口永良部(くちのえらぶ)島で爆発的噴火の発生直後、屋久島町教育委員会職員、岩川健さん(33)に上司から声がかかった。「おい、噴火したぞ。口永良部に急げ」 3月まで町の防災担当だったため、荒木耕治町長と一緒に、県防災ヘリに乗り込むことになった。何も考える余裕はなかった。 午後0時20分すぎ。山頂に白煙が見えてきた。山の南西斜面一帯は火山灰で白く覆われていた。次第にヘリの中は張り詰めていく。 避難所に入ると、町出張所の職員と協議を始めた。 「脱出の方法はどうしようか。タイムスケジュール通りに迅速にやらないといけないよね」 「そうだな。でも、焦らないようにしないといけないよな」 そんな会話が交わされた。島民はとるものもとりあえず、高台の避難所に避難していた。「あそこに住んでいたあの方はどうなったのかしらねえ」などと住民らが声を出し合う。その数は121人を数えた。 午後1時半だった。町長は「皆さん