警察庁、遺体すべて毒物検査 青酸連続殺人受け16年度から
京都や大阪などで発生した青酸化合物による連続殺人事件を受け、警察庁は12日、来年度から警察が扱うほぼ全ての遺体について毒物検査を実施する方針を明らかにした。採取した血液に青酸などの毒物が含まれているか調べる検査キットを全国の警察に配備する。
金高雅仁長官は12日の記者会見で、青酸化合物による連続殺人事件では「警察が被害者の遺体を取り扱ったにもかかわらず、犯罪性を見破れなかった」と認めたうえで、「犯罪死の見逃し防止を徹底する」と取り組みを強める考えを示した。
警察庁によると、検査キットのほか、唾液から毒物を調べる試験紙も導入する方針。事件性の明らかな犯罪死の場合は、検査キットを使わずに解剖して死因を調べる。
昨年1年間に警察が取り扱った遺体は約16万6千体。このうち解剖したのは約1万9千体、薬毒物を調べたのは約6万9千体だった。1998年以降、昨年末までに判明した犯罪死の見逃しは47件あり、薬毒物が使われていたのは11件だったという。
青酸化合物による連続殺人事件は、2013年12月に死亡した男性(当時75)の遺体から青酸化合物が検出されたことで発覚した。大阪などの4府県警は今月6日、筧千佐子被告(68)=3件の殺人罪と1件の強盗殺人未遂罪で起訴=の捜査を終結。事件の被害者は追送検した分も含め、計8人に上った。