日本で生まれたが強制送還対象に、在留資格ない子ども140人に異例の「在留特別許可」へ
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政府は、日本で生まれ育ったものの、親と共に強制送還の対象となり、在留資格を持たない外国人の子ども140人程度に対し、人道上の配慮から、「在留特別許可」を特例で出す方針を固めた。斎藤法相が4日にも記者会見して表明する。
許可の対象者は、子どもの親を含め、数百人規模となる見通しで、異例の対応となる。
先の通常国会で改正出入国管理・難民認定法が成立し、難民認定申請中でも、申請が3回目以降なら強制送還が可能になった。日本でしか暮らしたことのない子どもが親と共に送還される恐れが出てきたため、今回に限り、一定の救済措置を講じるべきだと判断した。
現在、強制送還対象となった外国人のうち、帰国を拒む「送還忌避者」は2022年末時点で4233人に上る。このうち、日本で生まれ育った18歳未満の子どもは201人だ。
「短期滞在」や「留学」の在留資格で入国した親が、在留期間が過ぎて不法滞在になった後も、難民認定申請を繰り返すなどして日本にとどまり、結婚、出産をしたケースが多いとされる。
今回の特別許可では、201人の約7割に当たる140人程度に、「定住者」などの在留資格が与えられる方向だ。
許可を出すにあたっては、〈1〉日本で生まれた〈2〉小学校か中学校に入学・卒業した〈3〉日本での生活を希望している――ことを考慮する。親が〈1〉不法に入国した〈2〉薬物使用の違反をした〈3〉懲役1年超の実刑を受けた――など、不法滞在を除く重い犯罪歴がある場合は原則対象外とする考えだ。
201人の大半は現在、一時的に収容を解く「仮放免」とされている。国民健康保険に加入できず、公立学校には通えるものの、許可を得なければ、居住する都道府県から移動できないなど、多くの制限がある。「定住者」の資格が得られれば、働くことも可能となり、制限は大幅に緩和される。
◆在留特別許可 =出入国管理・難民認定法50条に基づき、日本に長年住むなどの一定の事情が認められる場合、法相の裁量で不法滞在などの外国人に「定住者」や「特定活動」などの資格を与えて国内滞在を認める措置。