認定調査
認定調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 10:12 UTC 版)
要介護認定申請を受けた市町村は、被保険者宅(あるいは、入院・入所先)に調査員を派遣し、被保険者の心身の状況や置かれている環境などについて認定調査を行う(第27条第2項)。通常は事前に調査員が訪問の日時を連絡し、可能であれば同居している家族等の立ち会いを求める。 新規の要介護認定申請の場合、認定調査は保険者である市町村の職員が行う。ただし、被保険者が遠隔地に居所を有する時は、他市町村に認定調査を嘱託することができる(第27条第2項)。また、都道府県知事が指定した指定市町村事務受託法人に委託することもできる(第24条の2第1項第2号)。市町村の条例等により、調査員はその身分を証する調査員証を携帯し、請求があればこれを呈示しなければならない。 さらに、要介護認定の更新申請及び区分変更申請の認定調査に限っては、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設、介護支援専門員(個人)などに委託することができる(第28条第5項)。申請をした被保険者とサービス利用契約を結んでいる事業者は、その要介護認定の結果に利害関係のある立場だが、認定調査の委託先となることについて法令上の制限はなく、市町村の運用に任されている。以前は新規の要介護認定申請についても同様に委託できたが、2006年(平成18年)4月の介護保険法改正により、2008年(平成20年)4月以降は委託先が指定市町村事務受託法人に限定された。 市町村はこれらの規定の範囲内で認定調査を行っているが、市町村の正規職員による認定調査が多数を占める場合、市町村の非常勤職員による認定調査が多数を占める場合、更新申請及び区分変更申請の大多数を委託している場合、新規申請を含めほとんどの認定調査を指定市町村事務受託法人で実施している場合など、対応はまちまちである。 委託料は市町村と委託先の契約によって決められるため市町村によって異なるが、一件につき2,500円から5,000円程度である(調査対象の被保険者が在宅か施設入所かによって異なることもある)。認定調査の実施から調査票の完成までに要する時間からすると安価な水準であることが多く、認定調査の委託を受けない事業者もある。 調査内容は、心身の状況、置かれている環境、その他厚生労働省令で定める事項となっており、2000年(平成12年)4月の介護保険制度施行時には85項目であったが、追加と削除が繰り返され、2003年(平成15年)4月改正で79項目、2006年(平成18年)4月改正で82項目、2009年(平成21年)4月改正で74項目と変化している。 なお認定調査において、定められた調査項目では被保険者の状態を十分表せない場合、特記事項として調査員が文章で状態を記録する。 また要介護認定申請中に申請者が死亡しても、生前に認定調査が実施され、医師の診察を受けていれば、審査判定に必要な資料は整うため問題とはならない。しかし、がんなど終末期に状態が急変しやすい疾病の場合、要介護認定申請をした被保険者が、認定調査の実施前に死亡することがある。サービスの暫定利用があると、保険給付にかかわるため、申請から死亡までの要介護認定の取扱いが問題となる。「認定調査が終了していないような場合には、当然、要介護認定等も行うことができず、介護給付を受けることはできないものと考える」としており、この見解に沿って要介護認定をせずに保険給付をしない取扱いとする市町村もある。しかし、法令上明確な規定があるわけではなく、市町村側の都合で認定調査の実施までに時間を要したというようなケースもあり、すべて保険給付が受けられないことにするのが適切かどうかは、疑義が生じる。
※この「認定調査」の解説は、「要介護認定」の解説の一部です。
「認定調査」を含む「要介護認定」の記事については、「要介護認定」の概要を参照ください。
認定調査と同じ種類の言葉
- 認定調査のページへのリンク