電界放出電子銃(FE電子銃) FEG: field-emission electron gun,FE electron gun
- 電界放出現象を利用した電子銃。エミッタとしては通常、W<310>単結晶が用いられるが、強電界を作るためにその先端は100nm程度の曲率半径に仕上げられている。電子源の大きさは5〜10nmと小さいため輝度が極めて高いのが特長であり、高分解能SEM用の電子銃として多く用いられる。放出電子のエネルギー幅が小さいことから、低加速電圧でも高分解能が得やすい。欠点としては、室温で動作するためガス吸着によって放出電流が不安定になりやすく、超高真空が必要であること、放出電子によってイオン化された残留ガス分子の衝撃で陰極表面が荒れて最終的には陰極が破壊される可能性があること、などがある。これを防ぐために時々フラッシングという陰極の瞬間的な加熱を行う。陰極からの電子の放出角は、熱電子銃、ショットキー電子銃に比べて大きいため、集束レンズの収差の影響を受けやすく、プローブ電流はあまり大きくできない。
下図に電界放出電子銃の構造を示す。引出電極に印加された引出電圧によって所定の電流の電子を放出させ、加速電極に印加された加速電圧によって所定のエネルギーの電子線を得る。
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