韓国の造船業界がかつてない危機的な状況に直面することは間違いない。しかし、だからと言って、日本が勝ち残れるかは分からない。今回の造船不況はかつてないほど長期化する可能性がある。 いかに差別化製品で長い冬の時代を生き抜くのか。日本の大手各社の戦略を追ってみた。まずは造船産業でも「ドル箱」とされるLNG(液化天然ガス)輸送船で独自戦略に打って出たIHIから見ていく。 今、日本の造船業界が注目しているのは巨額受注を見込めるLNG(液化天然ガス)関連需要である。LNGの輸送船だけではなく、これから世界のエネルギー大手が相次ぎ建設を狙う海上での液化天然ガスの生産・貯蔵施設(LNG-FPSO)にも各社が熱い視線を送る。 30年前からの根深い遺恨 業界では海上に浮いていることから、「フローティングLNG」、略して「FLNG」と言われる。天然ガスの液化などプラント会社の担当部分を除いても、1隻当たり100