図書館災害対策委員会では、被災図書館の復旧、復興に寄り添い、支援を行っています。
過去の災害を教訓として、これまで集めた情報や課題を基に、注意すべき点をまとめました。
できる範囲で構いませんので、以下の点に留意しながら、復旧作業に従事してください。
1.安全への配慮
◎利用者の安全が第一です
・臨時休館から再開する際は、まず部分的なサービスで再開し、状況に応じて通常サービスを再開させるなど段階的に検討しましょう。
・余震が落ち着いてから落下図書の排架を検討しましょう。
余震が続く中での落下図書の復旧は、作業を行う職員にとっては危険であり、加えて再落下の恐れがあります。作業中における地震発生時の避難を速やかにするためにも、書架に戻さず様子を見るという判断もありえます。可能な範囲での整理をする場合も、施設・設備損傷や雨漏りによる水損といった二次被害を受けやすい場所を避けるようにしましょう。
2.適時の情報発信
災害で本や資料を汚損・破損・紛失・焼失した場合や借りている本をいつ返却したらよいか、気にかけている利用者もいらっしゃいます。被害の軽重に関わらず図書館の状況や利用者向けのお知らせは、ウェブサイトやSNSでの発信に加えて、直接来館者にも伝わるよう図書館玄関に掲出しましょう。また、被害状況の情報を発信することで、支援が必要なことを伝えることができます。
3.被害の記録
軽微な被害でも、被害状況を写真に撮って記録しておきましょう。国庫補助金及び保険金・共済金の申請並びに記録誌などを作る際に必要です。
また、災害による汚破損や除籍の管理を容易にするため、図書館システムの所蔵データに汚破損の情報を入力しておくことをおすすめします。図書館システムのメーカー等に相談すると、「災害除籍」や「災害汚損」であることが分かるように対応してもらえる場合もあります
4.受援力の向上
支援を受け入れる側に求められる力は受援力と呼ばれます。困ったこと、不安なことがあったら声をあげましょう。支援の申し出があったら、何をしてもらいたいかを想定し、受け入れる環境を整備しましょう。
5.災害資料の収集
発災時に発行された新聞や折込チラシ、避難所の貼り紙、市役所等から発行した文書等は、災害資料と呼ばれ、災害の様態を反映している貴重な資料です。後世に伝えるメッセージになりますので、災害の記録としてできる限り収集しておきましょう。
なお、日本図書館協会では、被災された皆様への情報発信並びに、被災された図書館への支援を募り、届ける方法を検討しています。つらい日々が続きますが、これまでよく奮闘されたことに敬意を表しますと共に、皆様に寄り添って行動していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
●以下のページも参考にしてください。
「本を送りません宣言」saveMLAK
「安全な開館のために~東北の図書館員からのメッセージ~」saveMLAK
「被災図書館の方へ」日本図書館協会