2011年3月の東日本大震災と福島第1原子力発電所事故は、日本にとって、黒船来航により開国を余儀なくされた明治維新、太平洋戦争での敗戦に匹敵する国難とされた。それでなくても中国の台頭と呼応するかのように世界での存在感を失いつつある日本、そして日本人はこの国難をどう受け止め、21世紀を生き抜こうとしているのか。 2001年末から2008年まで英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」の東京支局長として日本に滞在した経験を持つデイビッド・ピリング氏は、震災後も何度も日本に足を運び行った膨大な取材とこれまでの蓄積をベースに、今の日本の姿を『日本―喪失と再起の物語』と題してまとめ、このほど出版した。 本を書いた狙いと日本が直面する課題、そして解散総選挙の実施を決めた安倍晋三首相の決断をどう見ているか聞いた。 (聞き手は石黒 千賀子) デイビッド・ピリング(David Pilling)氏 1964年生