歴女、古墳にコーフン 「丸みやくびれがカワイイ」
前方後円墳型クッション…関連グッズも人気
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「表面のあの丸み、触りたい!」。7世紀中ごろに建立された武蔵府中熊野神社古墳(東京都府中市)に集まった男女5人組は酷暑をものともせず古墳に見入った。今年1月に設立された「古墳にコーフン協会」のメンバーだ。
協会は「まりこふん」の名前で古墳の歌などを歌うブルース歌手の藤田麻里子さんが設立。「丸かったりくびれていたり、古墳の形ってかわいいじゃないですか。考古学など難しいことは抜きに楽しみたい」との思いからだ。ネット上で反響を呼び現在は30代を中心に20人まで会員が増加した。1~2カ月に1度、各地の古墳をめぐる。
「古墳は前方後円墳をはじめどれも個性的で、素人が見ても何を表現しているのか気にならずにはいられないもの」(立命館大学の和田晴吾名誉教授)と、古墳の形に魅せられるのは故なきことではないようだ。
コーフン協会の古墳めぐりに飛び入り参加した会社員の立花優子さん(32)は「歴史には詳しくないが、完成されたフォルムは見れば見るほど魅力的」と今年春から精力的に全国を回っている。
こうした動きは各地で増えているようで、福島県の大安場古墳では、8月10~11日に開いたイベント来場者が約5千人と1年前より倍増した。「従来の中高年に加え、若い世代が多く訪れるようになった」(広報担当者)。8月18~25日にはキトラ古墳(奈良県明日香村)の石室が初めて一般に公開された。3600人の定員に1万6000人が殺到するなど、今後もファンが増えそうだ。
現地に行くだけが楽しみ方ではない。コーフン協会が提唱するのが「古墳空目(そらめ)」。前方後円墳などの形に見えるものを探しては「古墳発見!」とツイッターで投稿する遊びだ。投稿の輪は次々広がり、春以降集まった空目は60件を超えた。鍵穴から、貝の形をした英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルの企業ロゴまで様々な「発見」が並んでいる。
奈良市の雑貨店、フルコトが2月に発売した前方後円墳形クッション(4900円)は、ネット通販では1カ月半の入荷待ちという人気商品だ。もとは歴史好きの中高年向けに企画した商品だったが、反応したのは「形がかわいい」と言う20~30代女性だった。
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購入者の中にはレストランに持ち込んで隣の席に置くなど、我が子のようにかわいがる女性もいるという。「形が2頭身のキャラクターのようにも見えるとか。目や鼻がついていないシンプルなデザインがかえって普通のキャラより感情移入しやすいらしい」と企画した職人の福徳有男さんも驚き顔で話す。
同店がイベント時などに不定期で提供する「古墳発掘カレー」も人気。前方後円墳形のご飯の回りには堀に見立てたグリーンカレー。ご飯をスプーンで掘り進めると勾玉(まがたま)に見立てたカシューナッツを発掘できる。ほかにも「疫病で死ぬ」「測量を間違える」など古代臭満載なマス目の並ぶ、かみつけの里博物館(高崎市)発売の「古墳時代出世すごろく」など、ファンをうならせる手の込んだグッズが増えている。
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出土品も注目を集めている。東京都文京区のアートギャラリー「谷中ジンジャー」では今春以降、はにわ作りワークショップをほぼ毎週末実施。「昨年秋に開催したところ反響が大きく、通年開催に至った」という。
11月には、現代に迷い込んだはにわの王子が主役の30年前の教育番組「おーい!はに丸」が初のDVD化。「見た目はゆるく設定もむちゃだが、はにわのキャラという独自性の高さは意外に人気がある」(発売元のNHKエンタープライズ)
新たな注目株は勾玉だ。角川グループなどと組んで玩具メーカーのドリームズ・カム・トゥルー(東京・江東)が10月からストラップなどの商品を発売する「ちぃたまさん」は、勾玉に目鼻がついたキャラ。「かわいいだけでなく、不思議な形は目をひく」と小学生から大人まで幅広い支持を狙う。(高倉万紀子)
〔日経MJ2013年9月2日付〕
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