0)サウンドデバイスとスピーカー
お題は「フリーソフトで作る」だが、やはり根本的に音質を左右するサウンドデバイスやスピーカーにはどうしてもこだわりたい。
まず手を付けやすいスピーカーから。パソコンのライン出力をオーディオコンポのライン入力に繋ぐだけで、パソコン付属のスピーカーとは異次元の音質になる。パソコンとコンポを繋ぐのに必要なケーブル(↓こんなの)は1000円もしない。最もお勧めのプランだ。
フジパーツ オーディオケーブル ステレオミニプラグ-2ピン 3m FVC-323B
- 出版社/メーカー: 富士パーツ商会
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パソコン用にスピーカーを購入するのであれば、オーディオメーカーの2ch仕様のものがお勧め。とはいえ、ある程度は奮発しないと「ライン入力のあるコンポ」より良い音は望めないと思う。2.1ch仕様のスピーカーは、BOSEなどオーディオを意識した一部の製品を省きお勧めしない。
次にサウンドデバイス。基本的にパソコン本体内蔵のデバイスはダメだと考える。スピーカーを良くすると、ほとんどの人が「ダメなんだ」と気付くレベルでホワイトノイズが聞こえるようになるはず。最低価格帯のUSBサウンドデバイスでも、本体内蔵のものとは別物なので是非増設したい。本体内蔵にこだわるならONKYOのPCIバス用のものが良い。
ただ、デジタル入力に対応したスピーカーをデジタルで接続するのであればサウンドデバイスは本体内蔵でもなんでも良いだろう。パソコン本体に音声のデジタル出力端子が備わっているのなら、スピーカーに集中投資してデジタル入力対応の物を購入するのが良いだろう*1。
ちなみに、俺は職場ではコイツにオーディオテクニカのヘッドフォンを接続して使用している。鳴ればOKと思って買ったもので、スピーカーは想像以上にショボかったが、ヘッドフォン端子からは割と普通に音が出ているのだった。パソコン本体のヘッドフォン出力と比較したら雲泥の差である。
1)サウンドデバイスの設定
サウンドデバイスやOSができるだけ余計な事をしないように、以下の設定を確認する。
・コントロールパネル等で、サウンドデバイスが提供するイコライザや音響効果は全てOFFにする。
・Windowsのミキサーで音が割れない範囲で音量を大きくする。音量の調整はスピーカーやアンプの側で行う。
2)ASIOが使用できる様にする
ASIOを簡単に説明すると「サウンドデバイスを1つのアプリが占有させてもらえる仕組み」である*2。例えば、Windows Media Playerで音楽を聴きながら他の操作をしていると、音楽と操作に伴う音が同時に聞こえてくる。これは、各アプリが発生した音をWindowsが合成してサウンドデバイスに送り込んでいるからだ。良くできているが、合成の過程でリサンプリングやミキシングが発生するのでどうしても音が劣化してしまう。
ASIOによってサウンドデバイスを占有すれば、アプリはサウンドデバイスに直接音を送り込めるので確実に音質が向上する(正確には「向上する」のではなく「劣化しなくなる」のだが)。少し値の張るサウンドデバイスだと標準でASIOに対応している場合が多いが、非対応の場合でも「ASIO4ALL」を使えば、ほとんどのデバイスでASIOが使用できる。
ただし、ASIOを使用している間は他のアプリが発する音は聞こえなくなるので留意する必要がある。例えばSkypeで着信しても、着信音はしないし音声も再生されない。Windows Vistaのみ有効な方法だが、ASIOを使用しない場合は、Windowsのミキサーで再生アプリの音量を最大にすることで、ミキシングによるダイナミックレンジの低下をある程度軽減できる。
ASIO4ALLの設定手順は以下。
ここから「ASIO4ALL 2.x - English」をダウンロードしてインストールする。
「ASIO4ALL v2 Off-Line Settings」を起動する。
「WDM Device List」のうち使用するサウンドデバイスが「Running」になっているかチェックする。
なっていない場合、デバイスを選択して「Select」(又はEnable)をクリックする。
3)Frieve Audioをインストールする
http://www.frieve.com/frieveaudio/
音質重視の「Frieve Audio」というWindows用のフリーのWAV/MP3再生ソフト。手軽に手に入るフリーのプレイヤーソフトでは、音質面で多分最強。シェアウェア版もあるけど、フリー版でも使いこなせない位の機能がある。以下、とりあえず音をあまりいじらずに音質向上だけを目指した設定(イコライザやエフェクタは使わないという事ね)の手順を示す。
・インストール
・サウンドデバイス選択
「設定」→「環境の設定」→「オーディオ出力」タブで「オーディオドライバ」に「ASIO」を選択する。使用周波数は、再生デバイスで使用可能な最大の周波数だけをチェックする。次に「ASIOドライバ」タブで「使用するASIOドライバ」と「左右のスピーカ(L,R)」を選択する。ASIOを使用しない場合は「オーディオドライバ」で「標準」を選択し、「標準ドライバ」タブでデバイスの設定を行う。
現在、一般的なサウンドデバイスで使用できる周波数は48000(48KHz)、少しお高いデバイスでは96000(96KHz)が最高である。ASIO4ALLを使う場合には、ASIO4ALLの設定画面で「Advanced」をクリックすると各デバイスがサポートする周波数が表示されるので参考になる。よく判らなくても、再生して音が鳴らなかったら下げてみればよい。
・リサンプリングを有効にする
リサンプリングは、元データのサンプリング周波数をより高い周波数に変換する機能である。デジタルサウンドは、サンプリング周波数が高いほどより高い音が記録できるようになる。周波数を変換するだけで元のデータに含まれない高い音が勝手に出てくるわけではないが、データを加工して再生する場合には、周波数を上げてから加工することでより高い音の成分を含める事ができるようになる。
「リサンプリング(1)」タブで、「アップサンプリング」「元の周波数の整数倍にアップサンプリング」「出力周波数を固定」にチェックを入れる。アップサンプリングの周波数は、サウンドデバイスの設定でチェックした使用周波数と同じかより高くする。出力周波数の周波数は、サウンドデバイスの設定でチェックした使用周波数と同じにする。
・HSCをオンにする
MP3のような圧縮された音のデータには、人の耳に聞こえにくい(と考えられている)音の成分が含まれていない。また、そもそも圧縮されているか否かに関わらず、デジタルサウンドのデータにはある高さ以上の音は全く含まれていない。「ある高さ」はサンプリング周波数に比例するのだが、これらが生演奏やアナログレコードと比較して「音がうすっぺらい」と感じたり「耳が疲れやすい」原因だと言われている。
HSCは「Hyper Sonic Creation」の略で、圧縮によって失われた音の成分や高音域を補完してくれる機能だ。リサンプリングと組み合わせることで、デジタル化によって失われた高音域が(擬似的にではあるが)復元される。「コンダクタ」ウィンドウの「HSC」の「ON」ボタンをクリックして押下状態にすれば有効になる。
4)再生する
プレイリストに好きなサウンドファイルを追加して再生してみる。「HSC」のオンオフを繰り返すと、なんとなく音の厚みが変化するのが判るはずだ。低ビットレートのMP3ファイルを使ったり、シンバルやハイハットの音に注目すると判りやすい。ただ、スピーカーやサウンドデバイスの性能によってはあまり変化が感じられないかもしれない。その場合も「スペクトル」ウィンドウで高音域の波形が変化するのは確認できるはずだ。
・再生を開始しても音が出ない、勝手に止まる。
サウンドデバイスが対応していないサンプリング周波数を「使用周波数」で選択してないか確認する。また、ASIOデバイスのリストに登場するにも関わらずASIOでは動かないサウンドデバイスがあった。その場合は「標準デバイス」の設定で再生できるのを確認してから、ASIO4ALLを導入する。
・「プチプチ」というノイズが発生する。
ASIO4ALLを使っている場合、ASIO4ALLの設定画面で「ASIO Buffer Size」を大きくする。
・重い、音が飛びまくる。
リサンプリングとHSCの処理は非常に重いようだ。Pentium M 1.4GHzのXPのノートPCでは音が飛んで使い物にならなかった。Athlon64 X2 3800+(デュアルコア)のVistaマシンでは問題はないが、他の作業をしながらバックグラウンドで再生するためにはマルチコアCPUが必須というレベルなのは確かだ。HSCの効果は絶大なので不満なら4コアCPUのマシンでも購入するしか。
・リサンプリング+HSCの効果がイマイチ感じられない。
サウンドデバイスがサンプリングレート44.1KHzや48KHzでしか再生できない場合、頑張って96KHzまでリサンプリングしてHSCをかけたとしても、やはり再生時に高音域が失われてしまう。さらなる高音質を求めるなら、奮発して96KHz対応の高いサウンドデバイスや、192KHz対応の超高いサウンドデバイスを購入するしか。
・コンボルバって何だろう?
う〜ん、説明読んでも良く判らないよ〜。だれか判りやすくおせーて(^^;