百獣戦隊ガオレンジャー

登録日:2011/10/08 Sat 03:05:32
更新日:2025/02/19 Wed 08:57:10
所要時間:約 10 分で、読めることでしょう。


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00年代戦隊 2000年代特撮ヒーロー 2001年 21世紀最初の東映ヒーロー ガオレン百獣吠えまくり OPも吠えまくり コードネーム呼び戦隊 スーパー戦隊シリーズ テレビ朝日 ヒーリン・ユー レジェンド戦隊 中川幸太郎 初のロボットへの武装システム 動物 名作 増岡弘 容赦がないピンチ展開 山形ユキオ 序盤はギスギスシーン多し 感動のラスト 日笠淳 東映 武上純希 武上純希の本気 気高い雄叫びを上げろ 牙吠! 特撮 玉山鉄二 王道 百獣、吼える!! 百獣戦隊ガオレンジャー 百獣鬼 稀に鬱展開あり 第25作 終盤は鬱展開の嵐 記念作品 諸田敏 赤星政尚 邪気退散 酒井直行 野生の魂と魂が今響き合う 金子昇 青森県




命ある所、正義の雄叫びあり!

百獣戦隊!


ガオ


牙 吠


百獣戦隊(ひゃくじゅうせんたい)ガオレンジャー』とは、2001年~2002年まで放送されていた、スーパー戦隊シリーズ第25作。
21世紀最初の戦隊であり、25作記念作品にあたる。
ちなみに勘違いされやすいが、今作はシリーズ25周年を迎えた“25周年記念作品”ではなく、“第25記念作品”である。


〇概要

モチーフは「動物」。
CGを多用した演出が多く、『忍者戦隊カクレンジャー』のアメコミ演出よろしく名乗りや攻撃の際などに漢字のエフェクトが現れるのが特徴。
劇中のテロップはここからビデオ合成となる。*1
メインメカとなるパワーアニマル達もフルCGで描かれ、より動物らしい動きを再現している。
アクションにも各モチーフの動物の動きを取り入れるなどの工夫が随所に凝らされているが、そのため鷲モチーフのイエローは『それなんて鳥人戦隊』状態。

主なスタッフ陣として、チーフプロデューサーを日笠淳、メインライターは武上純希、メイン監督を諸田敏が担当。
明快なストーリーと相まって老若男女を問わず多くの視聴者に支持された本作品は、日曜の朝としては異例の10%超の視聴率をたたき出している。
最高視聴率は「11.5%」で、これは今なおニチアサでは破られていない記録である。*2
いわゆる「イケメンヒーローブーム」の空気にもマッチしたのか、同年に放送された『仮面ライダーアギト』と並んで主婦層の人気も獲得している。
売上も凄まじく好調で、前年度比実に190%というバケモノのような数値となった結果、スポンサーから続編打診の声があったとのこと。
基本1年で完全に終わるスーパー戦隊シリーズとしては極めて異例の事態であるが、最終的に「続編にするとマニアックな内容になるので尻すぼみで終わる」という判断から断られた。
放送終了後も根強い人気があり、2011年のgooランキングの『夢中になったスーパー戦隊シリーズは?』のアンケートでは、放送終了後10年経っていたにもかかわらず本作品がランキング1位に輝いた。

ナレーションは『サザエさん』のマスオさん(二代目)や『それいけ!アンパンマン』のジャムおじさん(初代)、それにスーパー戦隊シリーズ初代大幹部こと日輪仮面でお馴染み増岡弘氏。
穏やかな語り口調で、それにちなんで文体もいわゆる「です・ます」調になっている。*3

スーパー戦隊Vシネマに目を向けると、『未来戦隊タイムレンジャー』とクロスオーバーする作品は製作されず、代わりに歴代スーパー戦隊との共演作となる『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』が例年より早い8月に発売された。
以降、30作目の『轟轟戦隊ボウケンジャー』もVSスーパー戦隊に、35作目の『海賊戦隊ゴーカイジャー』は『宇宙刑事ギャバン』とのコラボとなり、
『劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊』が公開されるまでは、節目の記念作品におけるVSシリーズは別の作品とのクロスオーバーとして製作されている。

ちなみにガオレンジャーというタイトルは元々『星獣戦隊ギンガマン』の企画段階での最有力候補だったが、それと同時期に放送されていた某勇者王と「タイトルが被る」という理由で没になったものを、改めて再利用したもの。

「47戦隊47都道府県」では青森県を担当。
ねぶた祭りの精霊送り等が由来だろうか。「G『AO』」で青森、という訳では無いと信じたい


〇あらすじ

21世紀の地球では、環境汚染や生態系の異常などにより、人々の生きるエネルギーが減少しつつあった。そこに、オルグと呼ばれる邪悪な鬼の一族達が出現。人々を脅かしていく。

そんなある日、天空島アニマリウムに連れて来られた獅子走は、そこで『パワーアニマル』のリーダー・ガオライオンに出会う。ガオライオンは走をガオレンジャーの戦士に選んだ。
そして、ガオイエローと名乗る青年に「危険な戦いになる」と告げられた走は「救いを求める命を黙って見てるわけにはいかない」と答え、ガオレンジャーになる事を決意。
そして走はガオレンジャーとなり、仲間達と共にオルグとの戦いに身を投じていくことになる。


〇【登場人物】

〇ガオレンジャー

パワーアニマルによって選ばれたネオ・シャーマンの戦士。
ネオ・シャーマンとは、人間の遺伝子の最深部に潜在している自然との対話能力を天文学的確率で強く受け継いだ者のこと。
Quest2におけるイエローの「戦士として名乗りたいなら、名前もその過去も捨てろ」という発言から、ガオレンジャーは名前の無い戦士と見なす掟があるため、従来とは逆に、変身前もコードネームで呼び合う。そのため、OPを除き本名が確認できるシーンは少ない。
メンバーの苗字は全て自身を戦士に選んだパワーアニマルに準じたものだが、初期メンバー5人の苗字に言及したのはハリケンジャー鷹介しかいない。

ただあくまでも「今はガオレンジャーである自覚が必要」というだけであるらしく、実際にはそのイエロー含め全員が割と「選ばれる前の生活や職」にポジティブに言及した回も見られる。
最終回では戦士としての役目を終え、装備一式をテトムに返却。また1000年の眠りにつく彼女を見送り、ガオレンジャーを卒業した…はずが、実際にはテトム含めた7人+パワーアニマルたち全員でOB・OG会としては活動している様子。一説には後述のあるキャラがメンバーの絆を見て「テトムとお互いずっと友人でいられる」というご褒美をあげたのではとも。

演: 金子昇
ガオライオンに選ばれた戦士。名乗りは『灼熱の獅子』。
ガオレンジャーになる前は獣医をしており、動物の気持ちがわかる力を持っている。
その為当初はオルグと戦う事無く解り合いたいと考えていた。
動物の事が絡むと「俺は獣医だ!!」「やる気満々だぜぇぇぇっ!!」の一言で済ます熱血漢な一面も。
最終回では獣医の仕事に戻っていた。

海賊戦隊ゴーカイジャー』第9話「獅子、走る」にも再登場。独立して『獅子どうぶつ病院』を開業している。
演者の金子氏は『忍風戦隊ハリケンジャーVSガオレンジャー』のインタビューで「獅子走 / ガオレッド役を卒業しなければならなくなった」と悲しそうに語っていたが、本作出演で撤回となった。
マーベラス達との第一印象は悪かったものの、戦いながらも街の人達を助ける姿を見て考えを改め、ガオライオンとガオレンジャーの大いなる力を与えた。
「あいつら……、口が悪いんだよ。」

後に4週連続スぺシャル『スーパー戦隊最強バトル!!』第2話にも登場。
先輩戦士である太陽戦隊サンバルカンのバルシャークと星獣戦隊ギンガマンのギンガグリーンと共に「陸海空チーム」として参戦し、「変わり者チーム」代表にして40番目のスーパー戦隊こと動物戦隊ジュウオウジャージュウオウイーグル/風切大和と対決した。
最終的に敗北するものの、大和の熱さを認めて退場した。
『ゴーカイジャー』での走は当時と異なり落ち着いた雰囲気だったが、こちらでの走はかつての熱さを取り戻しているようで、退場時に「やる気満々だぜぇぇぇっ!!」と叫んでいる。

『ゴーカイジャー』でマーベラスが変身した際は違和感なく馴染んでいたが、サタラクラが変身した時は当然おふざけキャラになってしまった。
なお演者は後にブンブラックの父親を演じることになる。

副業として機龍の整備士をしていたり世界一真っ白なブラックの警察屋の父親になったという噂が流れているが、真相は不明。



演: 堀江慶
ガオイーグルに選ばれた戦士。名乗りは『孤高の荒鷲』。
元々は航空自衛隊のパイロット候補生(社会的には飛行中にヒコーキもろとも行方不明の模様*4。訓練生時代の回想でF-1に乗っていたため配属部隊自体は決まっていたのではとも。
当初はクールで口数も少なかったが、回を重ねる毎に会話に英語を混ぜたりウクレレを弾いたりとコミカルな一面が表れるようになった。
最終回後では航空自衛隊に復帰した。
その身ひとつで時速300キロの速度で飛行可能な設定を持つ。ちなみにこれはマジレンジャーのスカイホーキーと同速。魔法使いの魔法の箒にバンザイポーズで追いつく男
「焼き鳥にしてやるうううううううう!!!!」

またリアルでは後に、メガブルー・ゴーカイレッド・ ゲキブルーが初演に登場したハイスピード推理アクション舞台版のプロデュースを手掛けている。


  • ガオブルー/鮫津 海(さめづ かい)
演: 柴木丈瑠
ガオシャークに選ばれた戦士。名乗りは『怒涛の鮫』。後藤オサムではない
元フリーターで、戦士に選ばれるまでは様々なアルバイトをしていた。
明るい性格でメンバーのムードメーカー的存在だが、その反面何事にも粘り強く、精神的にタフな面も持ち合わせている。ネバギバが口癖。
最終回ではサーフショップで働いている。


演: 酒井一圭
ガオバイソンに選ばれた戦士。名乗りは『鋼の猛牛』。
元力士(最高位序二段)だったが膝を痛めて廃業。その後、花屋でアルバイトをしていた。*5
体格の割に意外と小心者。美人を見ると「金星(きんぼし)」と呟く。結婚式場の着付け役として働いていた元トレンディ戦隊の青い戦士に一目惚れしてしまったことも。
海とはいい凸凹コンビ。
最終決戦後は牧場で働いている。

演者は『ゴーカイジャー』のガオレンジャー回の撮影現場に遊びに来た(出演はしていないが)他、最終回の放送日に、「レンジャーキーが帰ってきた」とTwitterに投稿した。
また、2006年に
放送から数年を経た今でも街で子供達やその親から声がかかる。その子達はどう見ても本放送を見た世代じゃないし、しかも俺はレッドじゃなくてブラックなのに
とコメントしている。
ちなみに、翌年の鏡の中で戦った敏腕弁護士カブトムシの戦士と共に歌謡グループを結成し、銭湯巡りをしているうちに紅白歌合戦に出場することとなった。

超古代戦士と戦って半径3kmの大爆発で散った亀の未確認生命体ではない。


  • ガオホワイト/大河 冴(たいが さえ)
演: 竹内実生
ガオタイガーに選ばれた戦士。名乗りは『麗しの白虎』。
ガオレンジャーの紅一点で、現役女子高校生。鹿児島出身。
武術の勉強のために上京し一人暮らしをしていた。戦士として選ばれて以降は満足に学校に行けていない。
かなり礼儀正しい性格だが、その一方でおだてられて調子に乗ったり、仲間達にからかわれいじけてしまったりとギャップのある一面も見せる。
動植物を大切にする優しい少女であり、そのことは走も知っていたため、これが偽冴を見破る鍵になったこともある。
ガオの宝珠を誰よりも丁重に扱っており、ガオエレファントの宝珠が狼鬼に奪われた際は一時期元気をなくしていたほど。
第32話ではラセツに危うく食べられかけた(本人はキスされる方が心配だったが)。
最終決戦後は武道学校に復学している。


上記の5人は一人一人固有武器を持っており、それらを組み合わせる事で、破邪百獣剣が完成する。
その威力は、並のオルグを一撃で葬る。

なお、残念なことにスケジュールが合わないのか、『機界戦隊ゼンカイジャー』との共演イベントでは彼女のみ素顔の出演が無かった。*6


演: 玉山鉄二
後半から仲間になった6人目の戦士。名乗りは『閃烈の銀狼』。
1000年前にオルグと戦っていた戦士の一人。昔はシロガネと呼ばれていた。
現代に復活するも、1000年以上のカルチャーショックでなかなか現代に馴染めないでいた。
武器がビリヤードのキューに似ていたせいか、バーでよくビリヤードをしている。その時は心が落ち着くらしい。
最終決戦の後は放浪の旅に出た。



〇協力者

  • テトム
演: 岳美
天空島に住んでいるガオの巫女。パワーアニマル達の意思をガオレンジャー達に伝える事が出来る。
料理が得意で、実はかなりの怪力。基本的には戦わないが、5話で外出した時には絡んできたチンピラを簡単に撃退したこともある。
一方で長いこと地上にいなかったせいか、東西南北が分からない。元巫女だった祖母のムラサキの若い頃にそっくりらしい。
歌が得意で、挿入歌の「響の調べ」が持ち歌。あと機械には疎く、コンピュータをいじって壊してしまったことも。

3年前は全銀河支配を企む破壊の戦士で、ツエツエとは善悪逆転した因縁の仲。実はスタッフがこのミュージカルの鑑賞に来ていたことから配役が決まった。

  • 風太郎(ふうたろう)
演: 有岡大貴
ガオレンジャーの前に現れた謎の少年。
生意気な性格でいかにも現代っ子な服装の割に、大人びた口調で話す。
その正体は人間に姿を変えた荒神ガオゴッドで、自分が選んだガオレンジャーの資質を試そうとしていた。
ちなみにリアルではこの後ジャニーズ事務所入りしてアイドルに転身し、平成ラストと令和初回の紅白でブラックと再会。さらにその後映画『シン・ウルトラマン』に出演している。

地球の獣の姿をした大地の精霊。詳しくは単独項目を参照。

今作における巨大ロボ。
パワーアニマル達が合体した姿。詳しくは単独項目を参照。

オルグ

この世を漂う邪悪な念が実体化した存在で、昔で言う「」。
その邪悪さは、どんな動物の声も聞く自信があったレッドでさえ「心がない」と言わしめるほど。
機械など無機物モチーフが多い。
角の数が少ないほど位が高くなり、角を全て失うと死んでしまう。
詳しくは単独項目を参照。

アイテム

  • 携帯変身Gフォン
  • 獣皇剣
  • 破邪百獣剣
  • ガオメインバスター
  • ファルコンサモナー
  • Gブレスフォン
  • ガオハスラーロッド

【派生作品】

2001年9月22日に公開された劇場作品。

  • 『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』
スーパー戦隊25作目を記念して制作された、スーパー戦隊Vシネマ作品。

次作『忍風戦隊ハリケンジャー』とクロスオーバーした、スーパー戦隊Vシネマ作品。


項目ある所、正義の追記・修正あり!




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最終更新:2025年02月19日 08:57

*1 書体は写研のファン蘭。OPとEDはかつての東映特撮で頻繁に使用された石井太ゴシックがイタリック体ながら『光戦隊マスクマン』以来14年ぶりに使用された。

*2 ネット配信なども活発に行われる令和の現代において、これを超えることはおそらく不可能。

*3 ただし、締めのナレーションでガオレンジャーに呼びかける際は「負けるな!」「頼んだぞ!」というような文体になることもあった。

*4 テトムがスカウトするために岳ごと天空島に連れて行ってしまった。

*5 因みに次の戦隊の四番手戦士は実際に元力士で最高位序二段という点が共通。こちらは腰を痛めて廃業したらしい。

*6 ただしガオホワイトの声は竹内氏がこのイベントのために事前収録したものが使われていた。