横浜市中区の黄金町地区。ここはかつて「ちょんの間」と呼ばれる違法風俗店がひしめく売春街として知られ、黒澤明監督の映画「天国と地獄」で誘拐犯が覚醒剤を使って殺人事件を起こす“地獄”として描かれた舞台でもある。ずらりと並んだ薄着の女性が道行く男を誘惑する光景は、おしゃれな横浜のイメージとかけ離れたものだったが、それが変わり始めたのが10年ほど前。神奈川県警や周辺住民らの浄化作戦をへて、猥雑(わいざつ)な色街は今や「アートの街」へと変貌を遂げつつある。(小野晋史) 500人以上の外国人女性が声をかけ… 摘発前の黄金町地区では、1つの建物の入り口を1間(けん)(約1・8メートル)ほどの間口で複数に区切り、それぞれが1つのちょんの間として営業していた。表向きは小料理店やスナックといった飲食店を装い、ピンク色の明かりで照らされた店内の1階はカウンター。階段を上がると2畳ほどの狭い部屋に布団が敷いてあっ