■2024年畑正憲絵画個展 銀座ギャラリーGK 4/15-4/27 ■ムツゴロウ麻雀物語 中公文庫にて再版 24/03/19 ■畑正憲回顧展 北海道中標津にて開催 11/25-12/3 ■生きるよドンどん 毎日新聞出版 23/7/24 発売! ■2023年 ムツゴロウ動物王国カレンダー発売開始! ムツ牧場で乗馬していると、 よく丹頂鶴に会うことがあるのですが たいがい、つがいでいることが多いです。 秋から冬にかけて、今の時期 10~20羽、群れていることがよくあります。 若い鶴同士の出会いの場(合コン!?) なのかも、と私は思ったりしてます、ハイ 馬小屋ネコのシャーは 母屋(ムツさん宅)前にいることが多くなりました。 天気の良い日は、玄関で日向ぼっこをしています。 冬が来る前にと、馬たちを広い牧草地に放しました。 その後、雪が降ったので、牧草より笹の葉を食べています。 今いるこの馬たち、こ
【ムツゴロウのいのち万華鏡】あこがれ続けたウーリーモンキーが抱きつき、足を噛み、頭の上にのってきた=ブラジル(ムツプロ提供) アマゾンの奥の奥。道はとっくに消えている。100キロ、200キロと、太古から息づく自然だけが広がっている。自然の濃さに酔い、めまいさえしてくる。 目指すはタバティンガという町だった。コロンビアとペルー、そしてブラジルが接している所だ。私はそこで、世界最小のサル、ピグミーマーモセットを見たいと思っていた。 空は青く、つきたての餅(もち)みたいな白い雲。川岸で休みをとると、黄色いチョウの大群に取り囲まれる。 タバティンガのホテルは、その名も「地の涯(はて)」だった。中庭で、オオハシが遊んでいた。 上半身裸の案内人がやってきて、皆にターザンと呼ばれているから、自分の名前を忘れちまったよと言った。 ペルーの方へ川をさかのぼると、廃屋を見つけた。お昼にしようと、そこへ寄った。
【ムツゴロウのいのち万華鏡】赤くて、濃くて、かざした手が染まりそうなアフリカの夕日=ケニア(ムツプロ提供) アフリカよ、アフリカ。 その名を唱えるだけで、いく百ものベルが、私の心の中で鳴り響く。青春を動物学に捧(ささ)げたものにとっては、特別な大地であり、聖地であり、魂をかき鳴らす風が吹く場所である。 後に地球を二百周以上することになるのだが、私が最初に選んだのは、言わずと知れたアフリカだった。飛行機にのる前から、体は勝手にピクピク動き、心は宙天へと遊離している感じだった。 ケニア。ナイロビ。 近代的なビルが建ち並び、黒い人たちが通りを埋めつくしている。小説のモデルになった、日航の小倉さんから、政治がうまくいっていない話を聞いた。それは今でも続いていて、暴力沙汰(ざた)が日常化しているのは非常に残念だ。 さあ出発。ナイロビから一歩出ると、あちこちに小さな家が散見される郊外に、すでにインパラ
【ムツゴロウのいのち万華鏡】牧羊犬ならぬ“牧羊ザル”を発見。羊の上に乗っかって、周囲に注意を払っていた=ナミビア(ジェルミ・エンジェルさん提供) 砂漠は海に落ちこんでいる。ずっとずっと、何百キロも砂の海岸線。 海の砂が吹上げられるというから、海の底も砂だろう。だけど、何もいないわけではないだろう。いのちは、どこにだってはびこる。 どんな魚がいるのだろう。 予備知識を得たくて、魚屋を捜したが、皆無だった。でも漁師はいるという。細々と漁をし、ホテルやレストランに卸すのだそうだ。 そうだ、と私は膝(ひざ)を叩(たた)いた。 この辺りは、遊牧民、ノマドが南下してきたのだ。太古から食文化を伝承してきた人たちではないので、魚に執着しない。 船を出した。肉を切って、適当な所にほうりこんだ。 すぐに、グッときた。立派なサバが釣れた。その美味(おい)しかったこと。丸々と太っていて、日本の秋サバの味だった。南
砂漠は一瞬、海に見える。地形に応じて波があり、そのさざ波やうねりが、黄色、赤、白と色を変えて続いている。 美しいなと息を呑(の)む。汚れなき、清浄そのものの世界。厳冬期のアラスカやシベリアに似ているなとも思う。いのちあるものを拒否する自然の峻厳(しゅんげん)さ。 だけどね、生物はいるのよと砂漠研究所の女性が言った。甲虫やヘビやクモが住んでいるのである。湖や沼がなくても、彼らは、空気中から水分を得るのだと彼女は説明してくれた。 夜明け、海から押し寄せた霧が露になる。砂漠は、昼間は灼熱(しゃくねつ)地獄だが、夜になると、急に気温が下がるのだ。アラビアの砂漠を旅したとき、夜は甘美であり、ライラという言葉は夜を意味すると同時に、恋人を意味するのだよと教えられた。日の出前、氷が張ったりもする。 甲虫は、暗黒に這(は)いだして、後脚をピンと空に向けてじっとしている。すると、脚で、霧が露になる。そして、
熱中するだろうなという予感はあった。日本を離れるに当たっては、オオカミやヒグマがいるしな、などと言訳を胸の内で繰り返したが、大自然のとりこになることは予想していた。 そして、アラスカ詣でが瞬く間に20回を超えた。すると、空港を素直に通れなくなった。係官が睨(にら)みつけ、荷物を隅から隅まで点検する。上着を脱がせ、ポケットを裏返しにしてゴミをブラシで掃き、それをルーペで調べた。 別室に呼ばれると、そこには温和な表情をした上級のインスペクターがいた。そして、釣りが好きなのかと訊く。 好きなんてものじゃない、人生の一部だと答える。キング、シルバー、レッドにパイク、何でもいいよと言い、一気に話が盛り上がる。相手は、あなたのような人にこそアラスカへきて貰(もら)いたいのだと、ハンコを景気よく押し、ロビーまでエスコートしてくれた。 アラスカ−−。 その第一印象は、まだ根深く私の中に巣喰っている。黒ぐろ
【ムツゴロウのいのち万華鏡】走れ、駆けろよ、飛べ、犬たちよ−。初めて体験した6頭びきの犬ぞりの上で、私は寒さを忘れ、歌っていた=米アラスカ州(ジェルミ・エンジェルさん提供) およそ30年前、私はアラスカで犬ぞりを習った。 アンカレジからさほど遠くないアリエスカという所に、ティムという男が住んでいて、アマチュアに犬ぞりのイロハを教えていた。彼は私に、犬を甘やかしてはいけない、犬に対する命令は、短く、明確であるべきだと言った。 ティムが訊(き)いた。 「お前は、日本で、マッシャーになりたいのか」 マッシャーとは、犬ぞりの御者(ぎょしゃ)、犬ぞりの使い手のことである。私は、首を振った。 「ノー。今から努力してエキスパートになれるとは思えないし、おれ、作家でね、北国の物語を読んでいると、犬ぞりのシーンがたくさん出てきて、それをちゃんと理解したいので、体験してみたいのだよ」 OK、それなら6頭びきが
【ムツゴロウのいのち万華鏡】アンカレジ郊外をアナバスと歩く。アラスカ山脈に見守られながら、豊かな自然を味わった=米アラスカ州アンカレジ(ジェルミ・エンジェルさん提供) ついに出会ってしまったなと、私は胸の高鳴りに身を任せていた。 アラスカへの初めての旅。ホテルで旅装(りょそう)をとき、街へ出る。ひと歩きして新聞を買った。部屋に戻って、そのアラスカ・タイムズをベッドの上で開く。そして発見したのだ。広告のページに、アラスカオオカミ犬協会という文字が躍っていた。その下に、第1回会合の日時と場所が報(し)らされていた。 オオカミ犬。犬とオオカミを交配して生まれた不思議な動物。アラスカへ行けば、ひょっとしたら会えるかもしれないという漠とした期待を持っていたのだが、初日に、最もいい形で、出会えるチャンスが訪れたのだ。 当日、私は駈(か)けつけた。小学校の教室を借りた会だった。30人ほどが、それぞれ自分
【ムツゴロウのいのち万華鏡】絶滅の危機に瀕(ひん)していたモーリシャスチョウゲンボウは、カールの努力によって数が増えた=モーリシャス(ジェルミ・エンジェルさん提供) 山がいくつもそびえたっていた。600から800メートルの高さだが、海岸から眺めると、雲に達している感じがした。 緑がいきいきしていた。その濃淡の美しさが目にしみた。山があり、しかも海に囲まれているので雨量が豊富なのだ。 モーリシャス。マダガスカルから約1000キロ東のインド洋に浮かぶ島。火山が噴火して出来(でき)た島であり、アフリカ大陸から遠く離れているので、哺乳類(ほにゅうるい)は、ほとんどここでは進化しなかった。 その点では、ニュージーランドと同じである。肉食の哺乳類がいないので、地面を走りまわり、空を飛べない鳥が残っていた。 その名もドードー。絶滅した種として語り継がれている動物である。体長は約1メートル。体重は20キロ
昨年閉園したレジャー施設「東京ムツゴロウ動物王国」(東京都あきる野市)の運営会社「ムツプロ」(北海道中標津町)が従業員に賃金を支払わなかったとして、青梅労働基準監督署は16日、労働基準法違反の疑いで同社やムツゴロウの愛称で知られる畑正憲社長(73)、労務管理責任者(38)を書類送検した。 調べによると、ムツプロは動物王国従業員18人の昨年6〜8月分の賃金計約925万円を、所定の日に支払わなかった疑い。 動物王国は、当初運営していた「グローカル21」が平成18年に事実上倒産した後、ムツプロが引き継いだが、昨年11月に閉園した。 同労基署は昨年、グローカル21も労基法違反の疑いで書類送検した。 「ムツプロ」によると、賃金は昨年末にすべて払い終わっているという。
【ムツゴロウのいのち万華鏡】農業祭に集まる人々は、牛や羊を家族のようにして集まっていた=オーストラリア・タスマニア島(ジェルミ・エンジェルさん提供) 島から消えていった動物は、ドードーだけではなく、聞いただけで胸が痛む貴重な種が滅びている。なかでもタスマニアタイガーは、もし生き残っているのなら、真っ先に会ってみたい動物だった。 タスマニア島。オーストラリアの南に浮かび、約1万年前に本土から離れたものらしい。 そこに、変てこな動物がいた。オーストラリアだから有袋類(ゆうたいるい)なのだが、オオカミそっくりの姿形をしていて、タスマニアウルフとも呼ばれている。一般には、体に走る縦縞(たてじま)に由来した名前、タスマニアタイガーが定着している。 肉食獣だ。写真で見る限りに於いては、トラではなく、オオカミ型である。イヌ科の動物を求めて放浪し始めた私としては、痕跡でもいいから、ぜひぶつかりたい代物だっ
【ムツゴロウのいのち万華鏡】タスマニアデビルに、傷つけられては困る私の顔を差し出したら、キスしてくれた=オーストラリア・タスマニア島(ジェルミ・エンジェルさん提供) まずホバート(豪タスマニアの州都)の古本屋に行ってみた。古い記録の類(たぐい)が売られていた。タスマニアタイガーの首に懸賞がかけられたのは、20世紀になってからだった。 同時に、面白い事実にぶつかった。同じころ、魚類の捕獲に制限を設けているのである。小さいタイやアワビを獲ってはならぬという規則をつくっていた。 タスマニアは、海産物の宝庫でもあり、非常に美味(おい)しい。オーストラリアの北は熱帯性だが、ここは日本で言うなら、伊豆や千葉の海に近いのである。 河口で釣りをしてみた。クロダイが入れ喰(ぐ)いになった。 仰天したのは、マグロだ。漁師が、あまりにも自慢するので、船をチャーターして海に出てみると、ビンナガマグロが、際限なく釣
【ムツゴロウのいのち万華鏡】カンガルーよ、教えてくれ 親子の絆とはなんなのか (1/6ページ) 2008.6.6 17:00 【ムツゴロウのいのち万華鏡】道端で死んでいた母カンガルーの袋の中で、生きている赤ん坊をみつけた。もちろん引っ張り出して育てた=オーストラリア・タスマニア島(ジェルミ・エンジェルさん提供) 日が経(た)つにつれ、カンガルーが見えてきた。どこへ、いつ行けばいいのかがおぼろに分かり、会える回数が増えてきた。 彼らは、暑さが苦手である。だから、朝と夕、まだ涼しい内にブッシュから出てくる。 最初は大変だった。オーストラリアを代表するこの動物に、さっぱり出っくわさなかったのだ。小ぶりなものをワラビーと呼ぶけどさ、50種類以上、何千万頭もいるんだぜ、野生のものにぶつからないなんて、そんなの信じられないと、私はぶつくさ言ったりした。 交通事故で犠牲になったものは何頭も見た。メスに
【ムツゴロウのいのち万華鏡】20世紀初頭まで、物資輸送の中心を担ったラクダ。アフガニスタンから輸入した名残が、乗り方に表れていた=オーストラリア・アリススプリングス(ジェルミ・エンジェルさん提供) ■シーン1 日は中天。日の光が真上から降り注ぎ、自分の影が足元で黒い輪になった。赤道に近づいている証拠でもあった。 タスマニアの高地では、羊の毛が裏についたコートを着ていた。それでも夜は寒く感じた。そこから一気に飛んできたので、暑熱のハンマーで殴られた気がした。 私は、オーストラリアの広さ、大きさに、改めて感心していた。ほぼまん中、中央部に私はいた。町の名は、アリススプリングス。町の礎が築かれた際の、郵便局長の奥さんの名がアリスだった。乾いた土地では、スプリング、泉や水源は命綱だった。 大地は赤い。暑熱で岩が風化したものだ。草がその大地にこびりつくように生えていて、低い木がまばらに立っていた。い
【ムツゴロウのいのち万華鏡】ユーカリの木の上に住むコアラ。オーストラリアの大気汚染防止に、実は彼らが役だっている=オーストラリア・メルボルン(ジェルミ・エンジェルさん提供) ■シーン1 オーストラリアの本土を車で走った。とにかく広い。海の近くにある都市部はともかくとして、内へ向かうと、荒涼とした風景の中にまっすぐな道。なんだか粗っぽいなぁと思ってしまう。木が寄り合って立つ林でさえ、がらんとした印象を与える。 そしてメルボルン。時代を経た古いビルが並んでいた。公園が多く、そこには巨木が林立している。メルボルンは、公園の街、とも呼ばれている。 ダウンタウンには、いくらか退廃した雰囲気があった。ひと目で麻薬中毒とわかる人物が歩いていた。珍しくも自販機があった。イギリスなら、一と月保たないで壊されるけどなと思い、近づいてみると、売られているのはコンドームだった。健康で明るいオーストラリアにも、この
■シーン1 オーストラリアの人たちは、自分たちのことをオージーと呼ぶ。これには、強くたくましく、ちょっと違うんだぞという誇りがこめられている気がする。そのずっとずっと先には、映画「クロコダイル・ダンディー」のイメージがある。 人なつこくて陽気だ。街角や公園で私は話しこみ、たくさん握手をした。オージーばんざい、そう叫びたくなった。 公園で笑い声が起こった。その先を目でたどると、珍奇に正装した犬がいた。スケートボード、スケボーにのっていた。麦わら帽子にサングラス。澄ましこんで得意顔。犬のオージー。 イギリス人は、紳士だと自認しているが、とんでもないユーモアを放射したりする。イギリス人のわが友ジェルミがこう教えてくれた。 「あのね、エープリルフールの日、国営放送のニュースの時間、イタリアの村から中継し、木という木からスパゲティを垂らし、村娘が収穫する風景を流したんだよ。以来、スパゲティは木になる
【ムツゴロウのいのち万華鏡】シャチのトムの骨格標本。クジラに刺さった銛のロープをくわえたため、こすれた歯がくびれていた。シャチと人の友情に涙がにじんできた=オーストラリア・イーデン(ジェルミ・エンジェルさん提供) ■シーン1 すべての家族に楽しいエピソードがあるように、この地球にだってそれはある。そして、日々遠ざかりつつある暗闇の中で、星のようにともり、オレンジ色の光を放っている。 始まりは、メルボルンの古本屋だった。わが友ジェルミと2人、本の背を舐(な)めるようにして、古き佳(よ)き時代の記録を捜した。 ジェルミが買った自然史の本の中に、新聞の切り抜きが貼(は)られているものがあった。すべて、20世紀初頭のもので、記事の内容は動物に関係していた。その本の売り主は、どうやら本をスクラップブック代わりにしていたらしい。 ジェルミが興奮して言った。 「ムツさん、かつてシャチが人間に協力し、クジ
入国の手続きは簡単至極、私たちは追い出されるようにして空港のロビーに出た。 ザンビア。首都のルサカ。 鉄縁の眼鏡をかけた長身の青年が、照れ笑いを浮かべながら近づいてきた。黒い顔に白い歯がくっきり光る。 「ザンビアへようこそ。あのう、ドクターは、牛の検疫のために出かけていまして」 イギリスが統治していた時代もあったので、公用語は英語である。これは、部族ごとに言語が違うザンビアでは、国をまとめるのに役立っている。 ドクターとは、福代のことだ。北海道のわが家に2年ばかり同居していた獣医であり、皆からフクちゃんと呼ばれていたが、青年海外協力隊の一員となり、ザンビアに赴任していた。その便りの面白さにひかれたのが、旅のきっかけだった。 青年は、ムハンマドと名乗った。私が、やあ、それはビッグネームだねと目尻に皺(しわ)を寄せると、アフリカには多い名前なんですと彼は顔を赤らめた。 さすがに首都だ。ビルが建
【ムツゴロウのいのち万華鏡】市場でパンの実を買って食べた。周囲の人に目ですすめると、あちこちから手が伸びてまたたく間に消えてしまった=スリランカ・コロンボ(ジェルミ・エンジェルさん提供) 人に運があるように、旅にも運がある。私は長い間、ゾウがいてそれを労働力として使っている土地へ行きたいと思っていた。 何故(なぜ)、ゾウなのか。 シルクロードを西域へと旅していく。すると、紀元前に描かれた壁画に、人がゾウを連れている姿が登場している。あのアレクサンダー大王(紀元前356〜紀元前323年)が、東征し、インド半島北西部のパンジャブ地方へ進んだとき、100を超すゾウの大群にのった軍隊に遭遇して仰天している。 ゾウは野生動物である。でも、一部の地域では、飼い慣らし、家畜化している。あのような大きな動物を、一体全体、人はどのようにして飼い慣らせるのだろう。 資料を探した。ロンドンやニューヨークの友人に
■シーン1 日本を発(た)つ前、私はスリランカ大使館に顔を出し、目的を話し、ゾウについてくわしい人がいたら教えてくださいと頼んだ。大使は、だったらこの人以外にはいないという人物あてに紹介状を書いて下さった。 まず、そこへ行った。キャンディという町の近くだった。 ところが、亡くなっていた。10日ほど前に事故で死んだと告げられた。町の事情通はこう言った。「ゾウにやられたのよ。鼻で首を巻かれ、頭を噛(か)み割られてさ」 あの人はカッコつけでね、ともつけ加えた。なんでも、一世一代のパーティーを自宅で開いた。政府の高官たちも出席したという。来賓に見せるために、ゾウを庭に集めた。その前に立った。次の瞬間、悲劇が起こったのだ。 カッコつけで、ゾウをぶちのめしてたからね、ゾウに恨まれていたのさと、事情通は笑った。 予定が外れ、がっかりした。意気ごんでいただけに力が余った。 さて、どうするか。コロンボに戻り
札幌市中央区のNPO法人と歯科医院が、患者にアンケートを記入してもらい、その対価を払う形で、診療費のうち、健康保険の自己負担分を無料にする仕組みをつくって診療していることが、分かった。同法人によると、患者数は半年で三千人に上り、患者になる会員を募集しているという。札幌歯科医師会は「この無料診療の仕組みは把握しているが、聞いたことがない事例だ」と困惑し、この仕組みが適法か違法かについて北海道厚生局に調査を求めている。 このNPO法人によると、同法人と歯科医院は同じビルのフロアにある。会員になった患者の自己負担分(診療費の一−三割)は毎回、診療後のアンケートに答えた「労務料」と相殺される仕組み。会員資格は年収五百二十万円以下で、健康保険証が必要。無料で会員になれる。 NPO法人が患者に支払う「労務料」の原資は、歯科医院を運営している医療法人がNPO法人に支払う「広告料や調査料」を充てているとい
【ムツゴロウのいのち万華鏡】「人が好き」友好的な犬、ポロコイナ (1/7ページ) 2008.12.5 16:00 【ムツゴロウのいのち万華鏡】移動地図が脳に刷り込まれているようなトナカイ。一度通った道は忘れない、不思議な野生動物だ=フィンランド(ムツプロ提供) ■シーン1 知れば知るほど、トナカイは変な家畜だった。春になると北へ移動し、冬には南下してくる。その脳の中には、一度経験すると、移動の地図が刷り込まれるのだと学者は言う。 ノルウェーのほぼ最北端、ノールカップ岬のこちらに、20メートルほど離れて立つ木があるという。トナカイの群れは、毎年、1頭残らず、その木の間を通るというのだ。 人は、餌を与えるでもなく、夜になったら小屋にかくまうわけではない。トナカイは、大自然の中で、自分たちの力で生きている。 本質的に野生動物だ。 トナカイのソリに乗ってますか、左へ行け、右へ行けなどと自在に乗り
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