誰もが知っているトランプ・ゲームに、大貧民がある。地域によっては大富豪とも呼ばれるこのゲーム、ローカルルールが多いことでも有名だ。それこそ「小学校が違えばルールも違う」と言っていいほどだ。なぜ子供たちは、これほどバリエーション豊かなルールを編み出したのだろう。 大貧民の魅力は、基本ルールのシンプルさにある。基本ルールは「直前のプレイヤーが出したカードよりも、強いカードをプレイする」だけ。この簡単さが、プレイヤー人口を増やした。その一方で、致命的ともいえる欠点が2つある。最初に配られた手札で勝敗がほとんど決まってしまうことと、「大富豪と大貧民とでカードを交換する」というルールによって、順位が固定化しやすいことだ。一度負けたら、簡単には逆転できない。単調で退屈なゲームになってしまう。 この欠点を補うために、各種のローカルルールが生まれたのだろう。特に8流しと11バックという二つのルールは、この