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 政治の世界でもWeb3に対する関心が高まっている。世界的なインターネットの潮流であるWeb3に国としてどう対応すべきかが議論されるようになってきた。自民党の「NFT政策検討PT」の座長を務め、Web3に詳しい平将明衆議院議員に、Web3に対して日本が取るべき戦略などを聞いた。

自民党のNFT政策検討PTの座長を務める平将明衆議院議員
自民党のNFT政策検討PTの座長を務める平将明衆議院議員
(撮影:日経クロステック、以下同)
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なぜWeb3に注目しているのですか。

 私は自民党のNFT政策検討PTの座長として、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)だけを見るのではなく、暗号資産(仮想通貨)やそのベースとなっているブロックチェーンといった全体を見て政策や税制を検討しなければならないと考えています。でなければ部分最適になってしまいエコシステムが回りません。

 衝撃的だったのが、米国のジョー・バイデン大統領が2022年3月に署名したデジタル資産に関する大統領令に「2021年11月の時点で国家が発行していないデジタル資産は3兆ドル(約400兆円)に上る」と書いてあったことです。現在も伸び続けていることを考えれば、(500兆円規模の)日本の国内総生産(GDP)に並んでいる可能性もあります。そういう世界が歴然として目の前にあるのです。

 米国の近年の株価上昇は、Web 2.0によるところが大きいと考えています。さらにWeb3でもリーダーシップを取ろうとしています。一方、日本の株価はWeb 2.0の恩恵をほとんど受けていません。このままでは失われた30年が「失われた半世紀」になる。そうなればもう取り返しがつきません。政府がWeb3にしっかり対応しなければ、大変なことになると思っています。

日本はWeb3にどう取り組むべきだと考えますか。

 まずは日本の今後の国家戦略にとってWeb3が不可欠なものになるという認識を、政府として示すことが大切だと思います。そのためには岸田文雄首相がこの問題にフルコミットすることが何よりも重要だと考えています。

 米国や英国、シンガポールといった国々は法体系として「英米法」を採用しています。してはならないことが法律に書いてあり、書いていないことは試したうえで司法が判断します。司法の判決が積み重なって慣習法で新たなルールができていく。イノベーションにすごく向いています。