2024-11-19

ワンイシュー勝利した町長の末路(長野県松川町の例)

反・反権力のワンイシュー斉藤勝利した兵庫県知事のあれこれをみていて思い出したので書いておく。

ある県のある町……ってまぁいいか増田だし。

長野県松川町という町があるのだが(松川村ではなくて松川”町”な。南信)そこの前町長がワンイシュー勝利した若い町長の話をしておく。

結論から言うと、町政をまとめきれず、また正直能力微妙で、勢いだけでは持たず、1期で退任。その次の選挙は無投票で決まると言う散々な結果になった。


この町は、よくある衰退を待つ市町村消滅自治体よりはマシだが、平成の大合併の時に住民投票独立を選んでしまったがために、プライドを優先して枯れていく道を選んだ町である。町民にその自覚はなさそうだが。

https://www.town.matsukawa.lg.jp/

まずはこのホームページをみてくれ。日本全国どこにでもある神楽トップページにせざるを得ないとか、閉塞感を絵に描いたような雰囲気が読み取れるのではないかと思う。


さて、ここで、2019年町長選挙があり、宮下智博と言う当時39歳の元役人立候補して当選した。

子育て支援などが争点といった形で報道されているが、地元では、リニア中央新幹線建設で発生する残土を利用して谷を埋め立てると言う前町長(当時70歳)が同意した構想に対しての反対が大きかったと言われる。

その場所過去の水害で崩れて下流被害をだした地点であったこと、リニア中央新幹線に対するカルト的な反対運動などと結びついたものだ。一部では、松川町にはリニアは通らないし、駅も出来ないのに、残土だけ押しつけられると言う意識もあった。

そうして、長年無投票再選が続いてきた町長選に、その計画撤回を明確に打ち出した実質的なワンイシュー町長として宮下出馬を表明、現職と共産系の候補を破って当選という流れであった。

https://static.chunichi.co.jp/chunichi/archives/article/senkyo/chihosen2019/nagano/CK2019042202000058.html


しかし、当選後は散々であった。

まず残土を利用して埋め立てると言う計画撤回したものの、それとほぼ一体で動いていた県の事業、広域道路整備関係でもリニア中央新幹線で出た残土を利用すると言う計画になっていたためである

道路整備は長年要望してきた内容であるし、広域で実施する話だから松川町だけの問題でもない。

ところが、ワンイシュー勝利たこ町長はそこまで考えていなかったために、県とトラブルになり、計画は大幅に遅延した。

https://www.pref.nagano.lg.jp/koho/kensei/koho/hotline/202110/hot_2110-16.html

さらに、町長の登場と共に、まつかわ太陽の会という謎のロビー団体が猛烈に活動を開始する。

https://matsukawataiyo.org/

たいようの会、と言う名称から一見左翼系の団体みえるが、典型的地方に巣くうオール政治団体レガシーではない)である

地元の建材会社(≒公害産業)の竹村工業という会社 https://www.takemura.co.jp/事務局となって動かしている団体で、商工会などとも繋がった既得権益側の組織である

この会の資料を見てみると良いと思うが、外から見るとほとんどイチャモンで、よくもまあこんあものホームページに載せるよな、と言うレベルであはるのだが、この調子で猛烈に攻撃した。

もちろんこの怪文書地元印刷屋によって印刷され、ばらまかれている。

こんなことをして移住者獲得競争プラスに働く訳がないのだが、愚かなことである


さて、この怪文書たる増田を書いている俺からみると、宮下町長は非常に勉強熱心で、よく色々な所で見かけた。

例えば、早稲田大学マニフェスト研究所という、地方自治に関する研究支援活動をやっている組織があるが、そう言ったところでもよく見かけたし、

周辺の自治体などが行う勉強会などでも、本気で参加している姿を見ることができた。

実際話をしてみると、理想を語る姿はド正論であるし、悪い人手は無いと思ったが、素朴すぎるし、真面目すぎると言う印象を持っていた。


町民が町政の変化を求めてワンイシュー若い首長を選んだ。言わば「総論である

一方で、極小さいコミュニティ代表者という性質の強いのが、町議会議員である。言わば「各論である

大抵は地元の顔役がこの人に出てほしいと言うことで依頼し、地元候補はこの人だからと言うような具合でなんとなく話があって、そこに票が集まって当選するという動きをする。

概ね、元々この地区仕事をしている中規模会社社長やら、引退した教員やらが引張り出されることになるのだが、構造的に新しい事ができるような人々は出てこない。

松川町もその構造から逃れることが出来ず、議会町長対立が発生。お金がかかる新規事業はことごとく議会を通らず、補助金受給する国や県への事業へも議会同意必要で応募もできず、町政は停滞した。


そうして、1期4年が経った後、宮下は次期町長選への出馬を「説得」されて断念し、

次には北沢秀公と言う、元地元第三セクター会社トップで、地元商工会などとも結びつきの強い人物が無投票で選ばれるという事態となったのであった。

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023041900055


さて、こうしてみると「総論」として新しいことにチャレンジした若い首長既得権益に負けた、という見方になると思うのだが、実際には正直宮下無能であった。

現実的な落とし所というものを持っていなかったのである

これは有権者選挙問題もある。閉塞感を打破したいと感じて首長若い人を選んだが、実務的にはきちんと処理されないと困るので議員は手堅く選ぶ。すると議会町長がちぐはぐになってしまって動かないのだ。

兵庫の件がこの後どうなっていくかは分からないが、地方議会というのは国会以上に実務的な問題を切実に解決する実務家という性質が強いので、大きくは変わらないだろう。

ましてや、基礎自治体もっと動かないだろう。


自治体の長に本当に求められているのは、改革を求める民意を汲みつつ、着実に地道に進めていく存在であって、劇場型政治ではないのだ。東京名古屋大阪などの特大自治体ならば国政に似た動きをしても大丈夫だろうが、兵庫県ぐらいのサイズではそれは微妙だし、

このように衰退を待つ基礎自治体では、このような選択肢が致命的にもなりうるのである

  • 今までの県政が評価されてた斎藤とは逆だな 結局はアンチ斎藤のワンイシューしかなかった稲村陣営が自滅したんだろうな ちゃんと政策で争えば良かったのに

  • 兵庫県知事選挙にイシューなんかなかったやで

  • りんごがあるからいいじゃん。りんごと共に生きよう!

    • 実は梨がうまい。和梨も洋梨もあります

      • 松川インターの近くの直売所洋梨だけめっちゃ余ってたぞ

        • 🍐「用無し、なんていわないで😢」

        • 洋梨は収穫した後熟成して食べるものなので、和梨とは在庫の動き方が違うんですよ。 値段も違うし。

  • その4年の間に町議会議員選挙は無かったんか? 町長反対派の議員を落とせばよかっただけに思うんだけど

    • 2020年にあったが、無投票。 もうここ何十年も町長選は無投票、議会選は最大でも2人落ちとかの状態

  • 面白増田 その無投票当選町長の手腕が気になるところ 説得されて断念したあたり、自分でも課題解決できてないじゃん!! という現実は見えてたんだろうな 誰も幸せにならなかった...

    • 無投票当選首長は、前町長時代の対立を修復するのでいっぱい一杯なようで、まだ成果らしい成果はないね。 ただ、県庁とは和解して工事が再開したようだし、周辺市町村との合同で陳...

  • 町長くらいの首長ならなるほどそうかもしれんけど県知事くらいになれば国との折衝は進めなきゃいけなくても県内政治はそこそこコントロールきくんじゃね? まあよっぽど各自治体の...

  • 町長選レベルでも共産候補は立候補するんだな それなりに組織があるのかね

    • 各市町村に数人ぐらいずつ共産系議員がいる程度には影響力はあるよ 詳しい奴に聞いたら、当時最初に残土で洞(谷)を埋め立てる事に反対運動が起きて、それを大きく取り上げたのは...

  • 単にリニア残土利用の土建計画を破棄したから利権業者に目をつけられて終わっただけじゃん 静岡の川勝と一緒   兵庫の斎藤は維新系だから国(自民)との関係も悪くなることないし...

    • なんでも利権のせいだとシンプルに考えるのもいいけど きちんと丁寧に問題を解決しようとしたら、利権と呼んで糾弾すべき悪なんて存在しないんですよ。 問題は解決できずに終わる

    • >ワンイシュー首長として今後が心配なのは豊橋市長のほう 編集 ほんそれ(from 市民)。 アピールのほとんどが「現職の批判とアリーナ反対」でそれ以外のビジョンが皆無。 僅かしか...

  • 地方の土建屋とかを既得権益と書く奴って総じて馬鹿だと思うんだよ 地方によってやることは違うが 除雪や落石や土砂崩れ(結構そこら中で起こってる)なんかの対応だったりするため...

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