検索エンジン大手のGoogleは先ごろ、一部のGmailアカウントがハッキングされたことが明らかになったとして中国での事業を閉鎖する可能性を示唆したが、この問題に関して多くの専門家が、中国からの撤退が同社の検索ビジネスに及ぼす影響に思案をめぐらせている。
「中国におけるGoogleの現在の検索市場シェアと検索事業収入に目を向ければ、事業撤退の影響は小さい」と指摘する専門家もいる。中国でのGoogleの検索シェアは31%。アナリストらによると、Googleが中国で稼いでいる検索広告収入は約3億〜6億ドルで、これは同社の総売上高の1〜2%にすぎないという。
だが、中国から撤退してもGoogleが影響を受けないとは考えにくい。中国には約3億6000万人のWeb利用者がいる。Googleのオンラインビジネスは広告収入に依存しており、同社のモバイルOSであるAndroidの開発もこのビジネスモデルの延長線上にある。
Googleは1月5日、同社の新しい小売りチャネルとなるWebストアでAndroidベースのスマートフォン「Nexus One」の販売を開始した。
Googleが中国事業を閉鎖すれば、同社にとってNexus OneをはじめとするAndroidベースの携帯端末の販売機会が大きく損なわれる恐れがある。しかしこの点に関して、専門家の見方は分かれている。
米調査会社Gartnerのアナリスト、ケン・デュレイニー氏は、Androidはオープンソースなので、中国のソフトウェア開発者とメーカーは何でも好きなようにできると指摘する。「フリーのコードかどうかを中国人が気にするとは思えない」と同氏は話す。
例えば、仮にAppleが中国から完全に撤退した場合、iPhoneの販売チャネルは実質的に枯渇するだろう。Appleはこの人気スマートフォンを提供している唯一の企業だからだ。China UnicomはiPhoneを提供しているだけであり、iPhoneアプリの開発者はAppleの意向に大きく左右される。これに対し、オープンソース出身のAndroidは、中国におけるGoogleをめぐる紛糾で同国での存続が危ぶまれる心配はないかもしれない。
しかし米Enderle Groupのアナリスト、ロブ・エンダール氏によると、Googleが中国から撤退し、中国がGoogleのサービスへのアクセスを遮断すれば、Androidプラットフォームが中国で生き残るのは難しいという。だがそこにも抜け道があるようだ。
「しかしGoogleは自社のツールを中国企業、あるいは中国と良好な関係にある企業にライセンスするという形でこの問題を回避でき、彼らは実際にそうするのではないかと思う。当初はいろいろと問題が出てくるだろうが、回避するための策は存在し、Googleはそういった対策を講じると予想される」とエンダール氏は語る。
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