Apple I
Apple Iとは、1976年に発売されたApple初のパーソナルコンピューターキットである。設計者はApple創業メンバーのスティーブ・ウォズニアックである。
Apple Iのキットは、モトローラ製8ビットCPUを搭載した基板のみで提供され、筐体、電源、ディスプレイ、キーボードを購入者が別途用意する必要があった。ディスプレイには、家庭用テレビを利用したモノクロテキストの表示が可能であった。
また、記録メディアはカセットテープで、プログラミング言語のBASICなどが提供されていた。ちなみにApple Iの価格は666ドル、販売台数は約200台だった。
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Apple I
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/29 06:06 UTC 版)
![]() コンピュータ歴史博物館所蔵のApple I | |
開発元 | スティーブ・ウォズニアック |
---|---|
発売日 | 1976年4月11日 |
標準価格 | 666.66ドル |
販売終了日 | 1977年9月30日 |
CPU | MOS 6502 @ 1 MHz |
メモリ |
標準 4 KB 8 KB あるいは拡張カードを使い 48 KB まで拡張可能 |
グラフィック | 40桁×24行の文字表示のみ。スクロールをハードウェアで実装 |
次世代ハード | Apple II |
Apple I(アップル・ワン)は、Appleが一番最初に製作・販売したマイクロコンピュータである。基板の表面に「Apple Computer 1」と刻印されていたため「Apple 1」と表記されることも稀にある。
概要
設計はスティーブ・ウォズニアック。ウォズニアックがほぼ独力で設計・開発したマイクロコンピュータ(あるいは周辺装置を容易に仕立てられるよう周到に設計されたある種のワンボードマイコン)のキットである[1][2]。
ウォズニアックは父親もエンジニアで、自身は6歳でアマチュア無線の免許を取得しアマチュア無線機を自作し、13歳の時にトランジスタを組み合わせて二進加減算機(原始的なコンピュータ)を作り科学コンクールに優勝するなど、エレクトロニクスや回路設計やデジタル回路に精通していた。そのウォズニアックにコンピュータを開発・製造・販売するビジネスを持ちかけたのは年下の友人であるスティーブ・ジョブズだった。ウォズニアックはビジネスに興味は無かったが、自分が新しいコンピュータを創造することには興味があり、その話に乗ったのだった。
Apple Iを発売した時、Apple Computer社はまだ設立したばかりのわずか3人の人間で構成されている会社だった。Apple Iの回路設計はウォズニアックがし、ウォズニアックははんだづけも得意で自分たちでApple Iを組立てることができることは見えていたが、その土台となる基板部分だけは基板製造業者(エッチング処理する業者)にあらかじめ発注する必要があった。基板製造業者には製造代金を前払いで支払う必要があったが、その金すら持っていなかったジョブズとウォズニアックは、自分らが持っているものを売ってその金を工面した。ジョブズは自分が所有していた唯一の乗り物であるフォルクスワーゲンのバンを売り[3]、ウォズニアックはヒューレット・パッカード製のHP-65という高機能電卓を500ドルで売った[4]。
1976年7月、Apple Iはカリフォルニア州パロアルトのホームブリュー・コンピュータ・クラブで披露された[5]。
発売とその後
1976年7月、666ドル66セントという価格で発売[6]。この価格設定は、ウォズニアックが「数字の繰り返し」が好きだからで、同時に地元の店に500ドルで売ったので、そこから3分の1値上げしたからでもある[7]。約200台を生産(うち、売れたのは約170台)。当時、他のホビイスト向けコンピュータは組み立てキットとして販売されていたが、Apple I は60個以上のチップを実装済みの回路基板として販売された。しかし筐体は無く、ほかにもキーボード、トランス(レギュレータはオンボード)を自分で用意して組み立てなければならなかった。カセットテープインタフェースについては別売りで用意され(75ドル)、拡張スロットに挿して使用した。
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AppleIは当時としては内蔵の端末回路が際立っている。必要なのはキーボードと安価なテレビ受像機だけである。競合するAltair 8800などは、フロントパネルのトグルスイッチでプログラミングし、ランプ(赤のLEDなど)で表示させており、コンピュータ端末やASR-33のようなテレタイプ端末に接続するには別のハードウェアを追加する必要があった。そのためApple Iは革新的マシンだった。BASICもテープで提供された。1977年4月、475ドルに値下げした[8]。同じく4月にApple IIを発表し6月から出荷開始していたが、1977年8月までApple Iも販売していた[9]。Appleの製品価格表からApple Iが消えたのは1977年10月のことで、その時点で正式に販売終了となった[10]。
なおApple Iの設計・開発はウォズニアックが独りでしたのであり、Apple Iの技術的に細かなことが分かるのはウォズニアックだけだった。(ジョブズにはさっぱり理解できなかった) Apple Iについて顧客からの質問が寄せられた時にそれに応えサポートできる人間もウォズニアックだけだった。ウォズニアック一人に多大な負荷がかかることになった。
その状態から脱するためにAppleは、後にApple IIを発売した後は、Apple Iオーナーに対してApple IIのディスカウントサービスやApple Iの下取りなどを提供して、Apple IからApple IIへ乗り換えさせるように誘導した。(後々ウォズニアックに負荷がかかり続けないようにとの配慮で)Appleは回収したApple Iを全て裁断して廃棄した。このため現存するApple Iは非常に希少である[11]。
後継機は、大ヒットとなったApple IIである。
コレクターズアイテムとしてのApple I
2017年の時点で現存しているのは世界で約50-60台、そのうち動作するものは8台しか存在しないといわれている[12]。
- 1999年のオークションで5万ドルで落札されたと言われている[13]。
- 2006年9月12日放映のテレビ番組・開運!なんでも鑑定団にて未組立状態の品に600万円という鑑定額が付いた。
- 2009年9月、eBayにて1万7千ドルで売れた[14]。
- 2010年3月23日、eBayにて42,766ドルで売れた[15]。
- 2010年11月、シリアル番号82のApple Iがロンドンのクリスティーズにて133,250ポンド(約21万ドル)で落札。落札額がここまで高いのは、珍しいドキュメントとオリジナルのパッケージ(箱。送り主の住所としてジョブズの実家の住所が書かれたラベルがある)、ジョブズ自身がタイプしてサインした手紙(技術的質問への返事)、オリジナルの送り状(セールスマンの名前として "Steven" と書かれている)が付属していたためである。もともとの購入者はイタリアの Polytechnic University of Turin で、BASICプログラムの実行に使われていた[16][17][18]。
- 2012年6月15日、実動するApple Iがサザビーズのオークションで37万4500USドル(約2950万円)で落札された[19]。希少であるためコレクターズアイテムとなっている[20]。
- 2015年5月30日、シリコンバレーのリサイクルセンターに持ち込まれた廃棄家電に、世界で7台目となる完動品のApple Iが紛れていたことが判明、コレクターオークションで20万USドル(約2400万円)で売却された。リサイクル業者は売上額の半分を元の持ち主に返還したい意向を示している[21]。
- 2016年、量産される前に製造されたテスト版にあたる「Celebrationモデル」がオークションに出品され、81万5000ドル(約8300万円)で落札される。ウォズニアック自身が鑑定し「市販されたものではない」と認めている[22]。
- 2017年5月20日、8台目となる完動品がドイツのオークションハウス「Breker」に出品される。ウォズニアックとジョブズとの電話の会話録音も付いている[12]。落札価格は11万ユーロ(約1375万円)だった。直近の事例より安くなっているのは、スティーブ・ジョブズの死の影響から落ち着いたからだろうと見られている[23]。
- 2018年3月、動作不能になったApple Iを修復した人物が現れる。故障した部品はApple Iと同時期に製造された別の機器に使われている同等品を取り外して交換するという手法により、限りなくオリジナルに近い状態になっている[24]。
- 2018年8月、アメリカのオークションハウス「RR Auction」に修理されたものが出品される[25]。同年3月の件とは修理した人物は別人のため別個体となる。
エミュレータ、クローン、レプリカ
一方で、 Apple Iのソフトウェア互換なレプリカであるReplica Iが2003年、約200ドルで発売された[26][27][28]。かつて、日本向けには米Vintage Computerが代理店となり販売していた[29]。他にもレプリカや自作用キットや指示書などが出回っている[30]。
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出典
- ^ “Co-founder tells his side of Apple story”. Reuters. (September 27, 2006) 2012年7月25日閲覧。
- ^ NPR : A Chat with Computing Pioneer Steve Wozniak
- ^ Kelley: Jobs' vision changed the way we work, play
- ^ Steve Jobs: Steve Wozniak Remembers
- ^ Freiberger, Paul; Michael Swaine (2000). Fire in the Valley: The Making of the Personal Computer (2nd ed.). New York, NY: McGraw-Hill. pp. 265-267. ISBN 0-07-135892-7. "At a Homebrew meeting in July 1976, Woz gave a demonstration of the Apple 1. Paul Terrell, one of the industries earliest retailers, was in attendance."
- ^ “Video: Wozniak: $666.66 seemed like a good idea”. CNET News (November 7, 2005). 2009年2月19日閲覧。
- ^ Wozniak, Steven: "iWoz", page 180. W. W. Norton, 2006. ISBN 978-0-393-06143-7
- ^ April 1977 Price List | Applefritter
- ^ Bill of Sale | Applefritter
- ^ October 1977 Price List | Applefritter
- ^ “The Apple II, cont.”. Apple II History. 2011年2月27日閲覧。
- ^ a b “コンピュータ界の奇跡! 起動する「Apple I」がオークションに出品”. 2017年3月17日閲覧。 - 2017年3月16日 ギズモード
- ^ Ong, Josh (11 November 2010). “Auction of Apple's first computer expected to top $160k”. Apple Insider. 2012年6月16日閲覧。
- ^ “The Apple 1 Registry”. Apple I Mimeo Project. 2012年6月16日閲覧。
- ^ Calande, John (24 March 2010). “Another very nice Apple-1 sold on ebay yesterday”. 2012年6月16日閲覧。
- ^ BBC News (23 November 2010). “First Apple computer fetches £130,000 at auction”. BBC News. 2012年6月16日閲覧。
- ^ “Christie's Sale 7882 / Lot 65”. Christie's. 2012年6月16日閲覧。
- ^ Heater, Brian. “$211,000 Apple-1 up and running, wants to know what this 'cloud' thing is all about”. engadget. engadget.com. 2012年6月16日閲覧。
- ^ “アップル創業時コンピュータに2950万円!”. 読売新聞. (2012年6月16日) 2012年6月16日閲覧。
- ^ Austin, Scott (15 June 2012). “Original Apple 1 Computer Sells for $374,500 in Auction”. The Wall Street Journal 2012年6月16日閲覧。
- ^ “iPhone Mania”. 2015年5月31日閲覧。
- ^ “Appleの魂。超レアな「Apple I」が8300万円で落札”. 2017年3月18日閲覧。
- ^ “起動する超レアな「Apple I」のオークション、思っていたよりも高値つかず…”. ギズモード. (2017年5月27日) 2017年6月12日閲覧。
- ^ “あの初代「Apple I」をメインボードからよみがえらせるぞ…!”. ギズモード. (2018年3月3日) 2018年8月28日閲覧。
- ^ “ちゃんと動く! 往年の「Apple I」がオークションに登場”. ギズモード. (2018年8月27日) 2018年8月28日閲覧。
- ^ replica I – the apple I(c) clone, retrieved August 15, 2009
- ^ replica I at official Briel computers web site, retrieved August 15, 2008
- ^ Gagne, Ken Image gallery: Building an Apple-1 replica from scratch, Computerworld, 2009-08-14, story with pictures for assembling a Briel replica I from a kit, retrieved August 15, 2009
- ^ Replica I 解説 - Wayback MachineによるVintage Computerのアーカイブページ。Replica IとApple Iの解説。
- ^ Owad, Tom Apple I Replica Creation, retrieved August 15, 2009
参考文献
- Price, Rob, So Far:the First Ten Years of a Vision, Apple Computer, Cupertino, CA, 1987, ISBN 1-55693-974-4
- Owad, Tom (2005). Apple I Replica Creation: Back to the Garage. Rockland, MA: Syngress Publishing. Copyright 2005. ISBN 1-931836-40-X
外部リンク
Apple I
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 23:49 UTC 版)
「スティーブ・ウォズニアック」の記事における「Apple I」の解説
1975年、Altair 8800というコンピュータ・キットが発売され人気を博していた。ウォズニアックはAltair 8800よりも優れたマシンを自作できると考え、のちに「Apple I」と命名されるマイクロコンピュータを独力で設計し、完成品を「ホームブリュー・コンピュータ・クラブ」の会合に持ち込み称賛を浴びた。ウォズニアック自身はコンピュータの回路図を無料配布することを望んでいたが、ジョブズはこのマシンを利用したビジネスを始めるべきだと主張した。 ヒューレット・パッカードとアタリにマシンの商品化を断られた後、ジョブズとウォズニアックは自分たちで新事業を立ち上げることを決意した。事業を始めるため、ジョブズは愛車のワーゲンバスを、ウォズニアックはHP製のプログラム電卓(HP-65)を売り払い、1,300ドル余りの資金を捻出した。 1976年4月1日、ジョブズとウォズニアック、そしてロナルド・ウェイン(英語版)の3人は、カリフォルニア州のビジネスパートナーシップとして「Apple Computer Company(アップルコンピュータ・カンパニー)」を創業した。 ジョブズは「Apple Computer」という社名の由来について、当時果実食主義を実践していたことに加え、リンゴ農園から帰ってきた直後だったこともあってこの名前を思いつき、その響きが「楽しげで、元気がよく、威圧感もない」と考え、「その上、電話帳でアタリより上に来る名前でもあった」ので採用したのだと説明している。一方のウォズニアックは、この名前はジョブズが提案したものでありその真意は不明とした上で、「彼は音楽好きであったので、アップル・レコードから思いついたのかもしれない」とコメントしている。 ジョブズが「Apple」を提案したとき、ウォズニアックは即座に「ビートルズのアップル社と同名では訴訟沙汰にならないか?」とジョブズに問い返した(これは2013年の映画『スティーブ・ジョブズ』で描かれている)。この不安は「アップル対アップル訴訟」という形で現実のものとなってしまった。 1976年6月に、バイトショップに「Apple I」50台を納品。666.66ドルの価格がついたが、あまり売れ行きが良くなかった。失望したロナルド・ウェインは権利を放棄して会社を去った。しかし、8月を過ぎると売上は好転。ジョブズとウォズニアックは昼夜時間を惜しんでApple Iを作り、そして売った。
※この「Apple I」の解説は、「スティーブ・ウォズニアック」の解説の一部です。
「Apple I」を含む「スティーブ・ウォズニアック」の記事については、「スティーブ・ウォズニアック」の概要を参照ください。
「Apple I」の例文・使い方・用例・文例
- は Apple の A.
- 同社は1977年に史上初の個人用コンピュータ「Apple Ⅱ」を発表した。
- Apple Japan(アップルジャパン)は,ますます多くの子ども向けアプリが市場に登場するだろうと予想している。
- その患者はHIVウイルスを持っている
- 彼はFBIに雇用されている
- われわれの時代は情報技術,すなわちITが特色である
- FBIが調査に乗り出した
- FBI の諜報部員が彼の電話を盗聴し始めた
- FBIは連邦調査局のことである
- 子どもたちのIQをテストする
- エイズはHIVウイルスが原因だという学説
- という文は“I"のあとに“am"を補って考える
- プラスアルファとして、IT技術を獲得したい。
- 電車やバスを利用するためのICカードです。買い物にも使えます。
- バンクーバー― マレーシアに拠点を置くBaronホテルグループはHoward Hotels Internationalを買収する交渉を行っている。
- ITの専門技術を習得する
- さまざまな事業:Powersさんは、センターの青少年バスケットボールプログラムがBrookville Inquirer の記事内で最近、賞賛されたと知らせた。
- 会社の福利厚生の一部として、Adler Industriesの社員は、街のフィットネスセンターで会員権の割引を受ける権利があります。
- 先日は、Melodia Industriesの営業担当者の職にご応募いただき、ありがとうございます。
- 御社よりInglis博物館へ、引き続きご支援いただきありがとうございます。
固有名詞の分類
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