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日航、破綻時の撤退路線を再開へ 地方10路線候補

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日本航空は18日、北海道エアシステム(HAC)の連結子会社化に加え、破綻時に撤退した10路線を候補に再開する方針を発表した。経営破綻から業績が回復し、一定の採算が見込める地方路線のテコ入れを図る。一方、国際線では成田空港をアジアと北米などを結ぶ拠点として外国人の乗り継ぎ需要を取り込む構想を示した。ただ、具体策には乏しく、説得力を持つ成長戦略が再上場2年目の課題になりそうだ。

「HACについては最大限の支援を実行したい」。18日の定例記者会見で植木義晴社長は冒頭でこう発言した。日航は約14%のHAC株式を保有しているが、経営不振が続いており、筆頭株主の北海道から支援を要請されていた。今回の日航の決断はそうした声に応えた格好だ。

地方路線の再開は、破綻時に撤退し、他社便など航空による代替手段がない路線が対象になる。鹿児島―岡山など合計10路線が候補になり、採算性を見極め、2014年度以降、順次再開していく方針だ。HACや撤退地方線は収益的にも厳しいが、再建時に培ったコスト削減のノウハウなどを生かせるとみている。

成長戦略では成田空港と羽田空港の役割を明確に分ける。成田空港を北米とアジアなど太平洋を超える旅客需要を取り込む拠点と位置づけ、中国や東南アジア方面への路線ネットワークを拡充したい考えだ。

一方、羽田空港は国内と海外との玄関口として、特に今後は地方と海外を往来する旅客開拓に注力する考えを示した。「仁川に流れた地方から海外への旅客を取り戻したい」(植木社長)

ただ、具体的にアジアの旅客獲得に向け、アライアンス推進を含めて、どういった路線などで取り込もうとしているなど具体策は見えない。ANAホールディングスがミャンマー航空会社出資や航空付帯事業の拡大などを打ち出しているのに対して、日航は再上場後に発表した海外新規の路線やM&A(合併・買収)案件はない。

植木社長は「むやみに事業領域を拡大せず航空運送事業に特化する」と話し、堅実経営の維持を心がけているが、財務余力もあるだけに、株式市場関係者からは「具体的な成果がみえる成長戦略か、配当政策の拡充などを示してほしい」(バークレイズ証券の姫野良太ヴァイス・プレジデント)との声が上がる。

再上場後1年目は安全運転を心がけた格好だが、2年目以降は、18日に披露した成長戦略をスピード感を持ってどう具現化するかが課題になりそうだ。

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