米NVIDIA Corp.は2010年1月7日,記者発表会を開催し,同社CEO,PresidentのJen-Hsun Huang氏が最新の事業戦略などについて熱弁を振るった。
Huang氏は発表会の冒頭で,本格的なパーソナル・コンピューティングの時代が到来しているとし,最近ではWebサービスがいかに我々の生活に浸透しているかについて言及。その一例として,Facebook上で2009年6月に公開されたゲーム「Farm Village」が,現在では1日に7800万人のユーザーが利用する巨大サービスに成長していることを紹介した。「このようにWebサービスは(本格的な)アプリケーションになった」(同氏)。
しかし一方で,これまではWebサービスをフルに利用できる環境の多くがパソコン上に限られているという問題点を指摘した。同氏は,その状況を変えるのがタブレット型コンピュータであるとして,それに向けて開発したSoC「Tegra」の最新版を紹介した。
新型Tegraは英ARM Ltd.のデュアルコア版「Coretex-A9」を採用し,最大1GHzで駆動する。性能は,従来のTegraの4倍,一般的なスマートフォン向けプロセサの10倍という。消費電力は500mW。このSoCを搭載したタブレット型コンピュータとして,台湾MSI社や台湾FOXXCON社の試作品などを見せ,1080pのHD動画やパソコン向けゲームの再生デモなどを行った。
さらにHuan氏は,米Adobe Systems Inc.のRIA(rich internet application)技術である「AIR」をTegraに移植する計画を明らかにした。「米Amazon.com,Inc.のKindleは白黒のテキストなどしか表示できないが,タブレットなら新聞を読みながらビデオを再生したりといった新しい使い方ができる」(同氏)と話した。
Tegraを搭載したタブレットの開発は現在,50以上が進行中だという。「Tegraを搭載したタブレットによって,パソコン向けと同じWebサービスがどこにいても使えるようになる。2010年はまさにタブレット革命の始まりの年になる」とHuan氏は話した。