香港の投資会社ガウ・キャピタル・パートナーズは、東京・銀座の商業施設「東急プラザ銀座」を買収する。東急プラザを展開する東急不動産ホールディングス(HD)は、23年に同物件を三井住友トラスト・パナソニックファイナンスに売却しているが、その後も商業施設としての運営を担ってきた。今回の買収後は、東急不動産HDは運営から撤退し、施設名称も変更される。26年にも施設の改修が始まる見通しだ。
7日午後、ガウ・キャピタルが正式に発表した。ガウ・キャピタルは、シンガポール系のペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)と合弁事業を立ち上げ、現在の保有者である三井住友トラスト・パナソニックファイナンスから買い取る。合弁事業の出資比率はガウ・キャピタル91%、PCG9%。買収額は10億ドル(約1500億円)と報じられている。
東急プラザ銀座は数寄屋橋交差点に立地。地上11階・地下2階に店舗面積2万2000平方メートルの大型商業施設として、16年3月オープンした。東急グループによる本格的な銀座進出として話題になり、グループの東急百貨店が3層のサテライトショップを出したり、外堀通りに面した1・2階に高級ブランドの旗艦店を誘致したりした。訪日客を目当てに、上層部の2層には大型のロッテ免税店も誘致した。
しかしコロナ禍になると、テナントの撤退が相次ぐようになる。コロナが明けて銀座に訪日客があふれるようになり、松屋銀座本店、三越銀座店、ギンザシックスなどの商業施設が過去最高売上高を更新するのとは対照的に、東急プラザ銀座は複数箇所に大きな空きスペースが残ったままだった。銀座の中でも人通りが多い数寄屋橋交差点に立地しながら、そのポテンシャルを十分に生かすことができず、開業から約10年で幕引きとなった。
買収したガウ・キャピタルのアセットマネジメント部門マネージング・ディレクター兼プリンシパルのアルビン・ロー氏は「新たなテナント構成と一貫性のあるコンセプトを備えた、これまでにない活気ある商業施設として刷新し、新たなリテールのハブへと変革していく」とコメントしている。