登録日:2023/04/21 Fri 20:00:07
更新日:2025/02/03 Mon 22:23:06
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二千年の歴史を刻み受け継がれてきた、恐るべき暗殺拳があった。
ここではアニメ第1期とその続編である『北斗の拳2』について触れ、以降アニメ第1期を「1」、『北斗の拳2』を「2」と記述する。
概要
「1」「2」の2作が連続して1984年10月から1988年2月まで放送された。
通算152話(「1」全109話・「2」全43話)で、原作漫画の第1話から修羅の国編までが描かれている。
- ケンシロウ登場~シンと決着を迎えるまで(1~22話)が第1部「KING編」
- レイ登場~死亡まで(23~57話)が第2部「風雲竜虎編」
- シュウ・サウザー登場~トキ死亡まで(58~77話)が第3部「乱世覇道編」
- トキとリュウガを弔う傍ら、シン・レイ・シュウ・サウザー
とついでにユダの活躍を回想する「総集編」(78~82話)
- 五車星登場~ラオウ昇魂まで(83~109話)が第4部「最終章」
- 天帝編(110~122話)~修羅の国編(123~152話)が「北斗の拳2」
と分かれる。
また、「1」のみを指して「世紀末救世主伝説 北斗の拳」というタイトルで呼ぶこともある。
原作にすぐ追いついてしまうことから、KING編では
アニメオリジナルエピソードが大量に作られ、シン戦までに22週もかかることに。
原作では10週でたどり着くため、3~4倍相当の引き延ばしが行われたことになる。
原作では無関係なGOLAN(ゴッドアーミー)やジャッカル一味が
シンの配下として登場したほか、伝説となった
南斗人間砲弾をはじめとする
拳法ですらない戦法や
びっくり人間ショーとしか思えないオリジナルキャラクターが多数登場した。
当然のごとく原作者やジャンプ側からクレームが付き、初期メインライターだった
上原正三がKING編終了とほぼ同時に降板。
以降アニオリ回は大幅に減り、
デーモン閣下似の敵キャラが出たり、
「履歴書」が会話の中に出たりする程度にとどまった。
放送期間中の1986年にはアナザーストーリーともいうべき
劇場用映画も公開されている。
劇伴は『
銀河鉄道999』『
悪魔くん』の青木望が担当。
中でもテーレッテーこと「戦闘」はバトルのクライマックスや次回予告でも使われ知名度が高い。
北斗の拳の声優陣と言えば本作の面々をイメージする人が多いと思うが、派生作品、特に2000年代以降の作品でキャスティングされた例は非常に少ない。
近年では『
北斗の拳 イチゴ味』がアニメ化された時、サウザー役に
銀河万丈が起用された程度にとどまる。
これは、本作の版権を東映アニメーションも保有しているため、起用の際には東映の許可が必要になり色々とややこしくなるのが主な理由。
関西地区では非常に再放送の機会が多かったことでも知られ、
神谷明がトークショーで言及するほど。
特徴
制作局の
フジテレビや系列基幹局では毎週木曜19:00から放送された。
そう、
ゴールデンタイムの放送である。
よって本作の特徴である人体が爆裂したり切断されたりする描写には配慮がなされ、敵が
あべし!する際はシルエット処理にしたり、透過光で血液を表現する、画面をずらして相手の視界が切断されたように見せるなど様々な趣向が凝らされ、以降のバトル系作品にも同様の処理が使用されるなど大きな影響を与えた。
また、原作で死亡した善人が生き延びるなど全体的にマイルドな改変がなされ、
アミバの断末魔である
「うわらば」や
「お前のようなババアがいるか!」「汚物は消毒だ~!!」といった名台詞も変わってしまう残念な扱いも多々見られた。
風のヒューイのように原作より出番の増えたキャラクターも存在する。
- 「ひらめ!」
- 「おおきに!」
- 「やったぁー!」
- 「越前ガニ!」
- 「レバニラ炒めライス!」
- 「歯が痛てぇ!」
- 「ガチョーン!」
- 「お、オレ、独身のまま死ぬなんて…ヤダアアア!」
- 「ア・ダ・モ・ス・テ!」
- 「金が…ないよぉー!」→「ああぁぁ俺もだぁぁぁ!」
など、それだけでアニヲタwikiに項目が建てられるんじゃないかというほど。
神谷明の証言によると、その回のやられ役が集まって「今日どうやって死ぬ?」と話し合っており、「今日は印象派の画家で死のう」など、方針を決めていたとのこと。
ちなみにこのやり取りから生まれた断末魔は
である。
倒す側の神谷も毎回楽しみにしており、楽しそうだと思って見ていたようだが、実際やってる側も相当楽しかったらしい。
なおやられ役の一人を演じた佐藤正治によると、普通にやるとバレてNGにされる可能性があるため、あえてはっきり言わず言葉を崩したり、一度に多数のキャラクターが死ぬ時は変な台詞をみんなで分けて死んだという。なお佐藤曰く印象に残っているのは「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」で死んだ時とのこと。
なんでもありなイメージだが、先の通りNGにされる可能性は常にあり、される時はされていたらしい。
同様に敵役でガヤをやることの多かった渡部猛演じる牙大王が死んだ際「ぅわったっべぇー!」と叫んでやられたが、OKになった。これはかなり印象に残っているようで、神谷明の談話でもよく出てくる。
ただ次述の千葉繁は「ちばぁ!って言って死んでいいですか?」と聞いたところ、NGを喰らったという。千葉曰く自分が拒絶された理由は「いいかどうか確認してしまったから」。その渡部も、後に同役を演じた劇場版で同様の試みをした際はNGだったとのこと。
千葉一族
本作で欠かせないのが、やはり
千葉繁先生の存在だろう。
ナレーションを筆頭に、ケンシロウに殺される雑魚やモブの声として大活躍。
名前のある役と言えばアニオリキャラながら原作に逆輸入してもいいくらい(いい意味で)目立っていた
ジョーカーと、「2」序盤の
OPでだけは巨悪
だった・ジャコウぐらいだろう。
その活躍ぶりから、風雲龍虎編に登場した野盗集団・牙一族になぞらえ「
千葉一族」とも呼ばれる。
氏の存在感は北斗兄弟や南斗関係者を上回り、ケンシロウ役の神谷明に次ぐと言っても過言ではない。
千葉曰く、世紀末でなければ普通に暮らしていた人達が、時代に翻弄されて悪人になり、あげく壮大な兄弟喧嘩に巻き込まれていくのを見て
「(ラオウの「我が生涯に一片の悔い無し」の台詞を受けて)お前らには(悔いが)ねぇよ!!」「少しでも視聴者に印象に残して死んであげたい」と思いながら演じていたらしい。
また、同作中でも一番有名なのが
次回予告のナレーション。当初は他の声優との持ち回りだったが風雲竜虎編の半ば頃から一本化され、回を追う毎にテンションが爆上がりしていった。
特に乱世覇道編終盤からのハイテンションは腹筋崩壊を超えた感動すらも我々に与えてくれる。
千葉はのちに当時を振り返り、
「毎回血管が2・3本切れるのを前提に収録に参加していた」と語っている。
また、脳震盪に似たような感じになるため、ぶっ倒れてもいいように壁際のマイクを使わせてもらっていたとか。
さすがにこれでは体力が続かないと感じたのかスタッフと協議のうえ、「2」でリニューアルしたのを機に突如
浪曲調の次回予告(通称「つぅ~う」)に変更。
BGMまでも、主題歌「TOUGH BOY」のインストではなく
拍子木の音を使うという無駄なこだわりを見せていたが、やはり
「なんか違う」というクレームが番組に殺到し、
スタッフから「
千葉さん、死んでくれ!!」と頼まれ、
ハンを倒すか倒さないかくらいの頃に通常のテンションに戻された。
つまり
ケンシロウたちが天帝軍と戦っている間はずっと浪曲だったのである。
結果先生は文字通り命を燃やして最終回まで次回予告をテンションを上げまくってやりきった。
神谷「千葉ちゃん、そんな死んじゃうからー!」
千葉「ご心配おかけしました」
余談
- ケンシロウ役は古川登志夫ら当時の人気声優がオーディションを受けていた。他の声優が唸り声のような「アタァ」という台詞で勝負したが、神谷明だけは突然拳法の構えのようなポーズを取って「ホアタァ!!」とブルース・リーを彷彿とさせる怪鳥音をぶつけてきた。これを見た古川登志夫は「(オーディションで)負けた」と悟ったらしい。ちなみに千葉も神谷と言えばどちらかと言えば厚みのある重低音のイメージがあったため、この選択には驚いたとのこと。
- おかげでケンシロウを後発で演じることになった若い声優陣は嫌でもこの怪鳥音に挑まなくてはならなくなった。
- ケンシロウの決め台詞である「お前はもう死んでいる」は流行語にもなったが、本作で次回予告も含めて頻繁に使用されたのが最大の理由。原作では1話とカサンドラ編と最終話の3回しか使用されておらず、1話は「もう死んでる」、最終話は「すでに死んでいる」と微妙に違っていて、「もう死んでいる」は1回しかない。
- 予告の決め台詞は他にも「今、お前の経絡秘孔を突いた」「北斗神拳に敗北の二文字はない」「悪党どもに祈る言葉などない」「乱世の怒りが俺を呼ぶ!」などのバリエーションがある。
- ケンシロウの北斗百裂拳の最後は「ほぉあたぁ!」ではなく「終わったー!」と叫んでいる。これは神谷明によれば、当時の北斗の拳の仕事は過酷を極めていたため、「収録がやっと終わった」という意味を込めて放ったアドリブだった。
- キャラクターデザインは概ね原作に準じているが、天帝軍の郡司令ゲイラについてはジャバ・ザ・ハットとの類似性が指摘されたからか大幅に変更(スキンヘッドで口がデカい→頭髪があり常識的なサイズの口)され、人間っぽい見た目となっている。
- 他にも理由は不明だが、修羅の国編で登場した修羅の一人であるギョウコも原作だとスキンヘッドなのにアニメでは頭髪が追加された。
- でかいババアが登場する回では、喫茶店の奥に座っている客が同時期に人気を博した『うちのタマ知りませんか?(タマ&フレンズ)』のタマの人形を持っている。
※推奨
BGM:「戦闘」(SILENT SURVIVORでも可)
つぃにアニヲタ@wikiにテレビアニメ版北斗の拳の項目が出来た!
ベタな項目が死に絶えた荒野に、漢たちのぉ!
お・そ・る・べ・き・書き込みが火を噴く!!
次回、北斗の拳
『追記修正は任せた 強敵に捧げる鎮魂歌!』
- 映画版だとグロいから北斗神拳の演出は笑えるTV版が好き。あとたまに作画の個性が凄くてレイが少女漫画ばりのイケメンになる -- 名無しさん (2023-04-21 20:12:36)
- 愛を取り戻せ!ユリア…永遠に、SILENT SURVIVOR、TOUGH BOYと、OP曲やED曲も印象深い曲が多いなぁ -- 名無しさん (2023-04-21 20:32:08)
- 南斗最後の将編だとアニオリ多くなかったか?どこぞの閣下や抹殺機械みたいなのが出てきて愉快だった -- 名無しさん (2023-04-21 20:35:33)
- アミバの配下の兵士たちがケンシロウにかかっていくときに跳び箱跳んでたりハードル飛び越えてたりするお遊びも -- 名無しさん (2023-04-21 20:57:35)
- 千葉先生は黒夜叉とかアニオリのジョーカーとかも名前ありキャラで演じてたな。名前じゃない異名っぽいのとか言われたらまあ・・・ -- 名無しさん (2023-04-21 21:11:40)
- 第2部ha -- 名無しさん (2023-04-21 21:45:25)
- ミス 第2部はカナメプロ担当回もあるから作画目当てで見るのもオススメできる 当時のジャンプ作品の中ではスタッフも気合入ってただろうな -- 名無しさん (2023-04-21 21:47:44)
- 2に触れてなくない?これから加筆するのかな? -- 名無しさん (2023-04-21 21:48:13)
- アニメ版の項目が無かったことに驚き -- 名無しさん (2023-04-21 22:52:53)
- 千葉さん死んでくれ! -- 名無しさん (2023-04-21 23:21:17)
- 個人的には引き伸ばしの印象が強い。聖帝戦の最期決着場面で原作ならボディプレスに対して一撃だったところが、互いに百裂拳合戦みたいな描写になってモブ同士が驚いてカット変わって…ってのがひたすら続いてた記憶ある。 -- 名無しさん (2023-04-21 23:23:23)
- まさかトキの放射能の下りの裏で子供達が遊びに来ていてアドリブで変更してたとは思わなかったわ -- 名無しさん (2023-04-22 00:12:13)
- テレッテーとともにマミヤがマッパで空中遊泳する本編で使われなかったシーンが流れる予告忘れられない -- 名無しさん (2023-04-22 01:26:54)
- 秘孔を突かれた雑魚が爆散する前の視界をセル画を手で歪ませて表現してるこの時代特有の工夫がすごい -- 名無しさん (2023-04-22 04:50:54)
- 78話から82話は5話連続(放送休止を挟んでいるから6週連続)総集編を放送した。 -- 名無しさん (2023-04-22 05:49:29)
- 曲の方の北斗の拳、いいよね。締めのギュルゥッって音が緊迫感を高めてくれる -- 名無しさん (2023-04-22 07:06:28)
- 出来ればリュウ編以降もやって欲しかったなあ -- 名無しさん (2023-04-22 08:36:08)
- ↑リュウ編は最終章のボルゲ編まで入れた無双ですらハブられてたからなあ -- 名無しさん (2023-04-22 09:33:58)
- カイオウまでアニメ化していたから、結構原作の最後のほうまでアニメになっていたんだよね -- 名無しさん (2023-04-22 15:11:53)
- 弁慶っぽいやつとか、某閣下をモデルにしたようなヤツとか、アニオリでイロモノな敵キャラがわんさか出てる。。 -- 名無しさん (2023-04-22 15:27:19)
- リュウ編はエピローグ的な立ち位置だし、ケンシロウを苦戦させるような敵ももう出て来ないからアニメ映えしないと思われたのかも -- 名無しさん (2023-04-22 15:35:33)
- あのー、「うちのタマ知りませんか?」はサンリオではありませんよ。 -- 名無しさん (2023-04-22 18:52:43)
- 千葉さんは「ちばぁ!」はNGくらったものの「いのちば!」「やられちばぁ」 -- 名無しさん (2023-04-22 20:42:57)
- ↑ってな感じで意趣返し的にセリフの中に折り込む形で自分の名前を断末魔にしてたりする -- 名無しさん (2023-04-22 20:43:47)
- この作品で確立されたかどうかはわからないけど、「ほぼ止め絵でメインキャラの周りを多重スクロールする雑魚」な戦闘シーンの印象もある -- 名無しさん (2023-05-02 10:15:33)
- 上原正三は、シン編どころか1クール目に離脱してる。原作が連続ストーリーになってケンのアクションシーンが減るあたりになると、ケンに倒される用のアニオリキャラが頻出するようになる。千葉さんは「命ばかりはお助けを!」を連呼してる間に殺されて「いの…ちば!」と、千葉の断末魔で死んでる回がある。 -- 名無しさん (2023-05-02 11:06:55)
- 原作漫画版だと、(登場人物の)表情の機微が結構繊細だったり、女性や子どもは可愛く描かれてたりするんだけど、アニメ版はあんまりそういう印象がなくてストレートに「ゴツい絵柄」って感じなんだよね。北斗の拳に対する世間のイメージはアニメ版のほうが大きくなってると思う。 -- 名無しさん (2023-05-12 13:53:09)
- 秘孔で身動きが取れないガレッキーを大砲に込めるケンシロウの「喜べ。お前の作った拳法が初めて人の役に立つ」がマジで面白かった。 -- 名無しさん (2023-05-25 20:35:28)
- 仕方ないのもあるのだろうけど総集編が多いような。サウザー戦後に南斗六星(ユリア以外)の各キャラにスポットを当てた総集編があるけど、5回連続なのとレイとウダ、シュウとサウザーは活躍期間が被るから水増しっぽい感じがどうしてもしたな…… -- 名無しさん (2023-09-06 22:14:59)
- ごく最近、本作が再アニメ化決定だって。だけど声優とスタッフなどは一新されるという。 -- 名無しさん (2023-09-13 13:53:08)
- 鬼籍に入ってる人や高齢の人も多いから変更はしょうがない -- 名無しさん (2023-09-24 22:15:07)
- ↑2 時は流れる作り手は進化し -- 名無しさん (2024-07-25 21:07:46)
- 令和版のは製作にいそしんでてますとコメントつきの更新があった。楽しみだな -- 名無しさん (2024-09-13 20:50:41)
- 本格的に北斗にハマったのがアニメのリュウガ編でリュウガも好きなキャラだったから、後に原作のリュウガ編を見たらアニメと比べて微妙に感じた…(一応嫌いではないけど)。アニメスタッフは上手くやってたんだな -- 名無しさん (2024-09-16 16:29:19)
- 原作は元々勢い任せで描いてたところあるし、その辺は結構上手い具合に補完してたイメージ。人間砲弾はうん、まあ、世紀末だから -- 名無しさん (2024-09-16 16:38:12)
- 世紀末ドラマ撮影伝読んで、漫画や本編をまともに見れなくなってしまった…。 -- 名無しさん (2024-09-16 16:49:09)
- ↑9まぁ当時は原作の絵柄の再現が技術的に難しかったんだろう -- 名無しさん (2024-09-16 16:52:40)
- 再アニメ化楽しみだけど、原作のあの二転三転しまくる設定はどうすんだろ・・・と思ってる。それとも、設定の整合性はぶん投げて、最後まで原作通りにやるのかな。あと、昔のアニメほどじゃなくてもいいからアドリブはやってほしいwww -- 名無しさん (2024-09-16 17:02:58)
- 旧アニメはオリキャラを出したりアニオリで引き延ばしたおかげで、原作では終始意味不明だったリュウガのキャラや行動目的が掘り下げられて分かりやすくなってたな -- 名無しさん (2024-09-17 19:17:58)
- KING編大幅に引き延ばした結果、親友も婚約者も失って(と思っていた)意気消沈してたケンシロウがレイやマミヤとの出会い+新たな悪の出現で再び立ち上がる展開、自然にまとまってて好きなんだよね -- 名無しさん (2024-11-21 21:48:14)
- >神谷明の証言によると、その回のやられ役が集まって「今日どうやって死ぬ?」と話し合っており、「今日は印象派の画家で死のう」など〜 ←ここ面白すぎるwwwww -- 名無しさん (2025-01-12 06:50:03)
最終更新:2025年02月03日 22:23