小森の移籍に関しては、ここでしっかりと取り上げていきたいと思います。
もともと小森は海外挑戦への意欲が高い選手で、ジェフ加入前から海外への憧れを語っていましたし、昨年オフにも移籍の可能性を話していましたが、クラブや代理人に止められてもう1年を待ったという経緯があります。
今オフの動向を考えると代理人としてももっと実績を積み上げないと、良いクラブへの移籍は難しいと判断したのかもしれませんし、1年待って見事な結果を残したのですからこれで移籍を止めるのは失礼というものですね。
その小森のシント=トロイデンVVへの移籍が、正式に決まりました。
STVVは日本のDMMが買収し複数の日本企業がバックアップについて、多くの日本人選手が加入しているチーム。
海外挑戦したいけれど良いクラブが見つからない日本人選手の受け皿となっているイメージですので、正直このレベルのクラブにしかいけなかったのかといった思いもあります。
ただ、それだけ日本人選手へのサポート体制は手厚く、小森も先週のリーグ戦の後半84分から早くも試合に出場しています。
しかし、1-2のビハインドで前線に投入された小森ですが、守備のチェイスなどでは見せたものの、他選手と動きが被ることも多く、動き出してもパスが出ない場面が目立つなど、連携面に関してはまだまだといった印象でした。
ベルギー1部リーグとはいっても、残留争い中のチームということで、チームとしても雑な部分が多い状況に見えます。
今回の移籍で意外だったのが、レンタル契約だったこと。
ジェフ側には期間が記載されていませんでしたが、STVVによると半年間のレンタル移籍とのことです。
STVV側が小森をあまり評価しなかったのか。
それともジェフ側が契約を残していて、完全移籍で移籍金を期待したものの、レンタルになってしまったのか。
様々なパターンが考えられますが、小森としてはともかく頑張って半年で結果を残して、STVVに完全移籍となるか、他の海外クラブへの移籍を目指してほしいと思います。
改めて、2024年の小森を振り返ると、23ゴールで得点王という数字も含めて、見事としか言いようのない活躍だったと思います。
新潟医福大からプロ入りした2013年は13ゴールをあげたとはいえ、若干疲れが見えた時期もあった印象でしたし、2年目にここまで成績を上げるとは思っていませんでした。
試合を見ていると、ほとんどの選手にもっとこう出来たらなと思ってしまうことが多いのですが、小森に関しては期待を上回るプレーを見せてくれることが多く、この感覚は阿部勇樹以来かもしれません。
昨年の小森はシーズン終盤まで苦労していた時期もあって、特に6月中旬からの2ヶ月はゴールもアシストもない状況でした。
ただ、あの期間はチームとしても低迷しており、良い形で攻め込めなかったことが大きかったと思います。
シーズン終盤はチームも調子を上げて、小森本人も自信を持ってプレーできるようになったことで、9月だけで9ゴールと驚異的な結果を残したことになります。
小森に関して、強みとしてシュートのバリエーションやアイデアが豊富なことや、オールマイティなFWであることを取り上げられることが多い印象です。
それらもあるとは思うのですが、個人的には何よりもボールへの予測と反応の速さが、小森一番の強みではないかと思います。
ボールへ相手DFよりも速く動き出せるからこそ、余裕をもってシュートにいけるため、シュートの選択肢なども増えるのではないでしょうか。
そのため、決定的なチャンスではなくても、ゴール前でこぼれ球などが生まれれば、小森がそれに反応してゴールを奪いきってしまうといったシーンも多かった。
これは数字にも表れていて、Football LABによると昨年のジェフはこぼれ球からのゴールが7つもあったわけですが、これはJ2トップの数字で2番目に多かったのは長崎の3つだったそうですから、大きな差となっています。
小林監督は今年の新体制発表会で、小森退団に関して聞かれて「小森でなければ入れられなかったゴールがどれくらいあるか」と、なかなか強いコメントを出しています。
確かに最後のシュートシーンだけを見れば、小森が楽に決めているかのような場面も少なくなかったかもしれませんが、さきほど話したように小森の武器は、まずそのシュートに入るまでの反応の良さだと思います。
現代の日本人はシュートテクニックのある選手が増えた印象はありますが、小森はそこまでの細かな動きに強みがある選手だと思いますので、この穴はそう簡単には埋まらないと思います。
昨年末J2MVPを獲得した際に小森のゴール集がJリーグのSNSでアップされましたが、その時のファーストゴールでも小森の反応の速さがわかると思います。
周囲の選手がボールの行方を追っている段階で、すでに小森は走りこんで一早くこぼれ球に反応しようとしていることがわかります。
✨️得点王(J2)✨️
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年12月19日
ジェフユナイテッド千葉
小森飛絢 ゴール集⚽️@hiirokomori86@jef_united#J2リーグアウォーズ pic.twitter.com/4t6nySJUd6
一方で課題としては、フィジカル面が上げられるのではないかと思います。
昨年も点が取れなかった時期は、チームの攻撃がうまくいってなかったためか、監督の指示だったのか、中盤まで下がってボールを受けることが多かった。
しかし、フィジカルコンタクトはあまり強くはないだけに、ポストに入っても潰されることも多い状況でした。
また、細かなエリアでもプレーできる選手ではありますが、相手に引かれて完全にスペースを消されると、どうしても接触が増えて苦労するところがあった印象です。
なるべく接触プレーを避けるにしても、海外リーグともなればよりフィジカルが問われる部分があると思います。
チームとしてポストやターゲットとしての働きをFWに求めるか否かでも大きく変わってくるとは思いますが、現状での動きのキレを残しつつも、フィジカル強化に強めていく必要性があるのかもしれません。
そこが小森の課題ともいえるかもしれませんが、見方を変えれば伸びしろともいえるのかもしれません。
この冬にSTVVが補強したFWは小森だけではないようですし、残留争いとなるとチームもバタバタするかもしれませんので、腰を据えてチームに馴染むといった状況にはならないかもしれません。
ただ、巻も同じような環境だったように、助っ人選手というのは馴染む前に成果を問われるものだとも思いますから、自身のアピールとチームの残留のためにも、ゴールという結果が欲しいところですね。