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お肌のトラブル解決外来

医療・健康・介護のコラム

「足の指がかゆくて…」水虫を疑った50歳男性 激しい寒暖差で起こりやすい「しもやけ」だった

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 12月に入り、気温が下がってきました。一日の寒暖差が10度以上になると、しもやけができやすくなります。近年、寒暖差が大きい日が増えており、注意が必要です。

体が温まるとかゆみが強くなる

「足の指がかゆくて…」水虫を疑った50歳男性 激しい寒暖差で起こりやすい「しもやけ」だった

 50歳の男性が11月、「足がかゆくなってきた、水虫かもしれない」と、来院しました。足の指先が赤紫色になり、少し腫れていました。足を触ると指先が冷たく、「痛がゆい」といいます。「お風呂に入ったり布団に入って体が温まったりすると、かゆみが強くなる」と訴えていました。水虫であれば足の指の間に皮むけや水ぶくれなどができることが多いのですが、そうした所見はなし。「これはしもやけです」と告げると、男性は「まさか」と驚いていました。

 しもやけの原因は、末梢血液の循環が悪くなることです。寒くなると血管は縮むため、血液の流れが悪くなります。逆に、暖かくなると血管は広がって、血液の流れが急に増えます。寒暖差が激しいと、血管が縮んだり広がったりを繰り返し、血液循環の調整がうまくいかなくなります。その結果、血行不良が起こって、手足の指全体が赤く膨れたり指に赤い斑点ができたりしてしまいます。これがしもやけです。ひどくなると、水ぶくれや傷ができて皮膚がただれ、かゆくて眠れなくなります。

急な温度差で悪化する

 男性がしもやけになったのは、10月下旬に通勤中の雨で靴がぬれて足が冷えたことがきっかけでした。仕事中はそのまま放置し、帰宅後にすぐ熱いお風呂に入りました。その後、靴下を履かずに冷たい床の上を素足で歩き回っていたところ、数日後に足がかゆくなってきたのです。「冷」「暖」「冷」「暖」の繰り返しが原因でしもやけになったのでしょう。

 ビタミンEの 軟膏(なんこう) を足全体に塗り、かゆい部分にはステロイド外用薬を使用しました。また、冷えが強いためビタミンEの内服も併用しました。すると、症状は1週間ほどで改善しました。

 しもやけは、手足の指や鼻先、耳など末端の冷えやすいところにできます。予防するには、体が冷えないようにすることが一番です。寒くなってきたら、手袋や靴下、帽子やマフラーでしっかり体を覆って外出するようにしてください。しもやけは急な温度差で、症状が進みます。入浴時に手足が冷えている場合は、熱いお風呂にすぐ入らず、ぬるま湯で手足を少しずつ温めてから入ってください。

「なりやすい体質」は遺伝する

 気象庁のデータによると、東京で、2013年11月~14年3月に一日の気温差が10度以上あったのは23日でした。ところが、10年後の23年11月~24年3月には65日に増えています。年によって差はあるものの、しもやけになりやすい気象条件である冬場の寒暖差の大きい日は増加傾向です。

 しもやけになりやすい体質は、遺伝します。子どもの頃にしもやけができたことがあるお父さんやお母さんの子どもは、しもやけになりやすいので注意が必要です。子どもは冬でも汗をかきやすく、手足の汗が冷えてくるとしもやけを起こしやすくなるので、タオルでまめに拭き取ってあげてください。また、雨や雪でぬれた靴や靴下をそのままにしていると、足が急に冷えてしもやけになりやすくなります。ぬれた靴や靴下を脱いだ後は、乾いたタオルで足を拭き、すぐに新しい靴下に履き替えてください。

 春先になって暖かい日が続くようになっても、なかなかしもやけが治らなかったり、痛みが強かったり、じくじくとした傷ができたりした場合は、 膠原(こうげん) 病や血管の病気を疑う必要がありますので、皮膚科を受診するようにしてください。(野村有子 皮膚科医)

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野村有子(のむら・ゆうこ)

 慶応大学医学部卒業後、同大皮膚科で免疫に関する病気や皮膚腫瘍の研究に従事。その後、神奈川県警友会けいゆう病院でアトピー性皮膚炎や 膠原こうげん 病などさまざまな病気の治療に携わった。1998年に横浜市に野村皮膚科医院を開業。アレルギー対応モデルルームやアレルギー対応カフェを併設し、皮膚疾患で悩んでいる多くの患者の診療を行う。特に疾患の診断と原因検索、スキンケア指導や生活指導に力を入れている。

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