ひずみ速度を
とする。
外力(fi , Ti )との仕事率が正となる、変位速度境界条件と変形の適合条件を満たす(運動学的に許容な)について、以下の式を与える。
このとき、αは真の崩壊荷重係数α* の上界値を与える。すなわち、
となる。ただし、応力σij は、与えられたひずみ速度に対して、直交則を満たす応力場である。
上界定理による極限解析は、運動学的制約条件(変形の適合条件と流れ則)と外力仕事率が 1 であるという条件の下で、内部消散率を最小化する最適化問題に帰着する。
下界定理
与えられた荷重系について、釣り合い式と応力境界条件を満たす(静力学的許容な)応力場が、降伏条件を破らない(静力学的可容な)とき、荷重係数は真の崩壊荷重係数の下界値を与える。すなわち、
となる。ここで、αは荷重係数、α* は真の崩壊荷重係数である。
下界定理による極限解析は、静力学的制約条件(力の釣り合い式と降伏条件)の下で、荷重係数を最大化する最適化問題に帰着する。
脚注
- ^ 伏見康治「確率論及統計論」,1948 復刻版 1998 ISBN 978-4874720127 p.186
参考文献
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- 小林昭一 『構造力学(上)』 培風館、1990年。
- 岡二三夫 『土質力学』 朝倉書店、2003年。
- 田村武「数値解析法総論」、『地盤力学数値解析-“限界状態”の予測手法を中心として』、(社)土質工学会関西支部、1986年。
- 田村武「剛塑性有限要素法の基礎と適用」、『地盤力学数値解析-“限界状態”の予測手法を中心として』、(社)土質工学会関西支部、1986年。
- 伏見康治 『確率論及統計論』 河出書房、1942年。ISBN 9784874720127。
関連項目
極限定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 08:20 UTC 版)
パラメータが n と p = λ/n である二項分布において、λ を一定に保ったまま n を無限大に近づけると、その分布は平均 λ のポアソン分布に近づく。すなわち、 lim λ = n p , n → ∞ ( n k ) p k ( 1 − p ) n − k = λ k e − λ k ! {\displaystyle \lim _{\lambda =np,n\to \infty }{n \choose k}p^{k}(1-p)^{n-k}={\frac {\lambda ^{k}e^{-\lambda }}{k!}}} が成り立つ。これをポアソンの極限定理という。この定理の名は、数学者シメオン・ドニ・ポアソンが1837年に著書 "Recherches sur la probabilite des jugements" (Researches on the Probabilities)の中で結果を与えたことに由来する。なお、この中で、二項分布の極限としてポアソン分布が初めて導出されている。 導出の詳細を次に示す。計算には、以下の関係式を用いる。 lim n → ∞ ( 1 − λ n ) n = e − λ . {\displaystyle \lim _{n\to \infty }\left(1-{\frac {\lambda }{n}}\right)^{n}=e^{-\lambda }.} ここで p = λ/n とすると、 lim n → ∞ P ( X = k ) = lim n → ∞ ( n k ) p k ( 1 − p ) n − k = lim n → ∞ n ! ( n − k ) ! k ! ( λ n ) k ( 1 − λ n ) n − k = lim n → ∞ ( n n ) ( n − 1 n ) ( n − 2 n ) ⋯ ( n − k + 1 n ) ⏟ ( λ k k ! ) ⏟ ( 1 − λ n ) n ⏟ ( 1 − λ n ) − k ⏟ . {\displaystyle {\begin{aligned}\lim _{n\to \infty }P(X=k)&=\lim _{n\to \infty }{n \choose k}p^{k}(1-p)^{n-k}\\&=\lim _{n\to \infty }{n! \over (n-k)!k!}\left({\lambda \over n}\right)^{k}\left(1-{\lambda \over n}\right)^{n-k}\\&=\lim _{n\to \infty }\underbrace {\left({n \over n}\right)\left({n-1 \over n}\right)\left({n-2 \over n}\right)\cdots \left({n-k+1 \over n}\right)} \underbrace {\left({\lambda ^{k} \over k!}\right)} \underbrace {\left(1-{\lambda \over n}\right)^{n}} \underbrace {\left(1-{\lambda \over n}\right)^{-k}} .\end{aligned}}} n を無限大に近づけると、4つの下波括弧のうち、最初の下波括弧の部分は 1 に近づく。2番目の下波括弧の部分には n が出現しないので、そのままである。3番目の下波括弧の部分は e−λ に近づく。最後の下波括弧の部分は 1 に近づく。 したがって極限は存在し、 λ k e − λ k ! {\displaystyle {\lambda ^{k}e^{-\lambda } \over k!}} となる。
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