SCP-1765-JP

登録日:2025/03/13 Thu 00:04
更新日:2025/03/13 Thu 04:45:15NEW!
所要時間:約 8 分で読めます




SCP-1765-JPとは、怪異創作コミュニティサイト『SCP Foundation』に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「うーん、ありきたりな殺人ですね。」。
オブジェクトクラスは「Keter」。


概要

SCP-1765-JPは見かけ上アロハシャツにサングラスという陽気な姿をした成人男性である。元記事の画像を見るに中肉の中年といった感じで率直に言うとドラマのエキストラみたいな印象を受ける。

大別して二つの異常性を持っており第一の異常性は神出鬼没であることKeter分類の人型SCPという時点で察した者もいるかもしれない。
出現には特定の条件や法則が存在すると推定されており、日本国内の殺人未遂事件現場にて年間20件程の頻度で出現し犯人としばらく会話した後スッと消えてしまう。SCP-1765-JPと会話した犯人(以下SCP-1765-JP-A)は「犯行の直前SCP-1765-JPが出現し犯行を断念させられた」と主張しており、どの事例でもSCP-1765-JPが出現しなければ殺人は既遂になってしまっていたと考えられている。
ちなみに会話の内容は
  • 起きるであろう殺人事件が凡庸であることについてのダメ出し
  • 殺人事件を起こすことによって犯人に生じる不都合の列挙
  • 犯人への人格否定を交えたコメント
等である。

コレだけなら口は悪いが殺人事件現場に現れ犯行を止めてくれる善良な人型異常存在なのだがコイツはそんな優しい存在ではない。

コイツの第二の異常性にして真骨頂はSCP-1765-JP-Aを大鬱病性障害と似た精神状態に陥らせ3カ月以内に衰弱死させること。SCP-1765-JPの口撃を浴びた者は心をズタズタにされ3カ月以内に衰弱死してしまうのだ。レスバしたくない異常存在ランキング堂々の1位である。

特別収容プロトコルは
  • ①SCP-1765-JP自体の収容は現時点では不可能だよ。
  • ②警察内に潜入しているエージェントはSCP-1765-JPの出現事例の発見に努めてね。
  • ③SCP-1765-JPが出現した際はSCP-1765-JP-Aを収容して関係者には記憶処理を施してね。
というもの。
『出現するたびに確実に1人の命を奪っていく恐ろしい存在』ではあるがそれは同時に『出現するたびに殺人事件の被害者を確実に1人以上救っていく存在』ということでもあり会話後は即消失するため収容不可能のKeter存在ではあるが案外ベール維持の手を煩わせることはない。


出現記録

というわけでここからはSCP-1765-JPの出現記録を見ていこう。以後犯人の判別のためSCP-1765-JP-AをSCP-1765-JP-A-〇と区別して表記していく。

映像記録その1

2005/12/██、最初にSCP-1765-JPの出現が確認された事例において、SCP-1765-JP-A-1は自らの殺人を記録するためにビデオカメラを用いて撮影を行っていた。以下はその書き起こしである。

[地下室と思われる室内が映し出される、SCP-1765-JP-A-1の笑い声が記録される。くぐもった女性の唸り声が記録される。]

SCP-1765-JP-A-1: えー、ふふっ。ついにこの時が来ました。僕はこの殺人を動画に残し、ファイル共有したり、インターネットに投稿したり、テレビ局に送ったりします。

SCP-1765-JP-A-1: これは人類初の試みです、ふふっ。きっと僕を賞賛する人も沢山現れるでしょう。楽しみです。

[映像内に音もなくSCP-1765-JPが出現する。]

SCP-1765-JP: んー……。いやどうですかねぇ……。

[大きな物音が記録される、SCP-1765-JP-A-1が動揺し付近の物体に衝突したものと推察される。]

SCP-1765-JP-A-1: ななななんだお前!?なに!誰!?

SCP-1765-JP: いやー、ここまで見させていただいたんですけども、なんというかなぁ……。面白くないというか、どっかで見たというか、あんまりオリジナリティを感じないんですよね。「人類初の試み」と仰ってましたが。

SCP-1765-JP-A-1: 突然なんなんだよお前!も、文句あるのか!

SCP-1765-JP: いや、別に文句とかではないんですけど……。うーん、下調べとかもあまりされてませんよね?そもそも殺人を収録した映像っていうもの自体は全然ありますし、映画とか漫画とかでも居るじゃないですか、そういうことする人。だからなんだろうなぁ……まあこれは貴方の普段の生活も観察した上での話なんですが、そういう創作上のサイコパスに憧れてる感といいますか、異常だと思われたいんだろうなぁっていう感想が拭えないんですよね。まあ普通は思っても実行はしないので、そういう意味で異常っちゃ異常なんですが。

SCP-1765-JP-A-1: [不明瞭な怒鳴り声]

SCP-1765-JP: こういうのが人々に魅力的に思われるには、あなた自身に魅力が必要なのかな~と。こっちの世界で言うと……"ハンニバルさん"とか"ジグソウさん"とか、そういうのですよね。今のあなたの身辺を調べられるとオタク趣味の物が沢山出てくるわけで、「アニメの影響を受けた犯行」みたいに言われると思いません? それを避けるためにもあなた自身の「キャラクター」的な部分も「演出」に組み込む必要があると思います。現状だと「目立とうとして過激な事をやってる」の範疇を出ないのかなぁと。

[以降およそ30分間に渡り、SCP-1765-JPはSCP-1765-JP-A-1への人格攻撃を含んだ主張を行う。]

[SCP-1765-JPが主張を終える。連続したSCP-1765-JP-A-1の嗚咽が記録されている。]

SCP-1765-JP: じゃあ、また機会があれば。

[SCP-1765-JPが消失する。]
ところどころ批判内容がズレてる気もするが中々のマシンガントーク。この調子で30分間も人格攻撃されたら異常性抜きにしても精神を病みそうである。

留置所から回収されたSCP-1765-JP-A-1には精神的、肉体的な衰弱が認められた。財団は治療、及び延命を試みたがあえなくSCP-1765-JP-A-1は衰弱により79日後に死亡した。

事例記録

殺人事件の現場をわざわざ撮るような輩はそうそういないため以後の出現記録ははSCP-1765-JP-Aから聞いた話をまとめたモノになる。

事例5

SCP-1765-JP-A-5が金銭目的で一般宅に押し入り、家主と揉み合いになった事例である。SCP-1765-JP-A-5が包丁を用いて家主を殺害しようと試みたところ、SCP-1765-JPが出現した。
内容を掻い摘むと
  • どうせ捕まるのだから、逃げるか謝るかするべき。
  • こんな偶発的な殺人は面白くもなんともない。
  • そもそも殺人も強盗も計画をもって行うべき、行き当たりばったりでこのような行動をすべきではない。
  • 何の計画も無く生きてるから、こういう無計画な犯行をすることになる。
とのこと。
相変わらずの辛口コメントである。というかそもそも殺人事件のことを何だと思ってんだ。
結局SCP-1765-JP-A-5は犯行を行えず財団に回収され82日後に衰弱死した。

事例11

SCP-1765-JP-A-11が自身との恋愛関係を絶とうとした恋人に対し、逆上した事例である。SCP-1765-JP-A-11がワインボトルを用いて恋人を殴打しようと試みたところ、SCP-1765-JPが出現した。
内容を掻い摘むと
  • こういうことをしようとする奴があまりにも多くて飽き飽きしている。
  • 殺したところで、永遠にその相手をあなたの物に出来るわけではない。根本的に勘違いをしている。
  • 別にこの恋人も特別ではないし、この恋も特別な恋ではない。あまりにも視野が狭い。
  • 物事をきちんと見ず、すぐ短絡的な行動をするから恋人にも愛想をつかされる。
とのこと。
いやもう全くもって ハア… おっしゃるとおりです…!!!
無論省略された部分では飛躍した人格否定も行っているのだろうが割とマトモな批判である。
結局SCP-1765-JP-A-11は犯行を行えず財団に回収され52日後に衰弱死した。

事例18

SCP-1765-JP-A-18が普段から暴力を振るっていたいじめの対象に対して、川の中に飛び込むように指示した事例である。SCP-1765-JP-A-18がいじめの対象に対して手足を縛り、川に飛び込むように指示したのだが対象が抵抗したために自ら対象を川に転落させようと試みたところ、SCP-1765-JPが出現した。
内容を掻い摘むと
  • 凄い笑顔だったがこれが面白いのか。
  • 常々達成感のある殺人が見たいと思っているが、これには全くない。
  • これが致命的な結果に繋がるのが分からないのか。
  • 明らかに自分の手で殺すのに、殺した後は「こうなると思ってなかった」等と言いそうである。
とのこと。
ここに来てコイツの目的が「達成感のある殺人を見ること」であると判明。思惑が達成した日には「素晴らしい!!最高のショーだとは思わんかね!?」とでも言い出すのであろうか。
結局SCP-1765-JP-A-18は犯行を行えず財団に回収され66日後に衰弱死した。

事故記録

2006/11/13、SCP-████-JPの定期給餌プロトコルを行う際、飼料として用いる人工培養人間をSCP-████-JP収容室に投入する操作を行おうとした職員の眼前にSCP-1765-JPが出現した。(餌として人工培養人間を育てる財団も中々強烈である。)
SCP-1765-JPは
「化物にエサとして人間を与えるのはありきたりではないか。」
「もっと工夫が欲しい、新規性がない。」
と述べてきており被害にあった職員は57日後に死亡。適切な給餌を行われなかったSCP-████-JPは収容違反し、付近にいた花村博士を殺害し摂食してしまった。

この事故は「殺人を前提とした収容プロトコルがSCP-1765-JPの介入により破綻する可能性」、「関与した職員がSCP-1765-JPの異常性によって死亡する可能性」を示しており、収容プロトコルへの倫理的観点不要論を支持していた職員が態度を軟化させることに繋がっている。
「義務感ゆえに正当化された殺人行為」を見直すキッカケが「殺人事件をショーと見做す倫理から外れた存在」というのも皮肉な話だ。




ちなみにこの事故に対して財団所属の博士から一言。
しかしなんでアノマリーのほうじゃなく、私達のほうに言うんだ。 -椿博士

……………言いたいことは分かるがなんとも財団向きの博士である。









追記・修正は達成感のある殺人を行わずによろしくお願いします。
???「うーん、ありきたりな追記・修正依頼ですね。」

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最終更新:2025年03月13日 04:45