原発の電気に価格保証制を提案 自由化にらみ経産省
経済産業省は21日、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会を開き、電力の完全自由化後も電力会社が原発の新増設や建て替えをしやすくするためとして、原発で発電した電気に一定の販売価格を保証する制度の導入や、廃炉による経営への影響を緩和するための会計制度見直しを提案した。
自由化で電気料金が下がった場合も建設や廃炉の費用を確保できるようになるが、政府の掲げる脱原発依存の方針や、「原発は安価」としてきた従来の政府側の説明と矛盾する可能性がある。価格保証で消費者の新たな負担も必要になり、世論の反発を招きそうだ。
経産省は原発の維持策として、廃炉や使用済み核燃料の処分に必要な費用を含めた基準価格を設定し、市場価格が下回った場合に差額を電気料金に上乗せして補う仕組みを説明。同様の制度がある英国をモデルにした。
電力会社は電力小売りの全面自由化や発電と送配電部門の分離が進むと、原発の維持が難しくなると訴えている。これを受け、経産省は「官民の役割分担の見直しや新たな政策措置が必要」として、国の関与を強化する姿勢を強調した。〔共同〕