自由化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/30 21:55 UTC 版)
自由化(じゆうか、英語: liberalization, liberalisation)とは、一般に、それまで受けていた政府の統制から解放された状態を指し、通常、社会・経済政策の分野で使用される用語である。自由化という概念や過程はしばしば規制緩和と同様の意味で用いられる事がある[1]。独裁体制の自由化は民主化よりも先に起こることがある(プラハの春のように、そうでないケースも存在する)。
法律上の概念
社会政策においては、自由化は離婚、妊娠中絶、向精神薬などを取り締まる法律の規制緩和を指す。公民権の立場からは、同性愛、同性婚、異人種間結婚、異宗婚などを禁ずる法律の撤廃を指す用語として用いられる。
経済上の概念
経済分野においては、自由化は経済自由化を指すことがほとんどであり、特に貿易自由化や資本市場自由化を指す事が多い。
経済自由化は民営化と結びつくことが多いが、経済自由化と民営化は異なる概念である。例として、欧州連合(EU)はガスや電気市場の自由化を実現しており競争原理 (Competition (economics)) を導入しているが、欧州の主要エネルギー企業の中にはフランスのフランス電力(EDF)やスウェーデンのヴァッテンフォールのように部分的もしくは全面的に国営の企業が存在している。
自由化、民営化された公共サービスは特に高い資本コスト、高い水、ガス、電気コストをかけた少数の大企業に集約されうる。いくつかのケースでは、大企業は法的専有状態にあるか、少なくとも一般消費者用など市場のいくつかの分野で専有状態にある。
自由化はワシントン・コンセンサスの3つの主要論点の1つ(残りの2つは民営化と安定性)である。
混成された自由化という概念も存在している。例として、ガーナでは様々な民間企業により栽培されたココアの販売が行われているが、販売しうる下限の値段が設定されており、あらゆるココアの輸出を国がコントロールしている[2]。
民主化との違い
自由化と民主化は同様の概念と考えられていることが多いが、両者の間には明確な違いがある。自由化は民主化なしでも成立する概念[3]であり、民間人に対する国有地(国有財産)の自由化と言った特定の問題に特化した政治的・社会的変化を組み合わせたものとして言及される。一方で、民主化は自由化から生じうる、より政治的に特化した概念であるが、より深いレベルの政治自由化を指す。
関連項目
脚注
- ^ Sullivan, Arthur; Sheffrin, Steven M. (January 2002). Economics: Principles in Action. New Jersey: Pearson Prentice Hall. ISBN 0-13-063085-3
- ^ Marcella Vigneri and Paulo Santos (2007) "Ghana and the cocoa marketing dilemma: What has liberalisation without price competition achieved?", Overseas Development Institute
- ^ 一例として、中華人民共和国では天安門事件に見られるように、民主化運動を徹底的に抑圧する一方、改革開放の名のもとに経済の自由化を進められた。
外部リンク
自由化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 14:58 UTC 版)
政府は引き続き経済の自由化と自由貿易に積極的に取り組み、経済自由度指数は南アメリカで長らくトップであり、2010年には南米で初めて経済協力開発機構(OECD)に加入した。1990年代にカナダやメキシコ、中央アメリカと自由貿易協定(FTA)を締結。また、ベネズエラやコロンビア、エクアドルとも特恵貿易協定を結んだ。1996年10月にはアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、そしてウルグアイから成るメルコスルも発効した。輸出中心の成長戦略は21世紀に入っても続き、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の一員としてアジア市場との関係強化を模索。近年ではニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、インド、中国、そして日本と経済連携協定を締結した。2007年にはオーストラリア、タイ、マレーシアと貿易交渉に入った。現在、チリ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイの4ヶ国(P4)は、現行の協定に財政及び投資に係る条項を付加する計画がある。
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「自由化」の例文・使い方・用例・文例
- 金利自由化の方向性を一定するのはむずかしいことです。
- 牛肉の自由化のはっきりとした結果が明らかになるには、4年かかるだろう。
- 日本は貿易を自由化するように求められている.
- ロシアの皇帝で、ロシアの政府を自由化する計画がナポレオンとの戦争のため実現されてなかった(1777年−1825年)
- 国際間の資本取り引きを自由化すること
- 貿易を自由化する
- 輸入の非自由化品目を輸入する場合,事前に許可を得る制度
- 自由化コードという,資本取引を国際間で自由にすることを決めた規定
- 一国の輸入総額のうち,輸入が自由化されているものの割合
- ニューコモンキャリアという,電気通信事業の自由化に伴ない,新たに第一種電気通信事業に参加した業者
- オープンスカイポリシーという,衛星通信の自由化政策
- 金利を自由化すること
- 電気通信事業の自由化に伴って新規に第一種電気通信事業に参加した業者
- その改革には,電力市(し)場(じょう)の自由化や米の減反政策の廃止が含まれる。
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