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かけ算の順序史上最も重要なエントリ10選の続編として、学術文献・出版物を選んでみました。
読み手の評価は「こんな教え方ではよくない」「児童の特性に配慮した指導事例だ」に分かれているように思います。「学習支援教室」は「特別支援教育」ではない点にも注意が必要です。
1つの調査問題(4つの式にそれぞれ○か×を付ける)に、「たし算の順序」と「かけ算の順序」が入っています。
平成20年告示の学習指導要領に基づく内容ですが、小学校2年のかけ算の単元で、何を重視しているか、教科書ではどのように出題して学びを促すかについては、現行(平成29年告示)の学習指導要領や、令和2年度・令和6年度使用の教科書においても、大きな変化は見られませんので、現在においても参考にしてよいものと考え、取り上げました。
82ページの「第2学年や第3学年では,読み取った数を,「1つ分の数×いくつ分=全体の数」と表現できることが重要であり,逆に,この立式ができているかで,数の読み取りができているかを判断できる。」が真髄と言っていいでしょう。2011年の初版や、異なる著者による2018年の書籍にも、同じ趣旨の文が含まれています。
提言の中に「乗数や除数が整数から小数や分数になったとき、演算の意味が拡張し統合されることをより一層強調すべきである。」という文があり、翌年(平成29年告示)の小学校学習指導要領の算数に、「乗法及び除法の意味に着目し、乗数や除数が小数である場合まで数の範囲を広げて乗法及び除法の意味を捉え直すとともに、それらの計算の仕方を考えたり、それらを日常生活に生かしたりすること。」として反映されています。
学術会議で「かけ算には順序がない」を提言すれば、後の学習指導要領改訂の際にも反映される可能性がある、と考えることもできます。
高校までで学習する数の演算は、「環」や「体」で考えることもできますが、この文献では「Z-加群」を使用しています。担任教師とのやりとりに、Z-加群のほか、「私の子供は帰国子女だからごく自然に3×2と考えたのだと思う」が含まれています。
海外の乗法・除法研究(「かけ算の順序」に関する研究ではなく)を手早く知るのにおすすめです。
「かけ算の順序論争」における古典と言っていいでしょう。
2010年からのネットにおける「かけ算の順序」について、ひと区切りを付ける形になったものです。2017年6月に、同年告示された学習指導要領に基づく「小学校学習指導要領解説算数編」のPDFファイルが文部科学省サイトでダウンロードできるようになるまで、ネットの論争は下火となった(とはいえ、2015年には「足し算の順序論争」が発生したのですが)ように感じます。
「かけ算の順序史上最も重要な論文10選」にはしませんでした。査読付論文だけでなく、書籍やその一部、査読を経ていない文書からも選びました。
「かけ算の順序史上最も重要なエントリ10選」でリンクした「かけ算には順序があるのか」「日常生活の中で計算が活用できる子供の育成を目指した学習指導の一試み」、それと海外文献は、今回、対象外としています。
よく引用されていることや、入手が容易であることは、選定の際に考慮しましたが必須の要素ではありません。「かけ算の順序」について直接主張していない文献も、取り入れています。