「計画出産の義務を有する」として、中国で1979(昭和54)年から続いていた「一人っ子政策」の撤廃を、中国共産党が10月末に決定した。爆発的な人口増加を抑制するための政策で、究極の人権問題とも評されてきたが、今回の決定は、日本国内にも少なからず影響を及ぼしたようだ。それは、避妊の王道であるコンドーム。撤廃決定の翌日、業界大手の「オカモト」などの株価が急落したのだ。決定直前までは、コンドームも訪日中国人観光客のいわゆる爆買い対象品目の一つで、メーカーの株価は高騰していたという。ただ、株価の変動は心理的要因が作用しているとの見方も強い。また、中国ではこれまで、避妊の手段としては避妊手術や避妊リングの装着が多かったようで、今後、コンドームが主流になるのではないか、との情報もある。
思惑先行の下落
中国共産党が30年以上続いた一人っ子政策に終止符を打つ決定を発表したのは10月29日だった。中国共産党の重要会議、第18期中央委員会第5回総会(5中総会)の閉幕後に発表されたコミュニケには、一人っ子政策を廃止し、すべての夫婦に第2子の出産を認めることなどが盛り込まれたのだ。
この重大決定は、労働年齢人口(15~59歳)の減少が危機的状況にあることを示しているのだが、その余波は間髪おかずに日本にも及んだ。
発表翌日の30日の株式市場で、業界大手のオカモトの株価が前日比で10%も下落した。相模ゴムや不二ラテックスも2%超のマイナスとなった。単純にその理由を考えれば、「一人っ子政策終了」→「避妊する回数が減る」→「コンドームの使用が減る」という図式は誰でも思いつく話で、今回の下落は、思惑先行とみることができる。