国際課税の新ルール、44カ国適用 税逃れ防止へOECD発表
経済協力開発機構(OECD)は5日、多国籍企業の税逃れを防ぐ新たなルールを発表した。稼いだ国できちんと課税し、タックスヘイブン(租税回避地)を使った税逃れを食い止める。20カ国・地域(G20)も承認する見通しで、合計44カ国が2016年から国内法の整備を本格的に始める。新ルールの適用で欧米企業を中心に負担が増えるケースもありそうだ。
麻生太郎財務相は5日の談話で新ルールの狙いについて「各国の税制の調和を図るとともに、国際課税ルールを経済活動の実態に即したものとする」と指摘した。
新ルールは米スターバックスなどの税逃れの発覚を受けて、OECDとG20が13年から検討してきた。G20はペルーで8日夜(日本時間9日午前)に開く財務相・中央銀行総裁会議で承認する見通しだ。OECDの試算では多国籍企業の税逃れの規模は年1000億~2400億ドルに上る。
新ルールでは、タックスヘイブンの子会社で稼いだ利益を親会社の利益と見なして課税できるようにする。ネット通販の会社には、配送用の倉庫がある国々がそれぞれ課税できるようにする。企業が本国と進出先で二重に課税された場合、両国の協議で2年を目安に問題の解決をめざす。
課題も残る。米グーグルのようにネットサービスの提供国に倉庫などの施設を持たない場合、法人税をかけることはできない。OECDにもG20にも入っていない国に新ルールをどう広げるかも課題だ。日本企業が多く進出するシンガポールは今回の枠組みに入っていない。