『部長と池袋』姫野 カオルコ 光文社文庫 2015年1月20日初版 最近出た、文庫オリジナルの短編集です。 ページをパラパラと捲ってみて、あぁこれなら読めそうだと思って買いました。実はこの人の小説は何度かチャレンジしているのですが、どうも私には相性が悪いというか、すんなり読めたためしがありません。去年の暮にも『お金のある人の恋と腐乱』を読み始めたのですが、途中で挫折してしまいました。これなら、と思って手に取ったのが『部長と池袋』です。 「二冊分を一冊分の価格で買える」お値打ち品だと著者自身が言うだけあって、大きく区分されたPARTⅠとPRATⅡでは随分趣きが異なります。生粋の姫野ファンなら確実にPARTⅡを推すのでしょうが、初心者の私はPARTⅠを楽しく読みました。 PARTⅠでは、広い意味での旅情がモチーフとなっており、ある光景のなかでの思い出が綴られています。年齢ごとに、思い出が刻まれ