「バブルとは何か?」ーーこれに答えようとするだけで本が何冊も書けてしまう壮大な問いである。 本書の中でも、「バブルとは…」という記述が何箇所か出てくる。 まず、 ”バブル経済とは好景気のことではない。特定の資産価格(株式や不動産)が実態から掛け離れて上昇することで、持続的な市場経済の運営が不可能になってしまう現象のことである。” と経済学的に説明したもの。 続いて ”バブルとは、グローバル化による世界システムの一体化のうねりに対して、それぞれの国や地域が、固有の文化や制度、人間の価値観を維持しようとしたときに生じる矛盾と乖離であり、それが生み出す物語である。” と社会学的に説明したもの。 さらには ”バブルとは、何よりも野心と血気に満ちた成り上がり者たちの一発逆転の成功物語であり、彼らの野心を支える金融機関の虚々実々の利益追求と変節の物語である。そして、変えるべき制度を変えないで先送りをし
