シリア周辺国、警戒感強める トルコは国境にミサイル発射台
【ドバイ=中西俊裕】政権側と反体制勢力の攻防が続くシリアの周辺国で、自国への戦闘の拡大に警戒感が強まってきた。トルコは地対空ミサイル発射台をシリアとの国境に配備。ヨルダンは国境付近の戦闘が自国に及んだ場合、実力行使も辞さない意向を表明した。シリア国内の情勢は一進一退。首都ダマスカスでは軍が巻き返す一方、第2の都市アレッポでは反体制派が攻勢をかけている。
トルコのアナトリア通信は22日、同国軍が南東部の町マルディンにミサイル発射台数基を搬入したと報じた。シリアとの国境近くにいる部隊に配備する予定。シリア反体制派は同日、同国境に近いシリアの町アルサラマを支配下に置いたと宣言した。国境地帯ではジャラブルス、バーブ・アルハワの2都市も先週に制圧したとしている。
トルコ・シリア国境付近では6月、シリア軍がトルコ軍機を撃墜する事件が発生した。今後シリア政権側がアルサラマなど3都市を奪回するために空軍機を使用し、自国領空に侵入する事態をトルコは警戒しているようだ。
一方ヨルダン政府高官は22日、「国家利益と安全保障の観点から、(シリア情勢の)波及を防ぐためにいかなる措置も取る」と発言。シリア軍と反体制派の戦闘が自国内に拡大すれば、介入する姿勢を示した。21日には反体制武装組織「自由シリア軍」がシリア・ヨルダン国境近くにある政権側の拠点を攻撃したが退却している。
シリアの反体制側は22日、アレッポ陥落を目指し「本格的な攻勢を始める」と宣言した。ただダマスカスでは同日、政権軍が武装ヘリや戦車など装甲車両を動員し、反体制派を押し返す動きが目立った。