アニメ出演本数で見る、声優ランキング【女性編】
日経エンタテインメント!
抜群の安定度、沢城&花澤強し
女性声優の「出演本数」と「主役&一番手」ランキングを見ると、20作品という圧倒的数でトップに立ったのは、沢城みゆき。『ルパン三世』の二代目・峰不二子役(2011年~)としても知られる実力派だ。テレビアニメに限らず『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)や、『キャプテンハーロック-SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』(2013年)などの大作映画にも登板の機会が多い。りんとした声と、少年少女からセクシーな大人の女性まで表現する演技力が魅力であり、強さでもある。2014年7月期の人気作『月刊少女 野崎くん』では抜群の歌唱力も披露し、ファンを驚かせた。2013年も3位で、満を持しての1位獲得だ。
17作品で続くのは、ここ数年の女性声優界をリードする花澤香菜。いつまでも聞いていたくなるような心地良い無二の透明感ある声質が武器だ。主役やヒロインはもちろん、『東京喰種トーキョーグール』で見せた人を食い散らかす狂気的な脇役にも挑戦するなど、役の幅を一気に広げている。2012年からはアーティストとしても積極的に活動。これだけの出演作がありながら、アルバム制作やライブツアーも敢行し、「タフでなければトップ声優は務まらない」ということを体現している。今後は、テレビシリーズ、劇場版へと続くことが発表されている『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズでの演技に期待がかかる。
1998年デビュー組が上位に
若手ひしめく女性声優界のなかにあり、16作品で単独3位の大原さやかをはじめ、能登麻美子、釘宮理恵ら1998年デビュー組が2013年から大きく勢力を伸ばした。主役&一番手の数こそ少ないが、長いキャリアで積み重ねた演技力と、個性的な声で、確固たるポジションを築いている。共通するのは少年役も演じられるところ。
茅野愛衣、早見沙織、日笠陽子は、主役&一番手もコンスタントに務めながら、2013年から引き続き上位をキープする。茅野は甘いハニーボイス、早見の声は癒やし系、日笠はこびない品のある声で、それぞれが第一線で勝負している。
注目は『アオハライド』など13作品に出演し、主役&一番手でも5作品で2位に付けた内田真礼だ。デビュー3年目の2012年4月期に『さんかれあ』でヒロインに抜てきされると、以来『中二病でも恋がしたい!』(2012年)などのヒット作に次々と主演し、人気を獲得した。2014年4月にはアーティストとしてもデビュー。同年9月には『週刊ヤングジャンプ』(集英社)の表紙とグラビアを飾るなど、アイドル顔負けの展開を見せている。
一番手は花澤が6本でトップ、木戸・内田・雨宮が台頭
「主役&一番手」でも花澤が安定した人気ぶりを見せた。
前提として女性声優は年齢に合わせて役柄をシフトチェンジしていく傾向にあるため、主要キャラクターに中高生が多いアニメでは、若手に多くのチャンスが与えられ、デビューも早い。半面、1度だけ主演を務めて消えていく者も少なくないなか、次々と主演をつかみ出演本数も飛躍的に伸ばしたのが、デビュー3年目の2人、木戸衣吹と雨宮天だ。
木戸は2014年に入り『pupa』『東京ESP』など、一気に5作品で主役&一番手を手にした。今後も、16歳という実年齢を生かした等身大キャラへの起用が期待できそうだ。
一方、2014年4月期に放送され"泣ける"と評判になった『一週間フレンズ。』でヒロインを演じて以降、抜てきが続いているのが雨宮天。10月期もMBS・TBSの「日5」枠『七つの大罪』でヒロイン役が決定するなど、その勢いは本物だ。
作品イベントが増えたことやキャラソン人気、声優アーティストの増加などにより、声を当てる以外の露出が増え、男女問わず現代の声優には歌やトークなど様々なスキルが要求されている。しかし、最後にものをいうのはやはり「演技力」。ランキング上位者がそれを物語る結果となった。
(ライター 山内涼子)
[日経エンタテインメント! 2014年11月号の記事を基に再構成]
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