ファッション

「セヴシグ」節目の最終章は“日本人の内面” 今後はコレクション発表の場を韓国へ

長野剛識デザイナーによるメンズブランド「セヴシグ(SEVESKIG)」はこのほど、東京・千代田区の国立劇場で2025-26年秋冬コレクションをランウエイショー形式で発表した。これまでは、同氏によるウィメンズブランド「アンディサイデッド((UN)DECIDED)」との合同ショーを行ってきたが、今回は「セヴシグ」に注力したいという考えから、1ブランドのみの約70型で構成した34ルックを披露した。約600人の観客が見守った。

同ブランドは過去4シーズンにわたり、熊本県幣立神宮(へいたてじんぐう)に伝わる「人類の祖神は赤人、白人、黄人、青人、黒人の5色に分けられる」という五色人思想をコンセプトとしており、23-24年秋冬はネイティブアメリカンのホピ族である「赤人」を、24年春夏は北欧スラブ民族の「白人」、24-25年秋冬はアボリジニを指す「青人」、25年春夏は人類の起源がエチオピアにあることから「黒人」をモチーフに服作りを行ってきた。今季は5色目のアジア系民族を表す「黄人」として、“日本人の内面”にフォーカスした。

日本らしい仕掛け続々
“無常”の精神を表現

横笛の音色と和太鼓のリズムが響く中、ロックバンド・RIZEのベーシストであるケンケン(KenKen)とトラックメーカーのコーニー(KO-ney)が現れ、ベースとフィンガードラムの心地よい重低音が会場を揺らす。

デザインに落とし込んだのは、「全てが移ろいゆく自然の摂理を受け入れる“無常”の心理」だ。例えば骸骨のモチーフを本銀箔で描き、硫黄で焼いて経年変化の風合いを出したレザージャケットや、ぼろを思わせる激しいダメージ加工のジーンズ、襟が摩耗したかのようなデザインのシャツなど、年月が刻んだ時間の重みを表現するアイテムを連打する。

次から次へと日本らしい仕掛けを披露して、観客を飽きさせなかった。前掛けのようなラップスカートや、「成田山」などの文字やロゴをうっすらとプリントしたベロア地のセットアップ、日本地図を大きくあしらった総柄のコート、前身頃に刺し子を施したウールジャケットをラインアップ。パッチワークでアーガイル柄を作ったカーディガン、ビンテージTシャツを継ぎはぎしたジャケットも、モノを大切にする仏教用語が由来の“もったいない精神”を表している。

「キッズラブゲイト(KIDS LOVE GAITE)」とのコラボレーションも2シーズン前から継続し、家の反映や長寿への願いを込めた紗綾形(さやがた)刺しゅうをあしらったウエスタンブーツを発表した。他に、サンダルブランド「スブ(SUBU)」とパリ発のストリートブランド「アヴニエ(AVNIER)」とトリプルコラボした冬用サンダルや、日本を代表する漫画家の江口寿史のイラストを用いたTシャツも制作した。

フィナーレに登場した長野デザイナーは、自身の80歳の姿をシュミレーションして作ったという老人の面をつけていた。「超高齢化社会の日本だけど、歳を取るのも怖くないよ」というメッセージを込めているという。次シーズン以降は「セヴシグ」のコレクション発表の場を韓国に移すことも明かした。元iKONのメンバー、B.Iがツアーで同ブランドを着用したことなどで韓国でもブランドの知名度が高まっているほか、同国内のとあるセレクトショップとエクスクルーシブ契約を結ぶなど、コアなファンを獲得しているようだ。

関連タグの最新記事

最新号紹介

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。