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政治的スタンス | 代表的論者 | ベースとなる思想家/思想 | 補足説明 | 詳細内容 | |
(1) | 極左 | 伊藤真など護憲論者 | J.-J.ルソーの社会契約論からさらに、アトム的個人主義と集産主義の結合形態(=左翼的全体主義)※説明に接近 | 「人権」「平和」を過度に強調し絶対視する共産党・社民党・民主党左派系の法曹に多い憲法論でありイデオロギー色が濃く法理論というよりは左翼思想のプロパガンダである(左の全体主義) | |
(2) | 左翼 | 芦部信喜 高橋和之 |
修正自然法論(法=主権者意思[命令]説に自然法を折衷)+J.-J.ルソーの社会契約論 | 宮沢俊義→芦部信喜と続く戦後日本の憲法学の最有力説であり通説 ※宮沢は有名なケルゼニアン(ケルゼン主義者)。芦部は自然法論者だが人権保障をア・プリオリ(先験的)な「根本規範」と位置づけており、その表面的な米国判例理論の紹介はポーズに過ぎず、実際には依然ケルゼン/ラートブルフ等ドイツ系法学の影響が強い |
よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) |
(3) | リベラル左派 | 長谷部恭男 | H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)を一部独自解釈 ※なお長谷部は社会契約論に依拠しているのか曖昧でハートの法概念論と辻褄が合うはずのハイエクの自由論は故意に無視している |
近年の左派系憲法論(護憲論)をリードしている長谷部は芦部門下であるが、師のようなドイツ系法学パラダイムはもはや世界の憲法学の潮流からは通用しないことを認識しており、師の憲法論の中核である、①根本規範を頂点とした法段階説+②制憲権(憲法制定権力)説、を明確に否定して、英米系法学パラダイムへの接近を図っている。(※但しハートまでは受容しながらもハイエクを拒否している長谷部の憲法論は中途半端の誹りを免れず、これを一通り学んだ後は、より整合性のとれた阪本昌成の憲法論へと進むべきである) | よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) |
(4) | 中間 | 佐藤幸治 | 人格的自律権に限定して自然法を認める独自説+J.ロックの社会契約論 | 芦部説の次に有力な憲法論であり、芦部説よりも現実妥当性が高いので重宝されるが(佐藤は佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の系統)、法理論としては妥協的でチグハグと呼ばざるを得ない | 佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋 |
(5) | リベラル右派 | 阪本昌成、※ | H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)+F.A.ハイエクの自由論 | 20世紀後半以降の分析哲学の発展を反映した英米法理論に基礎を置く憲法論であり、法理論としての完成度/説得力が最も高いが、日本では残念ながら非常に少数派 | 阪本昌成『憲法1 国制クラシック』 |
(6) | 保守主義 | 中川八洋 日本会議 |
E.コークの「法の支配」論+E.バークの国体論 | 日本会議・チャンネル桜系の憲法論も基本的にこちらに該当する。法理論というより「国民の常識」論であり、心情面からの説得力が高いが、(5)の法理論を一通り押えた上でこの立場を取らないと、いつの間にか(7)に堕する危険があるので注意。 | 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 |
(7) | 右翼・極右 | いわゆる無効論者 | ヘーゲルの法概念論・共同体論およびそれに類似した全体主義的論調 | 「伝統」「国体」などを過度に強調し絶対視して「右の全体主義」化した憲法論(左翼憲法論の裏返しであり、左翼からの転向者が嵌り易い。法理論というより右翼イデオロギーのプロパガンダ色が濃い) |
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政治的スタンス毎の憲法論の違いは、①「人権」と②「国民主権」の捉え方に顕著に現れる。 このうち、①「人権」に関しては、「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のためにを参照。 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価では、(2)~(6)の各々の政治的スタンスの代表的な②「国民主権」論を列記したのち、総括する。 |
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