【特集】「グローバル留学コース」海外の10か月で将来の夢が見えてくる…昭和女子
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昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校(東京都世田谷区)は2016年に、英語を駆使して海外で活躍できる女性を育てようと「グローバル留学コース」を設置した。中1から英語漬けの環境で鍛えてきた生徒たちにとって、最大のチャレンジは高1で実施する10か月のカナダ留学だ。同コースの概要や留学の成果を、クラス主任の高津乃理子先生と1月に帰国した第1期生に聞いた。
常時英語に接する環境と海外研修で留学を準備
「生徒の個性は、人それぞれです。海外大学進学を含め、将来世界に貢献する仕事ができるような、より幅広い選択肢を持ってほしいと考え、2016年度に英語教育を重視した『グローバル留学コース』を始めました」と、同コースクラス主任の高津先生は話す。
同校のコースは「本科コース」「グローバル留学コース」「スーパーサイエンスコース」と三つに分かれているが、「グローバル留学コース」は英語教育に重点を置き、中学では英語授業が他コースより週2時間多い7時間のカリキュラムとなっている。また、ネイティブの教師が担当する授業も、他コースが週1時間なのに対して3時間と力を入れている。さらに、各クラスに1人ネイティブのアシスタントティーチャーが付いているので、休み時間や放課後などに、英語で気軽に話をすることができる。教室内の掲示物もすべて英語で書かれてあり、日本にいながらにして常時英語に接する環境となっている。
教室の外でも、同じキャンパス内に英国インターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ昭和」や米国の「テンプル大学ジャパンキャンパス」があるため、外国人の生徒や教師らと頻繁に交流が可能だ。
「英語で他教科を学ぶイマ―ジョン授業、自分の考えを英語で話す『Short Talking』、英語でつける日記なども行っています。中学入学当初はアルファベットを書くのもやっとだった生徒たちが、自分の考えを堂々と英語で発表するまでに成長していきます」
海外研修も充実しており、中1の時にシンガポールとマレーシアを訪れ、アジアの文化を学び、現地の生徒たちと交流を深める5日間の研修「アジアディスカバリー」があり、中2でアメリカ・マサチューセッツ州にある海外キャンパス「昭和ボストン」で学ぶ12日間の研修に出る。
中学時代に英語力と海外で生活するための素養を身に付け、いよいよ中3の3月末から翌年1月まで、10か月間にわたるカナダ留学を実施する。「アルバータ州のエドモントンとレッドディアにあるカトリック系公立高校のクラスに入ります。2都市合計9校で1校に2~4人ずつ、1家庭に1人ホームステイをします。英語力だけでなく、新しい環境の中で、自分で問題を解決していく力が試されることになります」
世界が一気に身近で現実的なものになった
1月に帰国し、現在高2の小林
小林さんは3歳から英語を習い、純粋に「外国人と英語で話すのが楽しい」という思いから「グローバル留学コース」を選んだという。「留学前には、カナダの自然や食べ物、文化などについて調べ、パワーポイントで資料を作成してクラスでプレゼンテーションを行いました。出発前に、カナダでの生活が具体的にイメージできるようになりました」
小林さんは、留学先の現地校で、英語が母語ではない人向けの「ESL(第2言語としての英語)クラス」に入り、世界各地を転々としてきた難民の姉妹と出会ったそうだ。「これまでどのように生きてきたか、今カナダでどんな生活をしているかといったことを、お互い慣れない英語で話し合いました。これまでテレビや教科書でしか知らなかった世界が、一気に身近で現実的なものになったように感じました」
米山さんは、国際的な業務を扱う弁護士の父親と元国際線キャビンアテンダントの母親の影響から、「将来、英語を使う職業に就きたい」と考え、「グローバル留学コース」に入学した。「英語は小学校で習った程度だったので、入学当初は授業についていくのが大変でした。でも、海外研修や授業での発表を経て、自分の英語力に自信が持てるようになりました」
米山さんは留学中、「日本の学校にはない教科を学ぼう」と、食品や美容をテーマとした授業を選択した。メニューを一から考えて食事を作ったり、クラスメートを相手にヘアメイクの練習をしたりした。「友だちの髪の毛をとかしてあげたりしながら、英語でいろいろな雑談をすることができました。こういった授業を通して、皆と一気に打ち解けることができたと思います」
「グローバル留学コース」の授業や留学の経験を通し、小林さんは「自分にはプレゼンテーションが向いている」と気付き、将来は海外挙式を扱うウェディング・プランナーになりたいという夢を持つようになった。米山さんは、IELTSのような英語能力試験の勉強に力を入れていて、将来は海外大に進んで両親のように国際弁護士かキャビンアテンダントになりたいと考えている。
「周りの大人がすべて面倒を見てくれる日本と異なり、海外では自分のやりたいことを言葉で伝え、自ら実行していかなければなりません。10か月の留学を経て、皆たくましく成長してくれました。学ぶ学校やホームステイ先は違っても、同じように頑張っている『グローバル留学コース』の仲間がいるということも心の支えになったようです」と高津先生は見ている。
高津先生は、帰国した生徒たちに対して、クラス内スピーチコンテスト、スペリングコンテスト、プレゼンテーションなど、さまざまなチャレンジを用意している。以前「スーパーサイエンスコース」と合同で実施した「英語で理科を学ぶ」特別授業のように、三つのコースの学びを連携させ、生徒の可能性を引き出す試みも検討しているそうだ。「これからもますます生徒のやる気を刺激していきたい」
(文:足立恵子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校)
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