さて、今回から生成AI(人工知能)を使った動画制作に入る。動画生成AIには、2024年12月に一般開放されたばかりの米OpenAI(オープンAI)の「Sora」を使うことにした。
動画を作るには、脚本が必要だ。そこで、筆者が映画を学んでいた学生時代に執筆した脚本を倉庫の奥から引っ張り出してきた。完全オリジナルの作品なので著作権違反はない。その内容は、黒いポメラニアンの「ポム」が、動物実験の存在を知り、その廃止のために動物たちと共に立ち上がる、というものだ。動物愛護のメッセージが全面的に押し出されている。
こうしたテーマを選んだのは、当時、犬を保護する団体のメンバーとして活動していたことに加え、その団体を構成するメンバーのほとんどが映画制作スタッフであったことに大いに影響を受けている。この団体の会合ではストーリーテリングの重要性を語る機会が多かった。
画像・動画生成AIやAIナレーションを使って作品を作る
生成AIを使った作品作りの大まかなフローは次の通りだ。
- 画像・動画生成AIサービスで動画を作成
- ナレーションAIサービスで音声を生成
- 動画編集ソフトで動画と音声を組み合わせる
今回の実験で使ったSoraだが、「ChatGPT」の有料プランのユーザーならば追加料金なしで使用可能だ。
脚本をシーンごとに分ける
手始めに、映画の脚本を使って、どのように動画制作の作業を進めればいいかを「GPT-4o」に聞いてみた。すると、Soraで動画生成するためには「脚本をシーン単位で整理」する必要があると言う。つまり、場面設定やセリフ、演技について書かれている脚本を、Soraが理解できるように状況説明のみの場面ごとに分けろ、というわけだ。
そこで、オープニングシーンとなる、平和に暮らしている黒いポメラニアンがテレビで動物実験を知りショックを受ける、という場面を生成してみた。プロンプトは以下のようなものだ。
プロンプトを書き込み、画面のサイズ、解像度、長さ、バリエーションを選択する。
テレビや映画館、YouTubeの画面サイズにするなら16:9だが、サイズを大きくするとSoraの利用回数を圧迫してしまうため、最も小さい設定にする。バリエーションは、1、2、4から選択可能。クレジットを消費しないように、まずは1を選択した。2や4を選ぶと異なる動画候補が複数生成される。
これは比較的うまくいったような気がする。ポムがテレビに関心を向けていないように見えるが、全体的に不穏な空気は伝わってくるのではないだろうか。