熊本大の浪平(なみひら)隆男准教授と水産加工会社ジャパンシーフーズ(本社・福岡市)の共同研究チームは、魚の切り身にいて食中毒を引き起こす寄生虫アニサキスの新たな殺虫方法を開発した。加熱や冷凍といった従来の方法と異なり、瞬間的に発生させる大電力「パルスパワー」を利用し、生食用の切り身の品質や味を落とさず退治できるという。 アニサキスは糸状の寄生虫。長さ2~3センチの幼虫は魚介類の内臓にいて、宿主の魚が死んで時間が経つと筋肉に移動。人が刺し身などを食べた後、胃壁や腸壁にかみつき、激しい腹痛や吐き気などを引き起こす。治療薬はなく、内視鏡による摘出などで処置される。飲食店や魚介類販売店でアニサキス食中毒が発生した場合、食品衛生法に基づき事業者に営業停止の行政処分がとられることがある。 厚生労働省はアニサキス中毒の予防策として、70度以上の加熱またはマイナス20度で24時間以上の冷凍を推奨している。