中国GDP7.4%増に減速 7~9月、7期連続で鈍化
【北京=大越匡洋】中国国家統計局は18日、2012年7~9月期の国内総生産(GDP)が物価変動の影響を除いた実質で前年同期に比べ7.4%増えたと発表した。内外の需要の鈍化で成長率は2四半期連続で8%を下回り、中国政府が余裕を持って設定した今年の成長目標(7.5%)の水準を割り込んだ。中国政府はインフラ投資の認可加速など景気の下支えに動き、足元では減速に歯止めがかかる兆しも見え始めている。
7~9月期のGDP成長率は日本経済新聞社と日経QUICKニュース(NQN)が共同で調査した市場予想の平均(7.5%)を下回った。成長率の鈍化は7四半期連続。中国の政府系シンクタンクも今年の成長率を7%台後半とみており、通年で13年ぶりに8%を割り込む公算が大きい。
ただ7~9月のGDPは前期比では2.2%増と、4~6月期の1.8%増から伸びが拡大。年率換算では9%増程度になるとみられる。9月単月でも生産、投資、消費が8月より改善し、景気の減速が底を打つ可能性もある。昨年から続く減速を抜け出し、安定的な成長軌道に移行できるかどうかが課題となる。
成長鈍化の背景は国内外の需要の冷え込みだ。11年に2割増えた輸出は、12年1~9月は7.4%増。最大の貿易相手である欧州連合(EU)の不振が響く。輸出の鈍化で国内の生産活動も鈍り、1~9月の工業生産は10.0%増。1~6月から伸びが0.5ポイント鈍った。
中国政府は景気を下支えするため高速道路などインフラ投資を中心に認可を加速している。1~9月の農村部を除く固定資産投資(設備投資や建設投資の合計)は20.5%増。1~6月(20.4%増)から伸びがわずかながら拡大した。
ただこれらの投資認可は追加の財政支出を伴う「経済対策」の位置付けではなく、バブル発生を懸念して不動産取引規制も緩めていない。国内でも住宅購入に関連する建材や家具など幅広い業種で需要が鈍り、卸売物価の下落が長引いている。
消費動向を示す1~9月の社会消費品小売総額(小売売上高)は14.1%増。1~6月と比べると伸びが0.3ポイント鈍化したが、9月単月の伸びは8月に比べ1ポイント拡大した。消費はなお底堅いものの、全体をけん引するほどの勢いは欠いている。
中国政府は12年の経済成長目標を11年までの8%から7.5%に下げたが、当初は実際は8%を上回るとの見方が大勢を占めていた。金融政策を含めた政策の「事前調整・微調整」で目標を実現する構えで、投資効果などで今後、景気が上向くとの見方が出ている。
しかし、欧州をはじめ世界経済の先行き不安が残るうえ、沖縄県・尖閣諸島を巡る日本への強硬姿勢で対中投資が一段と細るリスクも加わった。最高指導部が交代する11月の共産党大会以降の政策運営に不透明さもあり、中国経済の先行きが世界経済のリスク要因の一つになりつつある。