タブレット出荷台数、14年にノートパソコンを逆転へ
【シリコンバレー=奥平和行】米調査会社のIDCは、タブレット(多機能携帯端末)の世界出荷台数が2014年にノート型パソコンを追い抜くとの予測をまとめた。タブレットは先進国に加えて新興国でも急速に普及する見通し。タブレットとスマートフォン(スマホ)の勢いが増しており、パソコンメーカーへの逆風は一段と強まりそうだ。
IDCはデスクトップ型パソコン、ノート型、タブレット、スマホの4製品をインターネットに接続して使う「スマートコネクトデバイス」として、各製品の出荷実績と予測を公表した。
12年のタブレットの出荷台数は前年比78%増の1億2830万台。13年は1億9090万台、14年は2億3630万台に増えると予想した。一方、12年のパソコンの出荷台数はデスクトップ型が1億4840万台、ノート型が2億200万台。13年以降も大きな伸びが見込めず、13年にデスクトップ型、14年にはノート型がタブレットに抜かれる見通しだ。
調査会社の米NPDディスプレイサーチが昨年7月、16年にタブレットがノート型を上回るとの予測を公表しているが、逆転の時期が早まる可能性も高い。
タブレットは米アップルの「iPad(アイパッド)」のほかに、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した手ごろな価格の製品も伸びている。12年は新興国のタブレットの出荷台数が前年比2.1倍増。IDCは「新興市場ではパソコンの前にタブレットを買うのが一般的で、パソコン市場への風圧が増している」とみている。
12年に出荷台数が7億2000万台を突破したスマホも「新興国におけるネット接続機器の入門機」として定着し、市場拡大が続く。12年のスマートデバイス全体の出荷台数は約12億台で、このうちスマホとタブレットの占める比率は71%。5年後の17年は全体が22億台超まで増え、急成長する2製品の比率は83%にまで高まると予測する。
市場環境の変化を受けて、パソコンメーカーでは世界首位の米ヒューレット・パッカード(HP)などがタブレットの品ぞろえを強化している。半導体など関連業界もスマホやタブレットへの対応が急務だ。ネット広告でも最大手の米グーグルなどがこうした製品向けを強化しており、対応の巧拙が業績の明暗を分ける傾向も強まっている。