風船のように膨らむ宇宙基地 NASA、15年夏以降に打ち上げ
米航空宇宙局(NASA)は16日、宇宙空間で風船のように膨らんで内部で飛行士が活動できる実験モジュール「BEAM」を2015年夏以降に打ち上げ、国際宇宙ステーションに取り付けると発表した。開発した米宇宙ベンチャー・ビゲローエアロスペース社がネバダ州ラスベガスで試作機を公開した。
BEAMは重さ約1.4トン。打ち上げ時はコンパクトに折り畳まれているが、膨らむと全長約4メートル、直径約3メートルのちょうちん形になる。ステーションに従来使われているアルミ製の構造物に比べてはるかに軽量で、スペースX社のドラゴン宇宙船を使って安価に打ち上げることが可能だ。
宇宙ごみの衝突や放射線などから飛行士を守るため、表面には特殊な繊維素材を何層も重ねた構造を採用。NASAは2年間かけて耐久性や機能が十分か調べる。将来は有人火星飛行のための宇宙船などに応用される可能性もある。
この技術はNASAの構想を基に、ビゲロー社がライセンス契約を得て商用化した。06、07年にはロシアのロケットで試験モジュールを打ち上げている。同社は16年以降に膨らむモジュールを組み合わせた民間宇宙ステーションも構想しており、民間による宇宙ビジネスがさらに加速しそうだ。(ラスベガス=共同)