彼は同期の同僚で、同じ新卒採用の人。
今年から同じ部署になって、それで少しずつ話をするようになった。
優しい人で、仕事で分からないことはいつも教えてくれて、だから最初は”やさしい人だな”っていう印象だった。
そのうち一緒にお昼ご飯も食べるようになって、でも連絡先は知らなくて。
だから私生活のことは全然知らないし、お互いプライベートのことはよく知らない。
たまにご飯に行くことはあっても、あくまで仕事帰りのみで、休日に待ち合わせ。とかはなくて。
そんな関係性の人だった。
途中に小さな公園、というかベンチみたいなものがあるんだけど、彼がそこで「ちょっとだけ休憩しない?」と言った。
私は別に急いではいなかったし、いいよと答えて二人で並んでベンチに座って、彼が近くの自動販売機から飲み物を買ってきてくれた。ホットのココアだった。
二人で並んでココアを飲みながら「もう12月だよ!」とか「今年もあっという間だよねー!」みたいな些細な話をして、ゆっくりココアを飲んでたらあっという間に周りが暗くなってきた。
顔を上げるとまるでイルミネーションみたいにビルには無数の光が灯っていて、街路樹に挟まれた街灯には優しい明りが灯ってた。
その光景がなんだかとっても奇麗で、そのとき不意に昔親友と一緒に花火大会に行った時の記憶や、大晦日に家族団らんで過ごした時の光景がふっと頭に浮かんできて、ああきっと今のこの目の前の光景も幸せだった瞬間の記憶として保存されたんだなっていう、そんな気持ちが急に沸き上がってきて、なんだかちょっと感極まって泣きそうになる。
あなたが恋と思った瞬間、それが恋です
田島貴男「これは、鯉ッ!…では、ナーイ♪やっぱり鯛です大きなッ!!、」
私は変と思ったので、これは変です