選んだ10軒の宿はすべて1人で宿泊可能な宿です
2017年から毎年、1年間に泊まった宿を振り返って「部屋」「風呂」「食事」というそれぞれの側面において「この宿はすばらしく良かった!」と印象に残っている宿をそれぞれ1位から3位まで紹介する、という記事を更新しています。
2024年も間もなく終わるタイミングでの公開となり恐縮ですが、本稿はその2023年版です。この記事を公開せずには年を越せない……。
過去6回分の記事は下記になります。
食事部門だけ3軒に絞りきれず3位が2軒あり、全部で10軒の宿を紹介しています。
2023年版で選んだ宿も、すべて1人で宿泊した宿で、現時点でもすべての宿が1人泊を受け入れており、10軒の宿のうち8軒は、休前日でも1人で宿泊可能な宿です。私自身もそうですが、土日休みの勤め人で、できれば土曜日に1人で泊まれる宿が知りたい……という方が多いのではないかと思いますので、各宿についていつなら1人で予約可能かを付記しています。
一人旅で利用しやすい温泉旅館については、発売中の著書にもたくさん掲載していますので、ぜひ、お手に取っていただけますと幸いです。
- 選んだ10軒の宿はすべて1人で宿泊可能な宿です
- 2023年「部屋と建物」が良かった温泉宿ランキング
- 2023年「風呂」が良かった温泉宿ランキング
- 2023年「料理」が良かった温泉宿ランキング
- 【おまけ】惜しくも選に漏れた「部屋・風呂・食事」すべての満足度が高かった絶対再訪したい宿11軒
「部屋と建物」「風呂」「食事」の項目ごとに良かった宿ランキングを作った
普段、温泉旅館の宿泊レポートを書く際に私は、★5つを満点として「部屋」「食事」「風呂」について自分なりに採点し、最後にサービスや総合的な印象などを含めて「再訪したい度」を決めて、ご紹介するようにしています。
そのため、この記事ではそれに倣い「部屋」「食事」「風呂」という観点で、最高に印象に残っている宿を1位~3位まで発表します。項目ごとのランキングなので「お湯はいいけど、食事はちょっと……」な宿であっても「風呂ランキング1位」になり得るということです。
ただ、実際に「いい宿だったか」「また泊まりたいか」ということを考えるときは「部屋」「風呂」「食事」のどれかが突出していい宿だけではなく「すべてが平均的に良い」宿や「サービスが良い」「コスパがいい」宿が上位に来ることも多いものです。
昨年同様「いろんな要素を総合的に見たランキング」は、別の記事でまたご紹介したいと思います。
2017年~2022年に泊まった宿の総合ランキングは上記です。
2023年「部屋と建物」が良かった温泉宿ランキング
宿泊レポートの中では「部屋」という項目名ですが、実際には
・建築物としてすばらしく「ここに泊まれるのか!」という感動がある
・設備が整っており、住みたいぐらい快適に過ごせる
という2軸で見ているため「部屋と建物」が良かったランキングとしています。
選んだ3軒の宿のうち1軒は過去にも宿泊したことがあり、2軒は2022年に初めて宿泊した宿でした。
部屋第3位 北海道「ピリカレラホテル」
部屋が良かった宿3位に選んだのは、2023年11月に初めて宿泊した、北海道の白老町にある全6室の温泉付きホテル「ピリカレラホテル」です。土曜日も1人泊可能な宿です!
徒歩圏内にアイヌの村を再現した野外文化博物館である「ウポポイ 民族共生象徴空間」があり、宿泊前後に立ち寄る方が多いようです。
白老駅からホテルまでは徒歩15分。前日までに連絡すれば駅まで送迎してもらえますが、私は途中にあるコープさっぽろや宿の目の前にあるセイコーマートに立ち寄りつつ、のんびり歩いてたどり着きました。
宿泊した日の日記をnoteに書いています。
全室にモール泉かけ流しの内湯とマッサージチェア、朝食はイクラかけ放題
今回「部屋」部門でのランクインですが、食事も温泉もすばらしい宿でした。
チェックイン時は薪ストーブの燃えるロビーでコーヒーと焼き菓子をいただきましたが、この焼き菓子も手作りで上質なお味がします。
客室は50平米のツインの洋室です。「全室スイートルーム」と謳われていますが、スイートルームを想像していると少し印象が異なるかもしれません。ですが、1人で泊まるならもちろん、2人で泊まるにも十分過ぎる広さです。
リビングスペースのある広めの洋室ですが、和洋室タイプもある模様です。ベッドはシモンズ。マッサージチェアもあってソファの座り心地も良く、快適に過ごせました。
館内着の羽織にはアイヌ模様が刺繍されており、お部屋以外のレストランなどもこちらを着て出入りできます。
客室にはコーヒーや紅茶がたっぷり飲めるようセットしてあり、冷蔵庫内のソフトドリンクも無料です。
そして客室風呂!
2人で浸かるには少々狭めですが、1人ならゆったり浸かれる広さの浴槽に、茶褐色のモール泉が常時かけ流されていました。湯上がりは肌がツルツルになる美肌の湯です。
化粧水などのアメニティも上質なものが揃っており、ドライヤーがナノイーなのもうれしい……。
また、客室風呂のほかに45分間無料で貸切利用できる、開放感抜群の貸切露天風呂もあります。
非常に快適で1泊と言わず連泊して滞在したくなる宿なのですが、部屋だけでなく食事も大変おいしいのです。
「鉄板フレンチ」と「和食」から選択でき、私は鉄板フレンチを選びましたが、一品一品焼き上げたり、仕上げをして提供してくれるのを目の前で眺められるので1人でも退屈せずに食事を楽しめます。
北海道産の食材がふんだんに使われ、見た目も味もすばらしいコース料理でした。グラスでいただけるワインの種類が多いのもうれしかったですね。
それから、ラウンジでは20時から23時まで食後酒をセルフで楽しめるサービスがあったり。
朝食ではイクラを「ストップ」と言うまで好きなだけかけてくれます。
快適で住みたくなるような部屋だけでなく、食事もお湯もサービスも良く、交通の便も良いのできっとまた泊まりに行きたいと思います。
部屋第2位 福島県「会津東山温泉 向瀧」
部屋が良かった宿2位に選んだのは、2023年3月に初めて宿泊した、福島県会津若松市の東山温泉の「向瀧」です。
こちらの宿、じゃらんや楽天などの予約サイトには1人泊のプランが出ていないのですが、公式サイトからであれば1人泊の予約が可能です。土曜日でも、空室があれば1人で泊まれますし、2名以上のグループを優先するということもなく、先着順のようです。人気のある部屋は早々に埋まってしまうようですので、早めの予約がおすすめです。
東山温泉までは会津若松からバスで向かいます。バスの本数も比較的多いので交通の便も問題なし。バス停からは擬宝珠のついた橋を渡っていくとすぐに向瀧に着きました。
玄関に近づくと、スタッフの方が気づいて中に招き入れてくれました。
中庭の眺めは寂しい季節の宿泊だったものの、部屋や浴室のすばらしさで十分満足
向瀧では、公式サイトから予約する場合「階段の上り下りの少ない部屋」や「中庭に面した部屋」など、宿泊する部屋について細かなリクエストをすることができ、希望日にリクエスト通りの空室があれば予約が成立。希望通りの空室がない場合は「希望の日程で空いている部屋はこのような部屋だがどうか?」というような返信が宿から来て、メールで相談のうえ予約を確定することになります。
電話予約の際に相談するような内容を、Webフォームへの入力+返信メールで行うようなイメージです。電話予約には尻込みしてしまう私ですが、この方式ならビビらずに予約できました。
私は宿泊予定日の1ヶ月ほど前に予約をしたのですが、時期的に恐らくあまり混まないタイミングだったので、人気がある「中庭に面した部屋」を土曜日に予約することができました。雪や桜、紅葉の季節などは数ヶ月前に予約しておかないと、中庭に面した部屋に週末泊まることは難しいようです。
宿泊したのは、階段を上ってつきあたりにある「百合」の部屋です。
コタツが設置された広縁付きの和室。
雪も桜もない中途半端な季節なので「どうせならもう少し暖かくなってから泊まったほうがいいのだろうか?」と迷いつつ宿泊を決めたのですが、結果的にはコタツがある時期に来れて良かった!と思いました。
広縁の大きな窓からは中庭を眺めることができます。
冬には、中庭に「雪見ろうそく」が灯されます。2024年は12月21日~2月28日まで。ただし積雪がない日は実施しません。
1度見てみたいなとは思うのですが、めちゃくちゃ寒い時期なので、お風呂に行くのが億劫になりそうだなあとも思い。とりあえず初回は比較的過ごしやすい時期を選んだ次第です。
中庭の眺めはやや寂しい時期ですが、部屋は快適そのもの。チェックイン時に出していただいた抹茶と羊羹が本当においしい。
畳の縁や、部屋に置いてあった裁縫箱まで洒落ています。そして部屋の中はとても暖かく、建物や調度品は昔からのものをしっかりと残しているけれど、洗面所やトイレなどの水回りはきちんと新しいものに変わっているのもすばらしいなと。
コタツが快適すぎてそのまま寝てしまいそうでしたが、なんとか部屋を抜け出してお風呂へ。
浴室へつながる石畳のような廊下、開放感ある男女別の内湯の「さるの湯」
昔ながらの浴室で自然湧出の極上湯が楽しめる「きつね湯」
さらに、空いているときに貸切で利用できる小浴室が3ヶ所あり、いずれも趣あるすばらしい浴室でした。
朝夕お部屋に運んでいただける食事も「こづゆ」や「鯉の甘煮」など会津の郷土料理を取り入れたメニューで味もすばらしかったです。
建物や調度の美しさが特に印象に残りましたが、湯も食事も大変すばらしく、また季節を変えて必ず訪れたいと思っています。スタッフの方のサービスも皆すばらしかったです。
部屋第1位 長崎県「雲仙観光ホテル」
部屋と建物が良かった宿の第1位は、2023年2月に宿泊した長崎県の雲仙温泉にあるクラシックホテル「雲仙観光ホテル」です。
1935年創業、日本クラシックホテルの会の会員宿でもあるこちらの宿。もともと人気があって予約の取りにくい宿でしたが、コロナ禍に長期間休業したり、営業再開して以降も客室数を絞って営業していたようで、かなり予約困難になっていました。
当時は「このまま廃業してしまったりしたらどうしよう!」と本気で怯えていたのですが、2023年ごろからは安定して営業されているようです。
お安い宿ではありませんが、雲仙温泉は外国人観光客に非常に人気があり、宿泊料金が高騰して1人で泊まれる宿がどんどん減っている中、この宿はコロナ禍前から大幅な値上げもしていませんし、土曜日も1人で泊まることができます。
いつまでこの状況が続くかはわからないので、泊まれるうちに泊まっておきたい宿だなと思っています。
客室・浴室・レストランなどいずれも素晴らしく風格がある上に、食事もおいしい
正直なところ、インテリアや建築に明るいわけではまったくない私ですが、雲仙観光ホテルの持つ美しさや風格は、何の知識もない私にも十分に感じられるすばらしいものでした。
廊下の手すり、カーテン、絨毯、照明、すべてが美しい。
宿泊したのは最もお安く泊まれる、スタンダードツインルーム。
ローズピンクの壁と、ベッドの奥の花模様の壁紙が本当にかわいい。
館内設備の図書室やビリヤード場。
ビリヤード場のステンドグラス風の窓も素敵でしたね。
そして浴室。入口の壁紙やドアの形状まで洒落ています。
雲仙温泉のお湯は強酸性の硫黄泉なのですが、雲仙観光ホテルのお湯は酸性ではあるものの硫化水素臭はあまりせず、マイルドで入りやすいお湯でした。ドーム型の天井やステンドグラスの入った窓など、洋館の浴室らしいデザインでした。
夕食・朝食をいただくレストランも美しい。
食事も、軽やかなタイプのフレンチで、大変おいしかったです。
ワインのペアリングもあって楽しめました。
雲仙観光ホテルは外観もすばらしく美しいので、夜にライトに照らされた姿を見てみたくなって夕食後、外に出てみました。
すると、建物の背後に輝くオリオン座が!
星の輝きまで味方に付けてしまう、美しいホテルでした。こんなすばらしいホテルで、すばらしいお湯に浸かれておいしい食事までいただけるなんて本当にありがたいことだなと思います。
2023年「風呂」が良かった温泉宿ランキング
「風呂」の良さには「お湯そのものの良さ」と、浴室がきれいで新しい・露天風呂からの眺めがいい・アメニティがしっかりあるなど「浴室の環境の良さ」の2つに分かれるのではないかと思うのですが、ランキングでは特に「お湯」を重視して選びました。
選んだ3軒の宿は、1軒が再訪の宿で、2軒は2023年に初めて泊まった宿でした。
風呂第3位 大分県「由布院温泉 杜の湯 ゆふいん泰葉」
お湯が良かった宿第3位に選んだのは、大分県の由布院温泉にある「杜の湯 ゆふいん泰葉」です。
実は、これまで何度か日帰り入浴でお邪魔したことがあり、すばらしいお湯の宿だということはだいぶ前から知っていたのですが、2023年の3月に初めて宿泊が叶いました。
私は歩いていきましたが、連絡すれば由布院駅まで送迎してもらえます。
1人で泊まれるのは平日のみですが、平日であれば露天風呂付きの部屋にも泊まることができます。日帰りで何度も入ってすばらしいお湯だということはわかっていたので、奮発して母屋の1階にある露天風呂付きの部屋に宿泊しました。
メタケイ酸豊富なとろとろ浴感の青みがかった美肌の湯
宿泊した「母屋1階露天風呂付き客室」は、8畳の和室に広縁付き。広縁から露天風呂に出ることができます。
露天風呂は1人入ればいっぱいのコンパクトサイズ。2名以上で浸かることは難しいと思いますが、1人なら十分ゆったり浸かれます。
ゆふいん泰葉のお湯は時間が経つと青くなる「青湯」なのですが、客室風呂は浴槽のサイズが小さめなので青く変化する前にすべてのお湯が入れ替わってしまいます。
ですがその分お湯の鮮度は抜群です。湯口についた温泉成分の結晶を眺めつつ、湯浴みを楽しみました。
客室風呂のほかに、館内には男女別の大浴場も設置されています。撮影禁止ですが、清掃前の時間帯に許可をいただいて撮影させてもらいました。
内湯は、部屋風呂よりはやや青みが強めに感じられます。
そして、露天風呂はうっすらと濁りの感じられるミルキーブルー!
開放感のある露天風呂で、爽やかな風を感じつつ、メタケイ酸豊富な美肌の湯を楽しみました。
また、母屋の大浴場の前のスペースには宿泊者専用のフリードリンクコーナーがあり、コーヒーのほかペットボトルのお茶やジュース、レモンサワーなども自由に飲むことができます。
お風呂上がりにこちらでいただいても良いですし、部屋に持ち帰って楽しむのもOKです。
この他にもう1ヶ所、離れの近くに小浴室があるので行ってみることに。
離れに向かう途中の通路(屋根はあるけれど屋外です)からは、源泉の管理設備が見えました。高温の源泉をこちらにいったん貯めて冷まし、適温になってから各浴室に配湯することで源泉100%のまま、適温の湯が楽しめるようになっているのだそう。だからゆふいん泰葉のお湯はとろとろ感が強く濃厚なんですね。
ちなみにこの周辺は暖かいからか、猫がいる確率が高いです。
離れの近くにある小浴室は男湯と女湯があり、日中は日帰り入浴客にも開放されています。
日帰りでおとずれたときにこちらの浴室を利用し、とろとろ浴感の湯に感動して「いつか泊まってみたい」と思った思い出深い浴室。こちらの浴室も宿泊客も利用可能です。浴槽が小さめだからこちらも青みは薄めですね。
このほかに、母屋の2階にも貸切風呂があり、客室風呂がない2階の部屋に泊まった方は無料で1回40分利用可能とのこと。母屋の1階の露天風呂はコンパクトなので、2人以上で入りたい場合は客室風呂がない部屋か、客室風呂が広めの離れに泊まるのが良さそうです。
食事も朝夕共に個室食事処での提供となり、1人でも気兼ねなく食べられます。
特に夕食では、大分県佐伯市で養殖されている「美人鰤」や、最後のご飯と一緒に大分の郷土料理「りゅうきゅう」が提供されるなど、郷土色もあっておいしくいただきました。
風呂第2位 熊本県「大洞窟の宿 湯楽亭」
風呂が良かった宿第2位に選んだのは、熊本県天草弓ヶ浜温泉の「大洞窟の宿 湯楽亭」です。
「天草弓ヶ浜温泉」という聞き慣れない名前の温泉ですが、1972年に掘削された比較的新しい温泉で、今回ご紹介する湯楽亭1軒のみの温泉地なので、知らなかったのも納得です。
住所だと「上天草市」という、天草諸島東部に位置する市に属し、宿から2~3分歩けば海に出る、海沿いの温泉です。
海の向こうには島原半島と雲仙岳がくっきりと見えました。
秘湯を守る会の会員宿であること、九州温泉道の対象施設であることから知った宿でしたが、他の方のレビューなどから想像していた以上にお湯が良かったのです!かなり気に入って旅の途中にこんなポストをしてしまったほど。
しかし、こんな海沿いの街に、長湯温泉みたいな高濃度炭酸水素塩泉の炭酸泉が湧いてるからびっくりする。
湯口で炭酸が弾けてる。 pic.twitter.com/Wqi06M95N1— 月山もも🍶#ひとり旅本 10刷 (@happy_dust) 2023年5月20日
東京からは行きにくい場所ですが、これは多くの人にお知らせしたい宿だ!と思い、旅から帰ってすぐにブログに宿泊レポートを書いてしまったほどです。
熊本駅からの行き方などの詳細もブログに書いています。近くの道の駅まで送迎してもらえるので、熊本まで行ってしまえばわりと楽に行けました。
ちなみに、2023年の宿泊時は1人泊の2食付きのプランは平日のみしか出ていなかったのですが、現在は1名でも土曜日2食付きで泊まれるようです。
湯口でシュワシュワと弾ける濃厚炭酸水素塩泉とぬる湯の交互浴が楽しめる
客室は一般的な和室ですが、広縁がリビングのように広くゆったりとしており、庭の緑を眺められるのは良かったです。
それからこちらの宿、客室の風呂にも温泉が配湯されているのだそう。
大浴場に通うのが忙しくて部屋風呂は利用しないでしまったのですが、利用前にフロントに連絡すれば部屋風呂でも温泉に浸かれるようです。
浴室は大浴場が2ヶ所あり、深夜早朝は利用できませんが、朝には男湯と女湯が交換になるので宿泊すれば両方の浴室を楽しむことができます。
湯楽亭では「ぬる湯の単純泉の白湯」と「高温の炭酸水素塩泉の赤湯」の2つの源泉を持っていて、両方の源泉が楽しめるようになっています。
まずはぬる湯の「白湯」のエリアです。
浴槽が2つあり、源泉温度が33度なので10月から4月の間は加温しているとのことですが宿泊したのは5月。おそらく加温はしていなかったと思います。体感では33度よりはやや高めの人肌のぬる湯を楽しめました。
次に「赤湯」の浴槽がある内湯へ。こちらはログハウスのような造りです。
赤湯の源泉温度は50度ぐらいあり、浴槽内は41度ぐらいあるのですが、湯口ではパチパチと炭酸ガスが弾けていました。
湯面には油膜が張り、湯の花がたっぷりと浮かんでいます。新鮮さの感じられる濃厚な炭酸泉をじっくりと楽しめました。
そしてこちらの宿の代名詞でもある洞窟湯!なんと、家族全員で手掘りして作ったのだそう。
こちらも赤湯で満たされているのですが、内湯の赤湯よりはやや温めで、長湯を楽しめました。
翌日朝に女湯となったもう1ヶ所の浴室も、浴槽の構成はまったく同じ。
まずはぬる湯の白湯の浴室があります。湯口にコップが置いてあって飲泉もできるようでした。
そして赤湯の内湯。
こちらも、朝も元気に炭酸ガスが弾けていました。
洞窟と露天風呂は、こちらの浴室のほうが広かったです。個人的には内湯で、赤湯と白湯の交互浴を楽しむのがとても気に入りました。
ちなみに、食事も海の宿らしく海産物たっぷり!で大変おいしかったです。お刺身は5~6種類の盛り合わせで、焼き物は鮑のバター焼き。
現在は、1人泊の場合2食付き2万円を少し超える宿泊料金となっていますが、この頃はギリギリ2万円以下で泊まれました。それでこの質とボリュームはすごいなと。
朝食は鯵の干物に、お味噌汁にも魚がたっぷり。
朝食を終えて食事処を出ると宿の飼い猫であるサビ猫のゆなちゃんが挨拶してくれて、幸せな気持ちになったことを覚えています。少し遠いですが、湯も食事もサービスも良い宿でした。
風呂第1位 秋田県「白神矢立 湯源郷の宿 日景温泉」
風呂が良かった宿第1位に選んだのは秋田県の「白神矢立 湯源郷の宿 日景温泉」です。
秋田県内の宿ですが、東京から行く場合は新青森駅から奥羽本線で「碇ヶ関駅」あるいは「陣場駅」まで出れば送迎してもらえます。
今回「風呂」で1位に選びましたが、食事もおいしく、土曜日も1人で泊まれる宿なので既に3度泊まっているお気に入りの宿です。2023年に宿泊した際はnoteに旅日記を掲載しています。
大浴場と2つの泉質の源泉を楽しめる5ヶ所の貸切風呂で、館内で湯めぐりを楽しめる
チェックイン時にまず案内されるフロント橫のラウンジでは、滞在中コーヒーや紅茶などの飲み物とアイスキャンデーを好きにいただくことができます。
アイスの無料サービスをやっている宿はそんなに珍しくないですが、日景温泉のアイスはあずきバーやチョコバナナなどもあって種類豊富なのでつい、お風呂上がりに食べてしまいます。
客室はいくつかの種類がありますが、今回宿泊したのは「ひとり旅プラン」用のリノベーション浴室。
洗面・トイレ・リクライニングチェアなどが揃ったダブルの洋室です。
冷蔵庫にはサービスのお茶のペットボトルと、一番搾りの缶ビールが入っているのもうれしい。
湯上がりにはビールを飲みつつリクライニングチェアでだらだらと、至福の時間を過ごせます。
日景温泉の浴室は男女別の大浴場と、貸切風呂が5ヶ所あります。
貸切風呂は時間制限があるので、まずは大浴場で体や頭を洗います。
2021年に初めて宿泊した際に許可をいただいて撮影した写真です。
貸切風呂を利用する際は、こちらの黒板で予約します。
5ヶ所ある浴室をチェックイン日に1回、チェックアウト日に1回貸切で予約可能です。
予約しての利用は1泊で2ヶ所までになりますが、23時~5時30分までの時間帯は空いていれば鍵をかけて自由に利用できます。ただし、深夜早朝の時間帯は宿の方が見回りなどされていませんので、1名での入浴は避けるように浴室に掲示がありました。
厳密に「禁止!」というわけではないとは思いますが、すべての浴室を回りたい場合は連泊するほうが良いとは思います。実は私も、2021年に初めて泊まってから数ヶ月後、連泊で再訪しています。
また、貸切風呂での写真撮影は2021年は禁止ではなかったのですが、2023年には撮影禁止となっていました。なのでここからは2021年に撮影した画像です。
2室並ぶ左右対称の内風呂「めんけ湯っこ」は、青みがかった含硫黄-ナトリウム-塩化物泉。
3ヶ所の露天風呂では「含硫黄・二酸化炭素-ナトリウム-塩化物泉」の源泉が楽しめます。
小さな滝を眺めつつ湯浴みが楽しめる、最も新しくできた浴室の「滝見の湯っこ」は、雪の季節も良さそうですね。
夜は星空を眺めながら湯に浸かれる「あんべいい湯っこ」と。
そして、他の露天風呂よりも浴槽が広く、開放感のある「うるげる湯っこ」です。
内湯の硫黄泉はやや湯温低めで長湯しやすく、露天風呂は高温で薬品のような独特の香りがしますが、いずれも泉質、浴室の雰囲気共にすばらしいです。
また、個室食事処でいただく食事は地元食材をふんだんに取り入れたお酒のすすむコース料理です。
夕食の最後にきりたんぽ鍋が登場するのもうれしいですね。
朝食も、夕食と見間違えるほどおかずの数が多く、ご飯は白いご飯か比内地鶏のお粥を選ぶことができます。半分ずつ両方いただくことも可能とのことで、ハーフ&ハーフでお願いしました。
1人でひたすら湯めぐりを楽しみたくなる日景温泉、また必ず泊まりに行きたい宿です。
2023年「料理」が良かった温泉宿ランキング
実は毎年「料理が良かった温泉宿ランキング」でも、3位を1軒に絞りきれず4軒ご紹介しているのですが、今回も……でした。もはや毎年恒例のようになってしまいましたが、4軒とも本当においしい宿でしたので、ご紹介させてください。
今回選んだ4軒は、すべて2023年に初めて泊まった宿でした。
料理第3位 静岡県「桜田温泉 山芳園」
第3位に選んだ2軒のうちの1軒は、静岡県の静岡県賀茂郡松崎町桜田の、特に温泉地というわけではない集落の中に佇む一軒宿「桜田温泉 山芳園」です。
伊豆急下田駅から東海バスで松崎・堂ヶ島行きのバスに乗り「桜田」停留所で降りて徒歩5分です。詳細は宿のアクセス情報ページをご参照ください。
全10室の小旅館で土曜日も1人泊可能。温泉浴室付きの部屋にも1人で泊まれて食事は朝夕共に個室食事処でいただく、ひとり旅に優しい宿です。
温泉浴室付きの部屋と浴室なしの部屋の価格差が2000円程度だったので岩風呂付きの部屋に宿泊。
実はこちらの宿、客室内ではWi-Fiが利用できません。さらに泊まった部屋はスマホの電波がほとんど入らなかったので、ここだけの話、風呂はすばらしく良かったにもかかわらず食事の前までは少ししょんぼりしていました。しかし食事が、スタッフの方の対応も含めて本当にすばらしかったので「細かいことはまあいいや」と思えてしまった宿です。
宿泊当時にnoteにも書いていました。着いてからしばらくは本当に、どうしようかと思っていたんですよ……しかし、すばらしい夕食が憂いを吹き飛ばしてくれました。
伊豆の食材がふんだんに使われ、ありきたりでなくお酒との相性も良い料理の数々
ちなみにこちらの宿、部屋付きの風呂以外の浴室も大変すばらしいので簡単にご紹介します。
空いているときに貸切で利用できる、半露天の「家族風呂」と、屋上には「貸切大露天風呂」があります。
大露天風呂は深夜早朝は利用できないものの、20畳ほどあるプールのように広々とした露天風呂で、広すぎて1人では落ち着かないほどでした。しかし、かつてはこの大露天風呂は混浴露天風呂だったようで、貸切でゆったり1人で入れるようになったのはありがたいことですね。
この他に、男女別の檜風呂の大浴場と、女湯にのみ、岩風呂が併設されています。
なぜ女湯にだけ岩風呂があるのだろう……と思ったのですが、恐らく、大露天風呂が混浴だった頃に、女性は入りにくいだろうという配慮から、女湯の浴室が1つ多いということになったのかも……と考えたりしました。実際のところはよくわかりませんが、女湯の岩風呂は異なる湯温の2つの浴槽があって個人的にはこちらの浴室が1番気に入りました。
食事は朝夕共に個室でいただきます。
前菜のキビナゴ南蛮漬け、鮪のパテ、オリーブオイル風味の地魚の漬け、食前酒に自家製サングリア。
お品書きを見て一口食べて「ここは当たりだわ!」とすぐにわかる料理でした。和洋折衷で、けして奇をてらった料理ではないのに「よくある伊豆の温泉宿のコース料理」とはまったく違う新しさのあるメニューです。そしてどれもおいしい。
お酒のメニューも豊富ですばらしかった……。日本酒もワインも、それぞれのお酒の解説が詳しいのが本当にありがたいし、日本酒は呑み比べセットで、ワインも小さなグラスでオーダーすることもできるようです。
お刺身をおいしくいただきたいし……と思って日本酒を呑み比べセットで注文しましたが、よく見ると「刺身に合うワイン」などというものもラインナップされており、あらー、もう少しよく見てから頼めば良かったか?などと思ったり。
とは言え注文した日本酒はすべておいしかったし、地ビールの「伊豆エールビール」がどうしても気になって、あとで部屋で飲むように注文してしまいました。
お刺身は地魚の4種盛り合わせで、山葵はその場でおろしていただきます。
どれがどの魚かわからなくならないよう、メモを置いていってくれたのもありがたかったし、魚もすべておいしかったです。
コースの後半は「伊豆と言えば」の金目鯛のメニューが「塩麹漬け」と「姿煮」と2品出てくるのですが、あっさりとした味わいの塩麹漬け焼きと、秘伝のタレで煮た姿煮、同じ魚なのにまったく異なる味わいで、どちらも絶品でした。
これほど濃い色の煮付けなのに、意外とあっさりいただけるから不思議です。また、コースに肉料理が登場しないのに、ボリュームもたっぷりで満足感の高い夕食でした。
朝食も、伊豆でとれた新鮮な野菜のサラダに自家製豆腐、鯵の干物、駿河産シラスのオムレツと盛りだくさん。
そして、ご飯が大変おいしいのです!除草剤や殺虫剤を使用しない「アイガモ農法」で育てたなんと自家米とのこと。布海苔の味噌汁やご飯のお供もおいしくて、朝から食べ過ぎてしまいそうな朝食でした。
料理第3位 山梨県「笛吹川温泉 坐忘」
もう1軒、料理が良かった宿の第3位として選んだのは、山梨県の甲州市にある「笛吹川温泉 坐忘」です。
1891年に創業した日本最古のワイナリー「まるき葡萄酒」が運営する温泉宿です。ワイナリーの宿ならば食事は洋風なのか?と思いきや、食事は茶懐石をベースにした純然たる和食。それにワインを合わせるというので、いったいどんなものなのだろうとずっと気になっていた宿でした。
じゃらんや楽天などの予約サイトからだと1人泊のプランは出ていないことが多いのですが(冬季は出ていることもある)公式サイトからならひとり旅プランが通年出ており、1人で泊まれるのは平日のみですが温泉浴室付きの部屋も予約可能です。
宿泊したのは、半露天風呂付きの「乾徳」のお部屋です。
竹林に面した離れの部屋で、露天風呂も竹林ビュー。
ほのかに卵臭の感じられるかけ流しの源泉を、竹の葉がサラサラと揺れる音を聞きながら楽しみました。
また、館内には露天風呂付きの広々とした大浴場が2ヶ所あり、時間帯で男女が交換となります。
ライブラリーではワインを含むドリンクのサービスもあります。
湯上がりには山梨県に関する本など眺めながらワインを楽しみました。
本格的な茶懐石とワインのペアリングが楽しめる
食事は、朝夕共に別棟にある個室食事処でいただきます。
茶室のような落ち着いた雰囲気の部屋です。
お酒は、山梨の地酒などもいろいろと揃っているのですが、せっかくなのでワインの4種ペアリングを選択します。3杯で2,585円、4杯で3,520円というお値段は(現在は少し値上がりしているのではないかと思いますが)ワイナリーの宿ならではのように思います。
そしてこちら↓がこの日のお品書き。
すごく細かくいろいろと書き込まれているように思うのですけど、達筆すぎてぜんぜん読めませんでした……。
ペアリング1杯目は、ロゼのスパークリングワイン。もちろんまるき葡萄酒のワインですが、口に含むとかなりの辛口で、なるほどこれは和食の前菜に合いそうね……と思ったら、1品目がいきなり、ご飯です。
最初に前菜が出てくるのはお酒を楽しむ「会席料理」で、懐石料理は最初にご飯と汁物が出されるのだそう。何も知らなかった私……。一緒に提供されたのは鯛を煎り塩でいただく一品です。
白いご飯とスパークリングワインってどうなの?と一瞬思いましたが、鯛と一緒に合わせると、なるほど合いますね!
この後は、天子(やまめ)の塩焼きと共に、辛口の白ワイン「いろ グラン甲州」が。
肉料理は、甲州牛を杉板の間に挟んでバーナーで炙り、柚子胡椒とごま塩でいただくというもの。こちらには「ラフィーユ樽べーリーA」というオーク樽で熟成させた赤ワインが提供されました。この樽ベーリーAがとても気に入りました。マスカットベーリーAの果実の香りと、樽のトーストのような香りが合わさり、なぜか和風の調味料に合うという不思議。自分でグラスで1杯ずつオーダーしたら絶対注文しなかったと思うので、ペアリングにして正解でした。
最後の1杯は白ワインに戻って「ラフィーユトレゾア樽甲州」です。そして、会席料理では最初に提供されることの多い「八寸」がここで。懐石料理の場合は、食事の前半で出ることもあれば後半で出ることもあるのだそうです。
最初に一口分だけご飯が出ましたが、〆にも出ます。2種類から選べましたが、私は「甲州牛の時雨ごはん」を選択。最後の汁物は味噌汁でも吸い物でもなく「煎り米を使った焦がし湯」でした。懐石料理では「釜に張り付いたお焦げにお湯をさした焦がし湯」をいただくことがあるそうなのですが、これをお焦げではなく煎り米で作ったというところでしょうか。
茶懐石も初めてですし、洋の要素がまったくない料理にワインを合わせたのもほぼ初めてでしたが、どれも楽しく、おいしくいただくことができました。
また、翌日の朝食も豪華でボリュームたっぷり。
お味噌汁とご飯におかずもしっかりあった上に、打ち立ての二八蕎麦まで出ました。
最後に、葛きりのような柚子ゼリーとタルトのデザートまで。
見た目にも楽しく、お酒も料理も目一杯楽しめた宿でした。また別の季節に訪れてみたいです。
料理第2位 新潟県「魚沼の隠れ温泉 くつろぎ庵」
第2位に選んだのは、2023年10月に初めて宿泊した、新潟県南魚沼市の六日町温泉の宿「くつろぎ庵」です。
六日町駅から車で5分ほどの丘の上にある、全3室の本当に隠れ家のような宿です。
最寄り駅の六日町駅からはもちろん、最寄りの新幹線駅である越後湯沢駅・浦佐駅からも送迎があります。(宿泊3日前までに要予約)
旅行サイトのレビューを読むとすごく良さそうで以前から気になっていた宿です。温泉浴室付き、というわけではないけれどけっこういいお値段がするので果たしてどんなものだろう?と思いつつ泊まってみたのですが、すごくいい宿でかなり気に入りました。実は、2024年に早くも再訪しています。
客室を含め、館内はゆったりとした造りで本当にくつろげますし、部屋の縁側から直接出ることができる中庭には足湯もあります。
浴室は2ヶ所あって夜10時までは予約制で貸切利用となり、貸切利用中は露天風呂でビールや日本酒(有料のものと無料のものがある)を飲むことができます。
夜10時以降は2つの浴室がそれぞれ男湯と女湯になるのですが、宿泊した日は宿泊客が2組だったので、そのままチェックアウトまで片方の浴室を貸切で利用することになりました。滞在中いつも1人で広い内湯と露天風呂(すべて源泉かけ流し)をゆったりと使うことができました。
山の中だけど魚がうまい、ジビエと炊きたてご飯はもちろんだが〆のお粥が異様においしい
くつろぎ庵では、食事は朝夕共に部屋か個室の食事処でいただくことができ、場所は選ばせてもらえます。
私は朝夕共に部屋に運んでもらいました。
はじめに、前菜、お造り、酢の物など冷たい料理が並び、これは日本酒を頼まなければ……と「魚沼地酒の呑み比べセット」から1種類を注文。
松竹梅の3種類でしたが、せっかくなので「松」を選びました。
前菜は「海老の西京漬け」「牡蠣赤煮」「自家製イカの塩辛」など山の中だけど海の幸が多め。しかしどれも本当においしいです。「にいがた和牛たたき」に「つるむらさきの胡麻よごし」もいいですねえ。
お刺身は中トロ、南蛮海老、スズキを土佐醤油で。新鮮で量もたっぷりあってうれしい。
蓋物は秋の味覚「松茸の土瓶蒸し」です。
酢の物は「焼きしめ鯖もずく寄せ」で、素材が良いだけでなく、しっかり手がかかっていて味も良いのがうれしい。
陶板焼きはこちらの宿の名物だというジビエ料理で、この日は「地場産猪肉の陶板焼きを黒ごまソースで」いただきました。
しっかりと脂がのっているのにまったく臭みがない猪肉で、たっぷりのキノコやパプリカと一緒に少し甘めの黒ごまソースでおいしくいただきました。
そして、ちょっと感動するおいしさだったのがこちらの「子持ち鮎の甘露煮」です。
箸でスッときれる柔らかさで卵をたっぷり抱えており、食べていて骨が気になることもなく、甘露煮ですが甘過ぎず魚沼の地酒によく合いました。
最後に「海老のもと焼き」が出た後、〆はご飯ではなくお粥です。
「このお粥が食べたくてまた泊まりに来た」というリピーターのお客様がいるほどの人気メニューとのこと。実は、中華粥は好きだけど普通のお粥は少し苦手だったのですが……このお粥が本当においしかったのです。出汁を入れているのか?薬味が工夫されているからか?もちろん、お米自体も南魚沼産のコシヒカリでおいしいのだと思うのですが、とにかくすごいお粥で印象に残っています。
翌日の朝食は炊きたての釜炊きご飯と、焼き鮭やだし巻き卵をはじめとしたおかずの数々。
魚沼産コシヒカリをたっぷりと堪能できました。越後湯沢駅から送迎してもらえるので公共交通機関利用でも気軽に足を運べますし、恐らく冬は雪見露天が楽しめるでしょう。季節を変えてまた訪れたい宿です。
料理第1位 北海道「望楼NOGUCHI登別」
2023年料理がおいしかった宿第1位に選んだのは、北海道は登別温泉の「望楼NOGUCHI登別」です。
北海道で多くの旅館やホテルを営む野口観光グループで、最もハイグレードな「望楼シリーズ」に属する宿です。
全40室とそこそこ規模の大きい宿ですが、全室温泉浴室付き。土曜日も1人で泊まれますが、平日でもけっこういいお値段の宿なので平日に宿泊しています。
湯も食事もすごく良さそうで、特に料理とお酒のペアリングが凝っていてすごく良さそう……1度泊まってみたい……と以前から思っていた宿なのですが、思っていた以上にすばらしい宿でした。また泊まりに行きたいよー。
新千歳空港かJR札幌駅から、片道1000円で有料の送迎がありますが、私は前日に別の温泉地に滞在していたので登別駅から路線バスで向かいました。
バス停からは歩いていったのですが、宿のエントランスが駐車場と直結していたので、歩いて向かったら入口がどこだかわからなくて一瞬迷いました。
しかし、チェックイン時に提供された焼き菓子がめちゃくちゃおいしくて「この宿は当たりだ」と確信し、その予想は見事に的中。
リビングルームとベッドルームを備えた客室は快適そのもの。
洗面所にはナノイースチーマー。
ドライヤーも高級品です。レプロナイザー3Dplus。
浴槽も、2人でもゆったり浸かれる広さがあり、大きな窓を開けて露天風呂気分も楽しめますし、泉質もすばらしい……。
やや濁りのある硫黄泉ですが、ほどよい硫化水素臭で、湯上がりは肌がしっとり更紗rに。
部屋風呂以外に男女別の大浴場もあるのですが、大浴場の近くにあるラウンジでは、14時から21時までアルコールを含むフリードリンクサービスを実施しています。
簡単なおつまみも用意してあったので、ハイボールや生ビールをサーバーからセルフで注ぎ、風呂上がりの1杯を楽しむことができました。
質・量共に理想的なペアリングと、夕食かと思うほど豪華な朝食
食事は、夕食・朝食共に個室食事処でいただきます。
フローリングの掘りごたつの個室で、居酒屋のようなガチャッとした雰囲気ではなく高級感があります。
まずはお品書きを眺めつつ注文する飲み物を決めることになります。
前菜の一つ一つまでしっかりと説明書きがある詳しいお品書きがうれしいですね。これから何が出てくるかワクワクしながら待ちたい方もいるとは思いますが、私はお品書きを隅々まで見てから飲むお酒を決めたいタイプなので、食材や調理法がしっかりと掲載されているほうがありがたいのです。
迷ったすえ「シャンパン、日本酒、白ワイン、赤ワイン」の4杯が提供されるペアリングコースをオーダーしました。しかもこのペアリングコース、1杯の量を60CCか100CCかで選べるのもすばらしすぎます……。
望楼NOGUCHI登別のペアリングコースは、ソムリエ1推しのワインコースや北海道ワインコース、ノンアルコールワインコースとさまざま用意されていました。
さらに、ペアリングコース以外にも北海道の地酒の利き酒セットや地ビール、オリジナルのノンアルコールカクテルなどさまざまなお酒が用意されており、飲めない人も少しだけ飲む人もたくさん飲みたい人もそれぞれに楽しめる内容でした。
さて、お料理です。前菜は奥に並ぶ「しめ鯖チーズの手毬寿司」や「北海道産豚肉のパテドカンパーニュ」などの盛り合わせと、手前の茶碗蒸し。
茶碗蒸しはオマール海老のコンソメを出汁として使っており、洋風でシャンパンにもよく合いました。
椀物の舞茸の真丈のあとはお刺身の盛り合わせ。
土佐醤油とバジル醤油でいただくお刺身、おそらくワインでも合うと思いますが、ここで辛口の日本酒が登場。やはり刺身と醤油には日本酒が合います。
魚料理は「ホッケと帆立の岩海苔香草パン粉焼き」を白ワインと共に。
1杯60CCのペアリングを選んだので、ワインが残ってしまったり酔いすぎたりすることもなく、ちょうど良くおいしくいただけるのがうれしい。
肉料理は低温調理したエゾジカと、北海道産牛もも肉の石焼き。
赤ワインソースにバーニャカウダソース。それから、お刺身と一緒に提供されたおろしたての山葵醤油で味を変えつついただきました。
最後はゆめぴりかの釜炊きご飯。もうお腹いっぱいだったのですが、ちょうど良くお焦げができていてふっくらと炊けており……。
「秋刀魚の南蛮漬け」や「長なすの浅漬け」などご飯のお供もいろいろとついてきたため、しっかりといただいてしまいました。
最後のデザートも、少量ずつさまざま盛り合わせられているのがうれしい!
大満足で夕食を終えました。
朝も個室食事処でいただきます。
ドリンクが牛乳、オレンジジュース、ハスカップと3種類あり、朝からボリュームあるなと思っていたらば……。
料理はさらにすごいボリュームで、朝からしっかりと量があるしゃぶしゃぶまで。
あっさりとした出汁でしゃぶしゃぶして温泉卵につけてたべるという、しゃぶしゃぶとすき焼きの中間のようなこの一品、ご飯も進むしすべておいしくいただいてしまいました。
朝食のデザートは水切りヨーグルトとかぼちゃのプチタルトにフルーツで、最後まで手抜きなし。コーヒーがたっぷり3杯はありそうなフレンチプレスのポットで提供されたのにも驚きましたが、たっぷりのコーヒーもちゃんとおいしかったです。
質・量・サービス・ドリンク共にすばらしく、またきっとおとずれたいすばらしい宿でした。ごちそうさまでした!
【おまけ】惜しくも選に漏れた「部屋・風呂・食事」すべての満足度が高かった絶対再訪したい宿11軒
2023年は本稿で紹介した以外にも、さまざまなすばらしい宿に出会えました。
ご紹介した10軒は宿泊料金がややお高めの宿が多いのですが、「部屋」や「食事」がいい宿の宿泊料金が高くなりがちなのは仕方のない面もあります。そのためこの後は2023年に宿泊した「2食付き2万円以下で1人泊できる宿」に絞って10軒を選んだ記事を、本年中には更新する予定です。
しかし、昨今の物価上昇に伴い、また1人泊は割高になるということもあって、2食付き2万円を超える宿が全体的に増えました。すごくいい宿なのに「2食付き2万円以下」という括りだと選外になってしまう宿がかなりあるのです。
そのため、noteのメンバーシップ会員向けの記事として「食事、部屋、風呂のいずれかが飛び抜けているわけではないので今回のランキングからは漏れたけれど、すべての満足度が高かった宿」を11軒ご紹介した記事を公開しました。
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