「クール・ジャパン」アイテムとして外国人に人気の日本製ランドセルが韓国にも上陸、7万円を超えるブランド商品が飛ぶように売れているという。このブームに韓国紙は「日本軍国主義の象徴だ」と警告するコラムを掲げ、待ったを掛けた。日本文化の流入となれば、ことあるごとに難癖を付けてきた韓国メディアだが、日本発のアニメやグルメが市民権を獲得したいまなお、そのお説教姿勢は健在のようだ。
7万円超でも一瞬で売れ
「『ランドセル』と呼ばれる日本から輸入した今年の新製品は70万ウォン。このデパートの売り場だけで100個余りが瞬く間に売れ、追加注文しました」
韓国のテレビ局MBCは今春、ニュースで、日本製ブランド・ランドセルの人気をこうリポートした。
この商品の価格は正確には、69万8千ウォン(約7万6千円)。別のメディアは「子供が転んでも頭を打たず、水に落ちても安全に救助できるように設計されているため高額だ」との業者側の説明を伝えた。
聯合ニュースは、小学生用通学かばんがベルギー製の人気ブランドでも約15万~30万ウォン、韓国製なら約4万~23万ウォンの価格帯のなか、約70万ウォンの日本ブランドまで登場し、「保護者の負担を増大させている」との消費者問題研究所代表の言葉を報じた。
MBCは、高額学用品が飛ぶように売れる背景として、少子高齢化で一人っ子世帯が増えるなか、両親と双方の祖父母の計6人が子供への出費を惜しまず、子供はいわば「6つのポケット」を持つためだと分析した。
CMの一場面にお説教
日本製ランドセルの人気にあやかって、韓国の大手通信会社は、ランドセルを背負った子役を登場させた子供用スマートフォンのCMを放映した。
このスマホの売れ行きも上々だというが、韓国最大手紙、朝鮮日報は最近、コラムで、同社が「ランドセルの由来を知ったら、テレビ画面に日本軍国主義の象徴を映すことはなかっただろう」と指摘し、ブームに冷や水を浴びせた。
コラムは、日本の初代首相の伊藤博文が皇太子当時の大正天皇に帝国陸軍の歩兵が背負っていたかばんを模した「ランドセル」を贈ったとの逸話を紹介。「ランドセルの由来は、日本軍国主義の精神を小学生に教えるところから来ている」と論じた。
ランドセルの横に付いた上履き袋などを提げる輪が「もともと手榴(しゅりゅう)弾をつるすためのものだった」との日本のバラエティー番組で耳にしたとする説明も加え、「ランドセルを背負った日本の子供たちを見るたび、軍国主義が重なってみえる」と吐露した。
最後は「韓国には、韓国人が知らない日本軍国主義の残滓(ざんし)がある」とし、戦後70年を迎える今、「日本と日本人の軍国主義について、韓国人が何を知らずにいるのか一度、考えてみるのはどうだろう」と結んだ。