預金口座にマイナンバー連結 政府税調方針、資産を把握
政府の税制調査会(安倍晋三首相の諮問機関)は8日、2016年に運用を始める社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を銀行の預金口座に結び付ける方針で一致した。個人の資産をより正確に把握できるようにすることで、公平に税や社会保険料を負担する仕組みを目指す。マイナンバーの医療や民間分野での活用も検討していく。
「マイナンバーと税務執行ディスカッショングループ」(座長・神野直彦東大名誉教授)が8日、論点を整理した。預金口座へのひも付けは「早急に検討すべきだ」とした。現行法では預貯金口座と結び付けることは認められておらず、関係する法律の改正が必要になる。政府は18年度をメドに新たに開設する口座から導入を目指す。6月をめどにロードマップ(行程表)をまとめる。
日本の銀行の個人預金の口座数は10億口座に上る。マイナンバーが預金口座にもつながれば、脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)、生活保護の不正受給を防ぎやすくなる。給与や年金だけでなく、投資で得た利益などを含めた収入を基準に社会保険料などを算出することが可能になる。
会社員は通常、源泉徴収により税や社会保険料を自動的に給与から引き落とされるが、医者や自営業者らは自ら申告して支払っている。脱税など、税や社会保障の負担の不公平感を指摘する向きも根強くある。マイナンバーを預金口座や医療費の支払い情報に結び付けられれば、不満の解消にもつながるとみている。
ただ個人情報の保護や、使われなくなった休眠口座の扱いなど課題も残っている。内閣官房を中心に関連省庁が課題の解決策や具体的な適用方法の検討を始める方針だ。