TR-108 ロケットエンジンとマルチプルピントルインジェクター,
TR-108 Rocket Engine and Multiple Pintle Injectors
TRWがノースロップグラマンに買収された後の最初の大型ロケットエンジン開発となったTR-108ロケットエンジンには、極めてユニークな、「マルチプルピントルインジェクター」が搭戦されている。これは、単一のピントルインジェクターから推進剤を供給するには大きすぎたり、単一のピントルインジェクターでは十分なエンジン能力を達成するのが困難な場合に、複数のピントルインジェクターを搭載する技術である。
【関連記事】
1. 開発背景:MDAの液体ロケットブースター開発プログラム
米国ミサイル防衛庁(MDA)は、ミサイル防衛(MD)評価のため、弾道ミサイルを模擬する標的用弾道ミサイル開発も行っている。ノースロップグラマン TR-108ロケットエンジンは、標的用弾道ミサイルの液体ロケットブースターとして開発が開始された。
標的用弾道ミサイルには、固体燃料ロケットモータのものが大半を占めるが、ここで液体ロケットブースター変更する理由は、東側の弾道ミサイルを模擬したかったからである。東側の伝統的な弾道ミサイルの多くが液体燃料の推進剤を使用しているため、将来のテストと評価のため、液体ブースターの弾道ミサイル模擬を目的として、液体ロケットブースターステージを欲しがった。この様に、TR-108は、ミリタリーユースの上段エンジンとして開発された。ノースロップグラマンは、3年間で3000万ドルの契約を獲得している。
TR-108が、どの標的用弾道ミサイルに搭載されたか、その後情報はない。しかしながら、MDAが運用している標的用弾道ミサイルの中に、「Hera」という標的がある。Heraは、標的用弾道ミサイルとして、1992年に開発開始、1995年に最初の打ち上げが実施された。Heraは、退役したMinutemanII ICBMの第2段、第3段のロケットモータ、Pershing IIの誘導部を流用した標的機であり、過去には、PAC-3やTHAADの迎撃標的として使用された実績を持つ。Heraはまた、米空軍のサウンディングロケットとしても使用されている。
Hera 標的用弾道ミサイル
全 長:11.9 m (39 ft)
直 径:1.32 m (4 ft 4 in) (1st stage)
重 量:11300 kg (25000 lb)
第2段目:Hercules M57A1 固体燃料ロケットモータ 156kN (35,000lbf)
第3段目:Aerojet General SR19-AJ-1 固体燃料ロケットモータ 268 kN (60,300 lbf)
Heraで第2段目には、Hercules M57A1ロケットモータが使用されており、推力は15.6kNである。これは、TR-108の推力とほぼ同じである。従って、Heraの第2段目を液体ロケットブースターに置き換えるために、TR-108開発計画が実施されたとみられる。
2. ノースロップグラマン初のピントルインジェクター型ロケットエンジン
TR-108は、TRWのロケットエンジン開発部門がノースロップグラマンに買収・吸収されてから、初めて開発された大型のピントルインジェクター型ロケットエンジンであった。
2002年にTRWからSpaceXに移籍した、トム・ミュラー(Tom Mueller)は、以前にTRWにて、部門長、リードエンジニアとして、TR-106とTR-107 ロケットエンジンの開発に携わっていた。ナンバリングを見ても分かる様に、TR-108は、トム・ミュラーがTRW(現ノースロップグラマン)を去ってから、開発されたロケットエンジンである。
TRW時代とのロケットエンジン開発の異なりとして、主にスラスタに使用されてきた過酸化水素をグリーンプロペラントとして採用し、大型化を図っている。特に、過酸化水素をガス化するためのメイン触媒ベッドは、下請けとして開発にかかわったゼネラル・キネティクス社が製造した中で最大のもので、ベッドへの負荷と運転圧力の面で課題があった。
一方で、TRWを買収したノースロップグラマンは、米軍のレーザー兵器の開発の主な開発会社であり、エアボーンレーザー:YAL-1A、戦術高エネルギーレーザー:MTHEL等の実績があった。その中でも、YAL-1Aの開発においては、レーザー方式が、化学酸素ヨウ素レーザー(COIL)であり、レーザー発生源の酸化剤として過酸化水素の豊富な取り扱い経験を有していたことから、その知見が、TR-108の開発に生かされている。
3. Northrop Grumman TR-108 ロケットエンジン
推 力:15.6 t (34,500lbf)
真空比推力:271 s
燃 焼 圧 力:6.2MPa(900psia)
推 進 剤:91% 過酸化水素/トルエン
混 合 比:5.84
C*燃焼効率:93~94%(最大96%程度)
ノズル比 :15.4
最 大 直 径:2.6 ft
全 長:4.9 ft
標的用弾道ミサイルの上段ステージとして開発されたため、形状としては、既存の機体のスペース内に収まりきる様に、短縮構成で設計されている。配管の取り回し、ターボポンプの配置も狭い中に設置するための配置をした形になっている。
TR-108は、タービン回すのが、単元推進剤のみで、システムとしてとても簡素である。酸化剤ポンプ出口から過酸化水素をタップして、ガスジェネレータに入れてやる。制御はその経路にある1つの高圧バルブ制御のみで良い。
TR-108開発時のMDAからの要求は、経常的なコストを抑える事であった。ターボポンプハウジングの鋳造、アブレーティブ燃焼室、他のシステムで飛行資格を得たCOTSハードウェア、高圧バルブの代わりにバーストディスクを採用。TRW時代から実績のある堅牢な技術と材料、製造方法を最大限用いて、コスト、スケジュール、リスクを最小限に抑えた。
主な開発要素としては、以下がある。
- メイン触媒ベッド
- 燃料用マルチプルピントルインジェクター
- アブレイティブ燃焼室
- モノプロペラントターボポンプ
TR-108の試験は、カリフォルニア州サンクレメンテにあるノースロップグラマンのカピストラーノ試験場において、完全に統合された構成でエンジン試験が実施され、成功を収めた。
4. マルチプルピントルインジェクター
TR-108のマルチプルピントルインジェクター
TR-108ロケットエンジンには、極めてユニークな「マルチプルピントルインジェクター」が搭載されている。上記の写真の様に、通常の単体のピントルインジェクターとは異なり、合計7個のピントルインジェクターを推進剤噴射側に配置している。7個のピントルインジェクターは、1個を中心とした6角形型の配置である。
これにより、混合比をより均一にするとともに、102個の燃料膜冷却孔を備えており、フィルム冷却を提供している。奥側に見えるメッシュは、91%の過酸化水素をガス化するメイン触媒ベッドである。
単一のピントルインジェクターにより推進剤を供給するには、サイズが大きくなりすぎる場合や、単一のピントルインジェクターで十分な能力を達成するのが困難と判断される場合には、複数のピントルインジェクターを持つ、マルチプルピントルインジェクターを採用する場合があると見られる。(公開文献においてはTR-108以外に、実用化レベルにあるマルチプルピントルインジェクター型ロケットエンジンは見受けられない)
特に、TR-108では、推進剤が液体-液体ではなく、液体-気体であるが故に、単一のピントルインジェクターでは、目標性能が達成できないとみなされたため、マルチプルピントルインジェクターが採用されたと考えられる。複数のピントルインジェクターを均一配置することで、燃料ジェットの貫通距離を稼ぐことができ、燃料によるフィルム冷却も可能になる。
TR-108においても、ピントルインジェクターは、燃料噴射特性を変化させるために容易に交換可能な仕様であった。実際、短期間の間に、13種類の異なるピントルインジェクター構成が試験された。ピントルの先端を見ると、2点の穴が開いており、この部分に治具を挿入し、ピントルチップ部を締め付けると考えられる。金属色の違いから、伝熱特性の良い合金で製造されることがうかがえる。
TR-108は、ノースロップ・グラマンが開発した最初のマルチプルピントルインジェクター型のロケットエンジンだが、TRWでこの様なピントルインジェクターが以前に開発されていたかは、資料が無く不明である。しかしながら、TR-108は、新形式のインジェクターを新規開発で使うことはハードルが高く、またコストを下げるために、「TRW時代から実績のある堅牢な技術と材料、製造方法を最大限用いた」とあることから、TRW時代から、マルチプルピントルインジェクターの技術は開発されていたと考えるのが妥当であろう。
TR-108のプログラムを支援するために、この液体-気体混合のピントルインジェクターの燃焼性能を予測するモデルが作られた。TR-108は、過酸化水素を使用しているため、触媒で気化させたガス中に液体の炭化水素燃料をジェット噴射させる形式である。つまり、TR-108のインジェクターは、液体-気体混合型である。
この燃焼性能を予測するモデルには、ガスのクロスフローにおける液体ジェットの貫通距離の相関関係が重要である。ピントルインジェクターで放射状に噴射された燃料ジェットが、燃焼室壁面に到達する前に、酸化剤のクロスフローにどの程度の噴霧・貫通できるかが重要になっている。この様の問題は複雑な性質を持っており、現在でも活発な研究がなされている。
ほとんどの実験では、ガスの模擬として空気のクロスフローを用い、ジェットの模擬として水を用いた水流しによる相互作用の結果から解析を行っている。そのため、ロケットエンジンの燃焼や異なる流体特性(粘性、表面張力)などの要素の影響を無視して研究がなされている。この事前模擬の不確実性のため、TR-108の開発においては、マルチプルピントルインジェクターについて、かなりの数の燃焼試験が必要だった。しかし、先に述べた様に、ピントルインジェクター特有の設計の柔軟さと単純さのおかげで、13種類の異なるピントル構成が比較的短い期間で試験された。試験から相関関係モデル構築がなされた。
最終的には、TR-108は、93~94%のC*燃焼効率が安定的に実証された。(インジェクターの微鯛整を行えば、さらに1~2%の性能向上が期待される)
次回は、TR-108を踏まえた上で、SpaceXのMerlinロケットエンジンのピントルインジェクターについて考察する。(続く)
SpaceX Merlin1 ロケットエンジンとマルチプルピントルインジェクター, SpaceX Merlin1 rocket engine and multiple pintle injectors
References
[1] Design and Development Testing of the TR108 - a 30Klbf-Thrust-Class Hydrogen Peroxide / Hydrocarbon Pump-Fed Engine,
https://arc.aiaa.org/doi/abs/10.2514/6.2005-3566
[2] MDA BOOSTER COST ANALYSIS, Joint ISPA/SCEA Annual Conference June 24 – 27 2008
http://www.iceaaonline.com/ready/wp-content/uploads/2017/09/AN10.pdf
[3] Hera / PLV, Directory of U.S. Military Rockets and Missiles
http://www.designation-systems.net/dusrm/app4/plv.html
[4] Theater Missile Defense Hera Target Systems EA, January
[5] ACQUISITION OF THREAT-REPRESENTATIVE BALLISTIC MISSILE TARGETS,
Jerry E. Esquibel, December 2002
https://www.hsdl.org/?view&did=450767
The TR-108 rocket engine, the first large rocket engine developed after TRW was acquired by Northrop Grumman, is equipped with a very unique "Multiple Pintle Injector". The TR-108 rocket engine, which was the first large rocket engine developed after the acquisition of Northrop Grumman, features a very unique "multiple pintle injector" technology, which allows multiple pintle injectors to be installed when the propellant supply from a single pintle injector is too large or when it is difficult to achieve sufficient engine capacity with a single pintle injector.
【Related Articles】
1. Development Background: MDA's Liquid Rocket Booster Development Program
The U.S. Missile Defense Agency (MDA) is also developing a targeted ballistic missile to simulate a ballistic missile for missile defense (MD) evaluation. The Northrop Grumman TR-108 rocket engine has been developed as a liquid rocket booster for targeted ballistic missiles.
Most of the target ballistic missiles have solid-fuel rocket motors, but the reason for changing to a liquid rocket booster was to simulate the ballistic missiles of the East. Since most of the traditional ballistic missiles in the East use liquid fuel propellant, they wanted a liquid rocket booster stage to simulate a liquid booster ballistic missile for future testing and evaluation. Thus, the TR-108 was developed as an upper stage engine for military use. Northrop Grumman was awarded a three-year, $30 million contract.
There has been no information since then on which target ballistic missile the TR-108 was installed on. However, among the target ballistic missiles operated by the MDA is the Hera target, which was first developed as a target ballistic missile in 1992 and was first launched in 1995. Hera is the second and third stages of the retired Minuteman II ICBM. Hera is also used as a sounding rocket by the U.S. Air Force.
Hera 標的用弾道ミサイル
Length: 11.9 m (39 ft)
Diameter: 1.32 m (4 ft 4 in) (1st stage)
Weight: 11,300 kg (25,000 lb)
Second stage: Hercules M57A1 solid rocket motor 156 kN (35,000 lbf)
Third stage: Aerojet General SR19-AJ-1 solid rocket motor 268 kN (60,300 lbf)
The Hercules M57A1 rocket motor is used for the second stage on the Hera, with a thrust of 15.6 kN. This is almost the same as the thrust of the TR-108. Therefore, it is likely that the TR-108 development program was implemented to replace the second stage of the Hera with a liquid rocket booster.
2. Northrop Grumman's First Pintle Injector Rocket Engine
The TR-108 was the first large pintle injector rocket engine developed after TRW's rocket engine development division was acquired and absorbed by Northrop Grumman.
Tom Mueller, who moved from TRW to SpaceX in 2002, had previously been involved in the development of the TR-106 and TR-107 rocket engines at TRW as a division manager and lead engineer. As you can see from the numbering, the TR-108 rocket engine was developed after Tom Mueller left TRW (now Northrop Grumman).
One of the differences between the TRW era and the TR-108 was the use of hydrogen peroxide as a green propellant, which had been used mainly for thrusters, to increase the size of the engine. In particular, the main catalytic bed for gasifying hydrogen peroxide was the largest one manufactured by General Kinetics, which was involved in the development as a subcontractor, and there were problems in terms of load on the bed and operating pressure.
On the other hand, Northrop Grumman, which acquired TRW, was the main developer of laser weapons for the U.S. military, and had experience with the airborne laser: YAL-1A, and the tactical high energy laser: MTHEL. In the development of the YAL-1A, the laser system was a chemical oxygen iodine laser (COIL), and the company had extensive experience in handling hydrogen peroxide as an oxidizing agent for the laser source, and this knowledge was utilized in the development of the TR-108.
3. Northrop Grumman TR-108 rocket engine
Thrust: 15.6 t (34,500 lbf)
Vacuum specific impulse: 271 s
Combustion Pressure: 6.2 MPa (900 psia)
Propellant: 91% hydrogen peroxide / toluene
Mixture ratio: 5.84
C* combustion efficiency: 93-94% (up to about 96%)
Nozzle ratio: 15.4
Maximum diameter: 2.6 ft
Length: 4.9 ft
Since it was developed as the upper stage of a targeted ballistic missile, it was designed in a shortened configuration to fit within the space of an existing aircraft. The layout of the piping and turbopumps was also designed to fit into the narrow space.
The TR-108 is a very simple system, with only a unit propellant to turn the turbine. Hydrogen peroxide is tapped from the oxidizer pump outlet and fed into the gas generator. Only one high-pressure valve in the path is needed to control it.
The requirement from MDA during the development of the TR-108 was to keep the recurring cost down. Cast turbopump housings, ablative combustion chambers, flight-qualified COTS hardware in other systems, and burst discs instead of high-pressure valves were used to minimize cost, schedule, and risk by using the maximum amount of robust technology, materials, and manufacturing methods proven since the TRW days.
Key development elements are following,
- Main catalyst bed
- Multiple pintle injectors for fuel
- Ablative combustion chamber
- Monopropellant turbo pump
The TR-108 was successfully tested at Northrop Grumman's Capistrano Proving Ground in San Clemente, California, where engine testing was conducted in a fully integrated configuration.
4. Multiple pintle injector
TR-108's Multiple Pintle Injector
The TR-108 rocket engine is equipped with a very unique "Multiple Pintle Injector". As shown in the photo above, a total of seven pintle injectors are arranged on the propellant injection side, unlike the usual single pintle injectors.
The seven pintle injectors are arranged in a hexagonal shape with one pintle injector at the center. This provides a more uniform mixing ratio and 102 fuel film cooling holes to provide film cooling. The mesh visible at the back is the main catalyst bed, which gasifies 91% of the hydrogen peroxide.
If the size of the propellant is too large to be supplied by a single pintle injector, or if it is deemed difficult to achieve sufficient capacity with a single pintle injector, multiple pintle injectors with multiple pintle injectors may be employed. (In the published literature, TR-108 is used. (Other than the TR-108, there is no other multiple pintle injector rocket engine at the practical use level in the published literature.
In particular, the TR-108 is considered to have adopted multiple pintle injectors because the propellant is not liquid-liquid, but liquid-gas, and therefore a single pintle injector was not considered to achieve the target performance. The uniform arrangement of multiple pintle injectors allows the fuel jets to increase their penetration distance and also allows for film cooling by the fuel.
In the TR-108, the pintle injectors were also designed to be easily replaced in order to change the fuel injection characteristics. In fact, in a short period of time, 13 different pintle injector configurations were tested. Looking at the tip of the pintle, there are two holes, and it is believed that a jig is inserted into this area to tighten the pintle tip section. The difference in the metal color suggests that it is manufactured with an alloy with good heat transfer properties.
The TR-108 was the first multiple pintle injector rocket engine developed by Northrop Grumman, but it is not known whether such a pintle injector had been developed at TRW before. However, it was difficult to develop a new type of injector for the TR-108, and in order to reduce the cost, "the robust technology, materials and manufacturing methods proven in the TRW era were used to the maximum extent. It is reasonable to assume that the multiple pintle injector technology had been developed since the TRW era.
To support the TR-108 program, a model was created to predict the combustion performance of this liquid-gas pintle injector, which uses hydrogen peroxide to jet liquid hydrocarbon fuel into a catalytically vaporized gas. In other words, the injector of the TR-108 is a liquid-gas mixture.
The correlation of the penetration distance of the liquid jet in the gas cross flow is important for the model to predict the combustion performance. It is important to know how much of the fuel jet injected radially by the pintle injector can spray and penetrate the oxidizer cross flow before reaching the combustion chamber wall. Such problems are complex in nature and are still the subject of active research.
Most experiments use air cross-flows to simulate gases, and water cross-flows to simulate jets, and analyze the results of the interaction. Therefore, the studies ignore the effects of factors such as rocket engine combustion and different fluid properties (viscosity, surface tension). Due to the uncertainty of this pre-simulation, a significant number of combustion tests were required for the multiple pintle injector in the development of the TR-108. However, as mentioned earlier, due to the inherent flexibility and simplicity of the pintle injector design, 13 different pintle configurations were tested in a relatively short period of time. A correlation model was built from the tests.
In the end, the TR-108 demonstrated a stable C* combustion efficiency of 93-94%. (A further 1-2% performance improvement is expected with fine tuning of the injectors.)
In the next article, we will discuss the pintle injector of SpaceX's Merlin rocket engine in light of the TR-108. (To be continued)
SpaceX Merlin1 ロケットエンジンとマルチプルピントルインジェクター, SpaceX Merlin1 rocket engine and multiple pintle injectors
References
[1] Design and Development Testing of the TR108 - a 30Klbf-Thrust-Class Hydrogen Peroxide / Hydrocarbon Pump-Fed Engine,
https://arc.aiaa.org/doi/abs/10.2514/6.2005-3566[2] MDA BOOSTER COST ANALYSIS, Joint ISPA/SCEA Annual Conference June 24 – 27 2008
http://www.iceaaonline.com/ready/wp-content/uploads/2017/09/AN10.pdf[3] Hera / PLV, Directory of U.S. Military Rockets and Missiles
http://www.designation-systems.net/dusrm/app4/plv.html[4] Theater Missile Defense Hera Target Systems EA, January
[5] ACQUISITION OF THREAT-REPRESENTATIVE BALLISTIC MISSILE TARGETS,
Jerry E. Esquibel, December 2002
https://www.hsdl.org/?view&did=450767